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外為マーケットコラム

ドル安はいったん収束か

 先週末に開催された7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)の声明文では、前回までの「過度の変動へ無秩序な動きは好ましくない」という表現から、「前回の会合以降、主要通貨において時として急激な変動があり、われわれはこれらが経済および金融の安定へ与え得る影響について懸念している」へ、4年ぶりに為替に関する文言が変更されました。

 「懸念」という表現が使われるのは、2000年9月のプラハG7以来、8年ぶりです。ポールソン米財務長官は「われわれの強いドルへのコミットメントを、強い調子で再度述べる」としており、急速に進んだドル安に対しての懸念とみられる内容となりました。ただ、このG7声明に対しては、急速なドル安進行には歯止めがかかるものの、長期的なドルの下落基調に変わりはないとの見方も出ています。「ドル安懸念」を表明していますが、ドル安を是正するための協調ドル買い介入が行われる状況ではないことがドル買い圧力を限定的なものにしているようです。

 G7での為替トレンドの転換は、2000年9月のプラハG7、1995年4月のワシントンG7、1990年4月のパリG7があります。ユーロ安が進んでいた2000年9月のプラハG7声明では、「為替の過度な変動」に懸念が表明され、翌日にユーロ買い・ドル売りの「協調ドル売り介入」を実施、ユーロ安・ドル高トレ ンドが反転しました。ドル安となっていた1995年4月のワシントンG7声明では、「基礎的な経済状況によって正当化される水準を越えている、秩序ある形で反転させることが望ましい」とドル安是正を表明し、ドル・ 円は79円75銭を底値に反転しました。また、円安であった1990年4月のパリG7声明では、「円安是正」が表明され、ドル・円は160円35銭を高値に反落しました。

 ではこれらの為替に関する記述変更があった時の為替市場の動きを見てみましょう。
これをみると、G7後のトレンドは約7ヵ月に渡って続くことが分かります。よって今回、仮にドル高トレンドに反転したとすると、ドル高局面は11月まで続く可能性があります。

 11月といえば、米大統領選ですね。円が変動相場制に移行した73年2月以降のドル・円相場では、共和党大統領の就任1年目は73年ニクソン2期、81年レーガン1期、89年ブッシュ(先代)、01年ブッシュのいずれもドル高が進み、そうならなかったのは85年レーガン2期のみ。一方、民主党大統領の就任1年目は77年カーター、93年クリントン1期においてドル安が進み、97年クリントン2期だけが例外。つまり、共和党政権の場合はドル高、民主党政権の場合はドル安になりやすいのです。しかも、共和党から民主党に政権が変わったときは必ずドル安になっています。

 このことから判断すると、為替市場のドル安はいったん収束し、11月の大統領選での民主党勝利から、ドル売りが再開するというシナリオが考えられます。今週は、16日にJPモルガン・チェース、17日にメリルリンチ、18日にシティ・グループと注目金融機関の決算発表が相次ぎます。この発表を受けてのドルの動向にも注目です。



2008年4月14日

(オーバルネクスト/二見 朱里)

株式会社オーバルネクスト 二見 朱里

担当
農産物、為替
信条
日々国際金融情勢を反映しながら動く為替相場に興味を持ち、現在は、得意な数学的なアプローチを中心に、さまざまな角度から分析を試みています。このコラムでは毎週の為替相場を予想する上で重要なポイントを分かりやすくお伝えできるように努力したいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
経歴
東京大学大学院数理科学研究科卒業後、2007年オーバルネクスト入社、情報企画グループに在籍

株式会社オーバルネクスト

 オーバルネクストは、国内外の先物取引や為替情報に関する各種のニュースやデータを配信、またこれらの情報に伴うシステム開発を行っております。スピードと正確性に富むニュースやデータの配信に加え、オーバルネクスト独自の情報分析を含む各種コンテンツを一般投資家や各種ブローカーの皆様へ幅広く提供しています。
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