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外為マーケットコラム

オバマ次期大統領への期待と金融機関への不安の綱引き

 今週の為替市場の注目ポイントは、20日の米国最大のイベントであるオバマ大統領就任式や米住宅指標、さらに相次いで発表される金融機関をはじめとした企業決算です。実体経済の一段の悪化を示す指標や決算が予想されるものの、就任式での演説や今後発表される具体的な景気対策での次期政権への期待が、株式市場を下支えることができるのかに注目が集まります。

【米金融機関の動向に注目】
 バンク・オブ・アメリカがメリルリンチ買収に予想以上に難航していると伝えられたことや、シティグループが昨年11月に公的資金の追加投入を受けたにもかかわらず、再び経営不安に陥っていることを受けて、金融危機の再燃が警戒されています。 バンク・オブ・アメリカが政府から資本注入と資産保証を受けることで、いったんは落ち着きを見せているものの、これから始まる金融機関の決算発表で、再び金融不安が台頭する可能性もあります。

 今週は米地銀の決算発表も相次ぎます。今年に入ってからも米地銀2行が業務停止命令を下されており、米金融機関の動向には注意が必要だと思われます。米リッチモンド地区連銀のラッカー総裁も「クレジット市場に新たな問題が起こる可能性がある」と警告するなど、予断を許さない状況は続いています。

【負のスパイラルを回避できるか】
 米国ではGDPの約7割を占める個人消費が深刻な状況に陥っています。そして雇用情勢の悪化での個人消費の減速と、住宅価格の下落、信用収縮という、3つの要素による負のスパイラルが再び強まっているのです。

 金融安定化法(TARP)で設けた7,000億ドルの公的資金枠のうち議会で承認された3,500億ドルは、本来の不良資産の買い取りという目的を逸脱し、金融機関への公的資金注入にほぼ使い果たしてしまいました。しかし、現在も米金融機関の資金不足は続いている状況です。住宅価格の下落を止め、負のスパイラルを断ち切るために使われるはずだった資金がなくなれば、米景気の悪化は長引く可能性があります。金融機関はさらに評価損計上を迫られ、資金不足に陥る可能性が指摘されており、09年に経営破たんする金融機関は数百社に上るとの予測も出てきています。

 ただ、オバマ次期政権は、公的資金を投じて金融機関の不良資産を買い取る方法を検討していることを明らかにしています。再び深刻化しつつある銀行危機の緩和に向け、次期政権の新たなアプローチが金融不安を払拭し、負のスパイラルを回避できるかに注目が集まるでしょう。

【IMM通貨先物の取組でドルは5週間ぶりに買い越しに転じる】
 ではここで、米商品先物取引委員会(CFTC)が発表した1月13日までの週のIMM通貨先物の取組を見てみましょう。今回のデータによると、主要通貨に対して、ドルは5週間ぶりに買い越しに転じました。またドル・円でも、前週の46,394枚の円買い越しから、44,895枚の買い越しと、円の買い越し枚数が減少しています。オバマ次期政権への期待で株式市場が堅調に推移すれば、ドル・円もいったん買い戻される展開となりそうです。



2009年1月19日

(オーバルネクスト/二見 朱里)

株式会社オーバルネクスト 二見 朱里

担当
農産物、為替
信条
日々国際金融情勢を反映しながら動く為替相場に興味を持ち、現在は、得意な数学的なアプローチを中心に、さまざまな角度から分析を試みています。このコラムでは毎週の為替相場を予想する上で重要なポイントを分かりやすくお伝えできるように努力したいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
経歴
東京大学大学院数理科学研究科卒業後、2007年オーバルネクスト入社、情報企画グループに在籍

株式会社オーバルネクスト

 オーバルネクストは、国内外の先物取引や為替情報に関する各種のニュースやデータを配信、またこれらの情報に伴うシステム開発を行っております。スピードと正確性に富むニュースやデータの配信に加え、オーバルネクスト独自の情報分析を含む各種コンテンツを一般投資家や各種ブローカーの皆様へ幅広く提供しています。
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