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外為マーケットコラム

インフレ懸念と利下げ期待の堂々巡り

 前週は、原油価格が過去最高値の96ドルまで上昇、金価格が1980年以来初の800ドル台で引けるなど、商品相場の急騰が目立ちました。世界経済が引き続き堅調に推移していることからの需要の増加や商品市場への投機的な資金の流入が背景にあります。商品相場の上昇は物価上昇圧力を強め、今後のさらなるインフレ懸念が台頭しています。これを受けて各国要人からのインフレけん制発言が相次ぎ、先週までの金融市場の混乱を背景とした各国の金利緩和観測が一変しました。豪準備銀行(RBA)は11月と来年2月に政策金利を0.25%ずつ引き上げて金利を7%にするだろうとの観測もあります。

 また、31日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、0.25%の利下げに踏み切ったものの、声明では景気減速と物価上昇のリスクがおおむね釣り合っているとの見解を表明し、インフレ警戒の姿勢を示しました。この声明を受けてFF金利先物市場では、完全に相場に織り込まれていた12月利下げの可能性が、声明発表後には44%に低下しました。NYダウは一時急落、ドルは買い戻され、株安から円の買い戻しが加速しました。ただ、その後は前回のコラム通り、揺り戻しの展開となり、株はプラスサイドへ、為替はユーロなどの主要通貨に対しドル安・円安となりました。

 しかし、米国の利下げ打ち止め感が広がったのもつかの間、シティグループがサブプライム問題でさらに評価損を計上するとのうわさや投資判断をきっかけに信用不安が再燃し、米国株が急落。さらにゴールドマン・サックスの評価損拡大、メリルリンチの損失計上日の操作問題の噂が市場を駆け巡り、雇用統計の好結果を打ち消す結果となりました。シティやメリルリンチの最高経営責任者(CEO)が辞任に追い込まれるなど大手金融機関の傷の深さが浮き彫りとなっています。

 下図はFF金利先物とNYダウ、VIX指数です。VIX指数は米S&P 500指数のオプション価格をもとに算出される指数で、市場に対する投資家の恐怖心を反映するといわれます。最近の信用収縮懸念で再び上昇に転じていることがわかりますね。また、米金利の先行きについては今後の追加利下げを予想しており、2月までの利下げを100%織り込む形となっています。今後も住宅市場の減速に歯止めがかからないうえ、信用市場の混乱が続く中、インフレ懸念で利下げ観測が後退する→信用収縮懸念の再燃で株式市場が急落(VIX指数が上昇)→利下げが期待される→金利が低下しドル安に→インフレ懸念が台頭という堂々巡りを繰り返し、FRBは更なる利下げを余儀なくされる展開となりそうです。

2007年11月5日

(オーバルネクスト/二見 朱里)

株式会社オーバルネクスト 二見 朱里

担当
農産物、為替
信条
日々国際金融情勢を反映しながら動く為替相場に興味を持ち、現在は、得意な数学的なアプローチを中心に、さまざまな角度から分析を試みています。このコラムでは毎週の為替相場を予想する上で重要なポイントを分かりやすくお伝えできるように努力したいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
経歴
東京大学大学院数理科学研究科卒業後、2007年オーバルネクスト入社、情報企画グループに在籍

株式会社オーバルネクスト

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