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外為マーケットコラム

米景気指標や米金利動向に注目

 今週の為替市場は、現在の景気回復期待が続くかを判断するために、米国での景気の先行指標となる5月ISM景況指数や雇用統計などの経済指標に注目です。また、破綻申請後の米GMの動向や、米長期金利の動向、さらに6月3日のバーナンキFRB議長の議会証言や各国の政策金利発表も相場を動かす材料となるでしょう。

【景気指数の改善は続くか】
 最近の上値の重さが目立っていた米国株は、5月の米消費者信頼感指数が、8ヶ月ぶりの高水準にまで改善したことが好感され、大幅に反発する展開となりました。米国消費者による、景況感や雇用環境の認識も改善しており、米景気が底打ちしたとの見方が強まっています。今週発表される4月の個人消費支出でも、個人消費の回復が確認されるかが注目されるでしょう。また、3月に米国株が底打ちするきっかけとなったISM景況感指数の改善が続くかや、雇用統計での雇用者数の減少に歯止めがかかるかなどにも注目です。今後も景気指数の改善が続けば、株式市場は一段高となることが予想され、為替市場でもリスク資産(=高金利通貨)の上昇が予想されます。

【住宅市場がネック】
 ただ、米国ではいまだに住宅市場の低迷が続いていることが、実体経済の足を引っ張る可能性があります。予想外の好結果となった消費者信頼感指数と同日に発表されたことで材料視されませんでしたが、ケースシラー住宅価格指数は予想を下回る悪化となりました。また、消費者信頼感指数の項目でも、向こう半年での住宅購入計画は前回よりも低下しています。

 住宅価格の下落に歯止めがかからない限り、金融機関の不良債権は増加し、再び資本不足への懸念が強まる可能性があります。そして資本不足を背景にした貸し渋りや、住宅価格の下落による個人資産の減少が消費を抑制し、再び景気を失速させるおそれがあります。

【破綻申請後のGMの動向にも注目】
 また、GMの破綻申請は市場では織り込み済みとなっていますが、今後の関連企業への影響はいまだ不透明です。GMの破綻は、米クライスラーと同様の「事前調整型」の破綻処理で、短期再建を目指すものです。ただこの再建計画が長期化することになれば、産業界への破綻ショックの拡大は必至です。今後、大量の失業者が出る可能性もあり、景気への悪影響が懸念されます。

【米国債への懸念は続く】
 注目された大規模な米国債入札は堅調な結果に終わり、ムーディーズが米国債格付け見通しを「安定的」に維持すると発表したことで、米国債への不安は後退しました。ただ、韓国が公的年金ファンドの米債保有比率を引き下げる方針を発表するなど、今後も大量発行が続く米国債の需給不安は拭いきれません。

 ではここで米短期債(米政府証券3カ月債)とドル円の関係をみてみましょう。ドル・円は長期的には米10年債(長期債)と相関性が高いのですが、最近では短期債との相関性が高まっています。これは、インフレ懸念や長期的な米景気への不透明感で米長期国債の需給懸念があることが要因となっていると思われます。(米国長期金利は上昇している)

 ガイトナー米財務長官は現在、米国債に対する中国当局者の懸念を和らげるべく、訪中しています。中国が外貨準備を長期債から短期債にシフトさせているとの見方もあり、今後、中国の長期債の買い付けを維持することができるかも注目となるでしょう。



2009年6月1日

(オーバルネクスト/二見 朱里)

株式会社オーバルネクスト 二見 朱里

担当
農産物、為替
信条
日々国際金融情勢を反映しながら動く為替相場に興味を持ち、現在は、得意な数学的なアプローチを中心に、さまざまな角度から分析を試みています。このコラムでは毎週の為替相場を予想する上で重要なポイントを分かりやすくお伝えできるように努力したいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
経歴
東京大学大学院数理科学研究科卒業後、2007年オーバルネクスト入社、情報企画グループに在籍

株式会社オーバルネクスト

 オーバルネクストは、国内外の先物取引や為替情報に関する各種のニュースやデータを配信、またこれらの情報に伴うシステム開発を行っております。スピードと正確性に富むニュースやデータの配信に加え、オーバルネクスト独自の情報分析を含む各種コンテンツを一般投資家や各種ブローカーの皆様へ幅広く提供しています。
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