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外為マーケットコラム

円高基調は続く見通し

 2009年の為替市場は、引き続き円高基調が続くと思われます。国際通貨基金(IMF)が2009年は第2次大戦後初となる先進国の同時マイナス成長となる可能性を示唆するなか、金融恐慌を背景としたグローバルリセッションのリスクが一段と高まっています。世界最強といわれた自動車会社のトヨタが、1983年に連結決算を開示するようになって以降、初の営業赤字転落となる事態まで悪化した世界景気の悪化が、短期間で回復するとは考えにくい状況です。

 その中で、ついにゼロ金利政策に打って出た米国やスイスに続き、今後も金利を引き下げる動きが他の国でも続く可能性があるでしょう。そうなれば、金利差縮小やリスク回避の動きを背景とした円買いが今後も続くと思われます。

 ただ、それも一方向に進む展開とはならないでしょう。円高進行では介入観測も出ることや、日本の貿易収支が赤字に転落するなど、実需の円買いも減少する方向にあります。また、直近では米国のゼロ金利政策、日銀の利下げやコマーシャルペーパー(CP)の買取り、長期国債の買い取り増額などで、資金供給は拡大しており、過度の金融不安が後退したことにより、債券市場から株式市場に資金が流れやすくなっています。株式市場が上昇する場面では円売り圧力がかかりやすいでしょう。

 また、ユーロ圏やオセアニアでも早期の利下げは見送られる可能性が高く、据え置かれる間は、金利面で優位に立つユーロやオセアニア通貨買いが出やすいと思われます。ただ今後、最終的に大幅な利下げに踏み切らざるを得なくなった場合、ユーロは売られる可能性が高いでしょう。12月の独IFO業況指数は7カ月連続で低下し、1982年以来の低水準となっています。また、グローバルリセッションがさらに深刻化すれば、商品輸出の低下から、加ドルや豪ドルなどの資源国通貨も売られるでしょう。対円相場は、反発を繰り返しながら、じり安となっていく展開が予想されます。

【ドル安は進行するか】
 米国には、経済減速の深刻化やビッグスリー救済問題、大規模な景気対策による米財政赤字の拡大懸念、金融機関の健全性に対する懸念など、先行きに対する不透明感が強まっており、ドル安懸念は根強いままです。

 米国景気回復の鍵となるのは米住宅市場の回復であり、住宅市場の底入れなしには今後の米経済の先行きも楽観視することはできません。今週も、米S&Pケースシラー住宅価格指数や米MBA住宅ローン申請指数などの住宅指標が発表されるため注目されます。また、週末の米ISM製造業景況指数も米景気の現状を判断する指数として材料視されそうです。早くも来年の相場に向けての方向性が出るのかに注目したいと思います。

 ただ、米国では来年、オバマ新政権が誕生します。大規模景気対策の柱の1つに据える次期政権の戦略では、投資家に米債券を購入してもらう必要があるのです。しかし、それには強いドルが必要であり、そのためにオバマ氏がどのような政策を打ち出すかが注目されます。米国のドル高政策や、他国より米国経済が先に底入れを迎えれば、思わぬドル高を招く可能性もあります。

【どの国が一番先に景気の底入れを迎えるか】
 ではここで、各国の製造業指数を見てみましょう。グローバルリセッションとなる中、今後、どの国が一番先に景気の底入れを迎えるかが注目されます。そのなかで、景気全般の先行指標となる各国の製造業PMI指数はその目安となるでしょう。PMIは50を上回ると景況の改善を、50を下回ると景況の悪化を示します。



2008年12月29日

(オーバルネクスト/二見 朱里)

株式会社オーバルネクスト 二見 朱里

担当
農産物、為替
信条
日々国際金融情勢を反映しながら動く為替相場に興味を持ち、現在は、得意な数学的なアプローチを中心に、さまざまな角度から分析を試みています。このコラムでは毎週の為替相場を予想する上で重要なポイントを分かりやすくお伝えできるように努力したいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
経歴
東京大学大学院数理科学研究科卒業後、2007年オーバルネクスト入社、情報企画グループに在籍

株式会社オーバルネクスト

 オーバルネクストは、国内外の先物取引や為替情報に関する各種のニュースやデータを配信、またこれらの情報に伴うシステム開発を行っております。スピードと正確性に富むニュースやデータの配信に加え、オーバルネクスト独自の情報分析を含む各種コンテンツを一般投資家や各種ブローカーの皆様へ幅広く提供しています。
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