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外為マーケットコラム

米経済指標や米国債の動向に注目

 今週は、ストレステスト(健全性審査)や雇用統計を消化した相場がどのようなトレンドを示すかが焦点となります。景気動向を示す指数の改善が続くかどうかや、米国への資金需給が反映される経済指標が、市場を左右する材料となると考えられます。また、米国債の動向にも注意が必要でしょう。

【米経済指標に注目】
 注目されたストレステストの結果発表は、事前に流れた情報に沿うものとなったため、大きな反応を示しませんでした。相場には噂で買って事実で売るという習性があります。事前の予想通りとなれば、その発表時には市場ではすでに織り込み済みとして材料視されないのです。ただ今後、ストレステストの結果に対し、虚偽報告や想定された事態より経済が悪化する状況となれば、再び問題視されるでしょう。

 そして現在は、景気の底入れを織り込む相場になってきています。このことから、今後も発表される経済指標が予想を上回る回復を続ければ、この株高・円安の状況は続くでしょう。しかし、仮に予想を下回る内容が出れば、今度は景気の回復を織り込んだ相場の反動が出ることになります。今週は、米個人消費の現況を示す米小売売上高や、先行きを示すミシガン大消費者信頼感指数速報値、製造業の動向を示す4月鉱工業生産や5月NY連銀製造業景気指数、さらにインフレ動向を示す4月消費者物価指数などが相場の材料となりそうです。

【米国への資金フローを示す指標にも注目】
 今週は、米貿易収支や月次財政収支、対米証券投資など、米国の資金フローを表す指標が多く発表されます。まず、米貿易収支では、貿易赤字額が注目されます。米赤字額の増加(減少)は米国からの資金流出の増加(減少)から、ドル安(高)要因となります。前回の発表時には、赤字額の予想以上の減少を受けて、ドル買いが優勢となりました。次に、対米証券投資では海外からの米国への資金流入額が注目されます。前回は長期有価証券投資が買い越しに転じたことで、発表後はドル高となりました。長期の証券が買い越しとなったことで、米資産には依然として健全な需要があるとの見方が好感されたのです。

 そして米財政赤字にも注目が集まります。米国では景気刺激策にともなう財政支出の拡大で、財政赤字の拡大が懸念されています。前回発表された3月の財政赤字は、前年同月のほぼ4倍にあたる1923億万ドルとなったことから、米国の財政悪化が懸念され、ドル安が進行する展開となりました。

【米国債の動向に注目】
 現在、米国債利回りが上昇基調にあります。米金利とドル・円には相関関係があるのです。たとえば、4月29日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では政策金利を据え置いたものの、米10年債利回りが昨年の11月以降、上値抵抗となっていた3%の水準を超えたことから、FOMC後にはドル買いが優勢となりました。一方、前週末の雇用統計では、予想を上回る内容だったものの、米国債市場では買い戻しが優勢となり、利回りが低下する結果となったことから、ドル売りの展開となりました。このことからもドル・円の今後の展開を占うものとして米国債動向に注目する必要があるでしょう。

 ただ、今後の米国金利の上昇が景気の回復を伴ったものならドル高要因となりますが、そうでない場合は、注意しなければなりません。米長期金利が上昇すれば、住宅ローンに悪影響を与え、最近の住宅市場の回復を阻むことが懸念されます。また、7日に実施した米30年債入札では、需要が平均を下回る低調な結果となるなど、米国債の需給が悪化しています。最大の米国債保有国である中国は、米国債の購入に対して消極的な姿勢を示しており、国債の買い手がいない場合、米連邦準備理事会(FRB)は米国債の買い取りを一段と強化する可能性があります。そしてFRBがさらに資産規模を拡大すれば(ドルのばらまき)、ドルの信認低下を招き、ドル安につながる恐れがあります。5月15日には米国債償還・利払いが予定されており、これは償還に伴うドルの円転で、ドル安要因となる可能性もあるため、注意が必要でしょう。



2009年5月11日(月)

(オーバルネクスト/二見 朱里)

株式会社オーバルネクスト 二見 朱里

担当
農産物、為替
信条
日々国際金融情勢を反映しながら動く為替相場に興味を持ち、現在は、得意な数学的なアプローチを中心に、さまざまな角度から分析を試みています。このコラムでは毎週の為替相場を予想する上で重要なポイントを分かりやすくお伝えできるように努力したいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
経歴
東京大学大学院数理科学研究科卒業後、2007年オーバルネクスト入社、情報企画グループに在籍

株式会社オーバルネクスト

 オーバルネクストは、国内外の先物取引や為替情報に関する各種のニュースやデータを配信、またこれらの情報に伴うシステム開発を行っております。スピードと正確性に富むニュースやデータの配信に加え、オーバルネクスト独自の情報分析を含む各種コンテンツを一般投資家や各種ブローカーの皆様へ幅広く提供しています。
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