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外為マーケットコラム

円売りポジションの積み上げに転換するか

 今週は、ガイトナー米財務長官による金融システム安定化策の詳細の発表や、いま問題視されている米AIG、米GMの行方に注目が集まります。その動向によっては、楽観論が台頭する可能性もある一方、信用不安が再燃する可能性もあるでしょう。

【米長期金利に注目】
 予想外となる長期国債買い取りを発表した米連邦公開市場委員会(FOMC)をきっかけに、米国債利回りは大幅に低下し、ドル・円は急落する展開となりました。米国は日本、英国などに続き、量的緩和策に打って出たのです。

 3月2日のコラムでも述べたように、ドル・円相場は米長期金利との相関性が高く、ドル・円相場を見る上では、米長期金利動向の把握が欠かせません。オバマ米大統領は「大手銀行が破たんするリスクはまだ存在する」としており、ガイトナー米財務長官による金融システム安定化策の詳細に市場が不安感を強めれば、信用不安が再燃する可能性があるでしょう。そして再び米国債に資金が流入(米金利が低下)する展開となれば、ドル・円も軟調推移が予想されます。19日には、1月21日安値から3月5日高値までの上昇に対する半値押しである93.41円まで下値を拡大する展開となりましたが、さらに一段安となれば、2月5-9日に上値抵抗となった92.40円や上記の61.8%押しの91.92円がターゲットとなります。

 一方、4月2日にロンドンで開かれる金融サミットを控え、各国が全力で流動性を供給し、金融市場の改善に力を挙げています。金融サミットのための準備会合とされたG20財務相・中央銀行総裁会議では、「世界経済の成長回復のため、財政出動などの必要な規模の努力を続け、政策協調を進めていく」「各国の中央銀行は、量的緩和などの手法を駆使し、必要な限り緩和的政策を取り続ける」と表明しました。

 株式市場ではこのことを好感して上昇基調が続いており、景気の先行きや信用市場に対する過度な悲観論が薄らいでいます。金価格が再び900ドル台後半まで上昇し、一時30ドル台まで下落した原油価格は再び50ドル台まで上昇するなど、リスク資産への投資が再び活発化しています。

 このことから、再び米国債からリスク資産へ資金が流出し、米金利が上昇に転じれば、ドル・円は堅調に推移するでしょう。上値抵抗となっている99円台後半を上抜け、100円を突破すれば、昨年の8月15日の高値から、12月17日の安値までの61.8%戻しである101.67円や10月14日の高値103.05円がターゲットとなるでしょう。

【市場内部要因に注目】
 ではここで、米商品先物取引委員会(CFTC)が発表するIMM通貨先物の取組高を見てみましょう。3月21日に発表された、17日時点の取組状況では、28週間ぶりに円が売り越しに転じたことが明らかになりました。ドル・円の2月中旬からの急騰は、投機家による円買いポジションの巻き戻しが主となっていました。よって円買いポジションが解消された今、今度は円売りのポジション構築に転換するのかが注目されます。



2009年3月23日

(オーバルネクスト/二見 朱里)

株式会社オーバルネクスト 二見 朱里

担当
農産物、為替
信条
日々国際金融情勢を反映しながら動く為替相場に興味を持ち、現在は、得意な数学的なアプローチを中心に、さまざまな角度から分析を試みています。このコラムでは毎週の為替相場を予想する上で重要なポイントを分かりやすくお伝えできるように努力したいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
経歴
東京大学大学院数理科学研究科卒業後、2007年オーバルネクスト入社、情報企画グループに在籍

株式会社オーバルネクスト

 オーバルネクストは、国内外の先物取引や為替情報に関する各種のニュースやデータを配信、またこれらの情報に伴うシステム開発を行っております。スピードと正確性に富むニュースやデータの配信に加え、オーバルネクスト独自の情報分析を含む各種コンテンツを一般投資家や各種ブローカーの皆様へ幅広く提供しています。
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