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外為マーケットコラム

ドル円の上昇は続く?

 今週の為替市場では、米雇用統計をはじめとする重要な経済指標や、破綻の危機にある米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)とクライスラーの動向が注目されます。また、この円安が継続するかの判断材料として、米国債券の利回りや、IMM通貨先物の建玉報告での円の買い持ち高に注目が集まるでしょう。

【ドル堅調】
 発表された米経済指標は軒並み悪化しているものの、ドルの堅調推移が続いています。このドル高の背景には、米企業やヘッジファンドのレパトリ(自国内への資金還流)や米国債入札に絡むドル需要があります。また、相次いで打ち出される米政府の積極的な景気対策への期待もあります。住宅対策によって、住宅差し押さえを抑制することで、住宅価格下落に歯止めがかかります。そうすれば、逆資産効果(資産価値の低下が消費の減退を招く効果)も緩和され、個人消費は回復に向かうでしょう。さらに金融安定化策も効果を示せば、米経済が回復に向かうとの期待ができます。

 円については、GDPの大幅悪化や政局不安が円売りのきっかけとなりましたが、先日発表された1月の貿易統計は過去最大の赤字を記録し、対外証券売買状況では、1兆5,011億円の買い越しと、日本からの資金流出が実際に確認されています。また、相次ぐサムライ債(海外の企業が日本国内において、円建てで発行する債券のこと)の発行にみられるように、欧米諸国は大量の資金を、資金の潤沢な日本から調達しようとしています。そして、この資金需要が新たな円売り圧力を生み出しているのかもしれません。こうした実需面でも円売り圧力がかかっていることから、今後もう一段の円安となる可能性があるでしょう。

【目先は上昇一服の可能性も】
 ただ、IMM通貨先物の建玉報告での円の買い持ち高には注目です。現在の急速なドル高/円安は、投機家がいままで積み上げた円買いポジションの解消によるものです。そのため、この円買い持ち高の解消が進んだようなら、急速な円安も一服する可能性があるでしょう。

 また、2月27日で総額940億ドルという大量の米国債入札が終わり、米国債絡みのドル買いも少なくなります。そして今度は日本企業による3月の会計年度末に向けたレパトリが活発化する可能性があるのです。

【米大手自動車の動向に注目】
 米政府はGMとクライスラーの破綻処理を視野に入れ、金融機関などと具体策の検討に入っているようです。そしてその費用は、最低でも400億ドル(約4兆円)という過去最大規模になる見込みです。GMが破綻となれば、株価が大きく下落し、ドル売りが加速することが予想されます。ただ、その後はリーマンブラザーズ破綻時にみられたように、破綻決算に絡んだドル需要がドルの押し上げ要因となる可能性もあるため注意が必要でしょう。

【米国債券利回りに注目】
 下の図に見られるように、米2年債の利回りと、ドル・円はとても相関性が強いです。このことから、大量な米国債入札が終わった後の米国債券の利回りには注意が必要でしょう。また米2年債の方が少し先行する傾向があります。よって、今後も利回りが上昇傾向を強めれば、ドル・円も上昇基調が続くと思われますが、利回りが低下するようなら、ドル・円は下落に転じるでしょう。



2009年3月2日

(オーバルネクスト/二見 朱里)

株式会社オーバルネクスト 二見 朱里

担当
農産物、為替
信条
日々国際金融情勢を反映しながら動く為替相場に興味を持ち、現在は、得意な数学的なアプローチを中心に、さまざまな角度から分析を試みています。このコラムでは毎週の為替相場を予想する上で重要なポイントを分かりやすくお伝えできるように努力したいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
経歴
東京大学大学院数理科学研究科卒業後、2007年オーバルネクスト入社、情報企画グループに在籍

株式会社オーバルネクスト

 オーバルネクストは、国内外の先物取引や為替情報に関する各種のニュースやデータを配信、またこれらの情報に伴うシステム開発を行っております。スピードと正確性に富むニュースやデータの配信に加え、オーバルネクスト独自の情報分析を含む各種コンテンツを一般投資家や各種ブローカーの皆様へ幅広く提供しています。
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