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外為マーケットコラム

VIX指数は警戒域を下回れるか?

 今週の為替市場では、14日のゴールドマン・サックス証券を皮切りに本格的にスタートする米国金融機関の決算発表や、回復基調を続けている米経済指標、また、14日のバーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長をはじめ、各国要人の講演が多数控えており、その発言に注目が集まります。

【イースター休暇明けの欧米投資家はどう動く?】
 前週の為替市場では、序盤から円高基調が強まる展開となりました。ただ、それはイースター休暇や今後の企業決算発表を控えたポジション調整の動きが要因であり、ドル・円の下げ幅は限定的にとどまっています。4月7日までの週のIMM通貨先物の取組内容でも、円の買い持ち高、売り持ち高はともに減少しており、このポジション調整の動きが見て取れます。ただ、ネットポジション(買い持ち高―売り持ち高)では、9ヶ月ぶりに円の買い持ち方向への反転が見られています。今後米金融機関の決算が相次ぐなか、イースター休暇明けの欧米投資家が、再び円を買う動きに出るのかが注目されます。

【実体経済はいまだ不安が残る】
 そして実体経済を見てみると、3月米雇用統計では失業率は25年4カ月ぶりの高水準となり、雇用喪失は戦後最悪のペースで進んでいる状況です。雇用環境の改善なしには持続的な景気回復は望めません。

 また、英タイムズ紙は、国際通貨基金(IMF)が4月21日に公表する報告で、米金融機関が抱える不良資産の総額が3.1兆ドルにも達するとの推計をまとめる見通しだと報じています。そして今後スタートする不良債権買い取りプログラムでは、不良資産買い取り総額は最大でも1兆ドルです。また、今回の決算発表が好内容だったとしても、時価会計ルールの緩和で、実際の不良債権の評価額はあいまいなものとなり、その損失額はいまだ不透明なままとなります。

 このことから、IMFの公表をきっかけに実際の不良債権の損失額への不安感が強まり、バッドバンク計画の実現性に加え、この規模で足りるかどうかも懸念される可能性があるでしょう。

【VIX指数に注目】
 ただ、現在は、世界的な大規模な景気刺激策などの協調姿勢や、米大手銀行ウェルズファーゴが好決算を発表したことで、市場のセンチメントは楽観に傾いています。そして今後本格化する銀行決算でも、時価会計ルールの緩和の恩恵で好決算となる可能性があるでしょう。

 その状況をみてとれるのが、投資家の不安心理を映すとされるボラティリティー(VIX)指数です。この数字が上昇すればするほど、投資家の警戒心が高まっていることを表します。そして現在、投資家心理の改善からVIX指数は低下を続け、9日には36.53と、いままで下値抵抗となっていた30台後半を下回り、2008年9月以来の低水準まで下落しました。そしてこのときのドル・円は1ドル=104〜106円です。このまま警戒域とされる30を下回ってくれば、ドル・円がこの水準まで上昇し、さらに上昇する展開となってもおかしくはないでしょう。



2009年4月13日

(オーバルネクスト/二見 朱里)

株式会社オーバルネクスト 二見 朱里

担当
農産物、為替
信条
日々国際金融情勢を反映しながら動く為替相場に興味を持ち、現在は、得意な数学的なアプローチを中心に、さまざまな角度から分析を試みています。このコラムでは毎週の為替相場を予想する上で重要なポイントを分かりやすくお伝えできるように努力したいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
経歴
東京大学大学院数理科学研究科卒業後、2007年オーバルネクスト入社、情報企画グループに在籍

株式会社オーバルネクスト

 オーバルネクストは、国内外の先物取引や為替情報に関する各種のニュースやデータを配信、またこれらの情報に伴うシステム開発を行っております。スピードと正確性に富むニュースやデータの配信に加え、オーバルネクスト独自の情報分析を含む各種コンテンツを一般投資家や各種ブローカーの皆様へ幅広く提供しています。
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