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外為マーケットコラム

楽観局面は続くか

 今週の為替市場は、引き続き米自動車大手や金融機関の動向に左右されるなか、現在の株高の継続性や今後本格化する米国決算発表が注目されます。また、各国の金融政策方針や貿易収支が発表されることから、各々の国の景気動向や実需面での資金フローが注目されるでしょう。

【しばらくは楽観局面】
 前週は、自動車大手の破産の有無を巡って乱高下する展開となりました。結局、破産の危機は逃れ、GMは60日分の猶予を与えられたことで市場は落ち着きを取り戻していますが、今後の再建計画の策定が難航すれば、いつ破産のニュースが飛び込んできてもおかしくはないことから、引き続き注意が必要でしょう。

 ただ、いままで市場で懸念されてきた破産ですが、最近では「政府コントロールの下での破産は再建が早まる」との憶測から、好材料とする見方も出てきています。また米国では、大規模な景気刺激策に加え、財務省による不良資産買い取り策や、米連邦準備制度理事会(FRB)の量的緩和策、さらに米財務会計基準審議会(FASB)が時価会計ルールの緩和を可決するなど、金融安定化に向けた政策や規制を総動員しています。G20会合でも、総額5兆ドルに達する各国の財政出動や各中銀へのあらゆる政策手段の動員を要請するなど、各国の金融危機からの脱却に向けた協調姿勢が前面に出てきている状況です。

 この世界的な危機に対する取り組みの中で、金融不安は短期的に収まりつつあります。実際にいくつかの米経済指標では改善がみられており、先行き不透明感が少しずつ解消してきています。市場の金融不安に対する反応がしだいに一時的なものにとどまってきていることからも、しばらくは景気に対する楽観的な見方が続くでしょう。

【ストレステストの動向や決算発表がリスクか】
 一方、株式市場の下落要因となるのは、4月末に完了するとされるストレステスト(銀行の健全性審査)の行方や、今後の決算発表での企業業績の一段の悪化でしょう。持続的な景気回復に必要な米雇用情勢は悪化の一途をたどっています。また、ガイトナー長官は「一部の銀行は大規模な支援が必要になる」と言明しており、今後資本不足となる銀行が出てくる可能性もあります。今後はストレステストの結果やそれにともなう不良債権処理において、先に発表されたバッドバンク構想が機能するかが注目されてくるでしょう。このことから、これらの過程で金融機関や景気に対する悲観的な見方が再燃すれば、相場は再度下落に転じると予想されます。

【実需面でも円売りが優勢】
 以下のグラフでも分かるように、 米国では個人消費の減速から米貿易赤字は急速に縮小しています。一方で、輸出の減少が著しい日本では貿易収支が赤字に転落してしまいました。このことは、実需の決済で、ドルを円に両替する円転が減少することを意味し、ドル・円の下落圧力を緩和させます。また、経済協力開発機構(OECD)による経済見通しでは、日本の09年GDPは6.6%減と、先進7カ国中最悪となっていることからも、円への投資魅力が薄れている状況です。そして今後、株高の状況が続く限り、円売り圧力は一段と強まるでしょう。



2009年4月6日

(オーバルネクスト/二見 朱里)

株式会社オーバルネクスト 二見 朱里

担当
農産物、為替
信条
日々国際金融情勢を反映しながら動く為替相場に興味を持ち、現在は、得意な数学的なアプローチを中心に、さまざまな角度から分析を試みています。このコラムでは毎週の為替相場を予想する上で重要なポイントを分かりやすくお伝えできるように努力したいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
経歴
東京大学大学院数理科学研究科卒業後、2007年オーバルネクスト入社、情報企画グループに在籍

株式会社オーバルネクスト

 オーバルネクストは、国内外の先物取引や為替情報に関する各種のニュースやデータを配信、またこれらの情報に伴うシステム開発を行っております。スピードと正確性に富むニュースやデータの配信に加え、オーバルネクスト独自の情報分析を含む各種コンテンツを一般投資家や各種ブローカーの皆様へ幅広く提供しています。
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