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外為マーケットコラム

円のキャリートレードの巻き返し再び

 週明けの株式・外為市場は、大荒れとなりました。前週末のイラン問題を背景としたドル売り、さらに26日には藤井財務次官が日米財務相会談で為替・金融政策を議論すると発言したことやイギリスやユーロ圏の要人によるインフレ緩和見通し、グリーンスパン前FRB議長が米国の財政赤字懸念や経済の景気後退入りを示唆したこと、さらにラトIMF専務理事が「円安とキャリートレードが多くの国に影響している」と発言し、IMFが今まで言及しなかったキャリートレードについて懸念を示したことから円安に対するマーケットの姿勢が変わりました。そして中国の金融引き締め観測による中国株急落で一気に拍車がかかったのです。

 この背景にある円のキャリートレードとは、低金利の円で投資資金を調達し、それを外貨に換えて高い収益が期待できるものに投資する手法のことです。いままで日本の低金利状態が長期間続くという見方から円を借り入れて新興国を含む株式市場や商品市場に投資資金が流れ続けていました。安定的にじりじりと円安が進むという相場はキャリートレードにとって格好の場となったわけです。

【日銀の利上げの影響も】
 2月22日、日銀は日本経済の景気の緩やかな拡大や物価が徐々に上昇するとの展望から政策金利を0.25%引き上げ、0.5%としました。発表後は次回の利上げは当分先であろうとの見方から円安が進行したのですが、実は過去の量的緩和解除・ゼロ金利解除後も同じ理由で円安が進行していました。しかしその後の円安はいずれも一時的で、そしてまた今回も円安は長続きしませんでした。これは円の金利上昇で資金繰りが以前より悪化するため、高値警戒感があった投資先から投資資金を回収したい向きが有利な条件で手じまいするために意図的に円安・株高に導いたということが考えられます。大衆がそれに乗り、十分利の乗ったところで自分たちは利益確定をするわけです。個人投資家はたまったものじゃありませんよね。

 しかし、問題はこれからです。実際、円金利が上昇基調になるのはまだまだ先で、個人の金融資産が1,500兆円という日本人から高利回りの外国資産に資金が流れる傾向は続くと思われます。ただ、円のキャリートレードはかなりのところまで膨らんでいるため、ボラティリティーが一段と高まることが考えられます。スワップ目的の外貨買いは十分レバレッジを考えて行うべきでしょう。

(オーバルネクスト/二見 朱里)

2007年3月1日

株式会社オーバルネクスト 二見 朱里

担当
農産物、為替
信条
日々国際金融情勢を反映しながら動く為替相場に興味を持ち、現在は、得意な数学的なアプローチを中心に、さまざまな角度から分析を試みています。このコラムでは毎週の為替相場を予想する上で重要なポイントを分かりやすくお伝えできるように努力したいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
経歴
東京大学大学院数理科学研究科卒業後、2007年オーバルネクスト入社、情報企画グループに在籍

株式会社オーバルネクスト

 オーバルネクストは、国内外の先物取引や為替情報に関する各種のニュースやデータを配信、またこれらの情報に伴うシステム開発を行っております。スピードと正確性に富むニュースやデータの配信に加え、オーバルネクスト独自の情報分析を含む各種コンテンツを一般投資家や各種ブローカーの皆様へ幅広く提供しています。
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