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外為マーケットコラム

米国債の動向に注目

 今週の為替市場では、メモリアルデー(米市場休場)明けの26日から始まる総額1,010億ドルという過去最高水準の米国債発行の入札や米住宅指標などの経済指標、米自動車大手GMの動向に注目です。

【米国債入札に注目】
 先週はドル安の様相が強まる展開となりました。金融機関のストレステスト(健全性審査)の結果が公表され、金融市場の不透明感が払拭されてきたことでリスク回避からのドル買い(米国への資金還流)が収まる中、本来のドル安要因がピックアップされてきています。

 米財務省は、景気対策や金融安定化策の資金を調達するため、大量の米国債を発行することを余儀なくされていますが、中国が米国債の購入に消極的になっており、買い手が不足している状況です。そしてその大量の米国債を消化するために、米連邦準備理事会(FRB)がドルを大量に刷ることで買い入れを行っていることが、ドルの供給過剰、価値の低下への懸念につながっています。FRBはこれからも国債の買い取りを一段と強化する可能性を示唆しており、今後のドルの信認低下は避けられない状況となっています。

 そして先週、米格付け会社のS&Pが英国債の格付け見通しを引き下げたことをきっかけに、米国の財政に対する懸念も一段と強まっています。米債券運用会社PIMCOのグロース最高投資責任者(CEO)は、「米国は今後3〜4年のうちに「AAA」の格付けを失う可能性が高く、市場は実際に格下げの動きが出る前にそれを織り込んでいくだろう」との見通しを示しました。このような状況の中、今週は総額1010億ドルという過去最高水準の米国債発行の入札が控えています。この大量の国債を順調に消化できるかに注意が必要でしょう。

【住宅指標に注目】
 また、今週は住宅指標の発表も相次ぎます。前FRB議長のグリーンスパン氏は、「いまだ住宅ローン危機の可能性があり、金融危機は終わっていない」と指摘、「住宅価格が下げ止まらない限り、依然として深刻な住宅ローン危機の可能性がある」と述べています。米長期金利が上昇すれば、住宅ローン金利も上昇し、最近回復の兆しが見られていた住宅市場にも打撃となるため、住宅市場の回復も遠のきかねません。今後の住宅関連の指標に注目が集まるでしょう。

【トレンドの強さを判断するADXを見てみると】
 ではここで、トレンドの強さを判断するADX(Average Directional Movement Index)というテクニカル指標をみてみましょう。このADXは、上向きに変化したらトレンドの開始、上昇中はトレンドの継続、下向きに変化した時点をトレンドの終了、下降中はトレンドのない状態という見方をします。そしてその方向は21日移動平均線で判断するといいでしょう。

 現在、ドル・円チャートでは、ADXが上昇に転じており、トレンドが開始したことが示されています。そして21日移動平均線が下向きなことから、現在のトレンドは下向きであることが判断できます。そしてこのADXが上昇を継続している間はドル・円の下落トレンドは続くと考えられます。



2009年5月25日

(オーバルネクスト/二見 朱里)

株式会社オーバルネクスト 二見 朱里

担当
農産物、為替
信条
日々国際金融情勢を反映しながら動く為替相場に興味を持ち、現在は、得意な数学的なアプローチを中心に、さまざまな角度から分析を試みています。このコラムでは毎週の為替相場を予想する上で重要なポイントを分かりやすくお伝えできるように努力したいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
経歴
東京大学大学院数理科学研究科卒業後、2007年オーバルネクスト入社、情報企画グループに在籍

株式会社オーバルネクスト

 オーバルネクストは、国内外の先物取引や為替情報に関する各種のニュースやデータを配信、またこれらの情報に伴うシステム開発を行っております。スピードと正確性に富むニュースやデータの配信に加え、オーバルネクスト独自の情報分析を含む各種コンテンツを一般投資家や各種ブローカーの皆様へ幅広く提供しています。
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