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外為マーケットコラム

米自動車販売台数とNYダウの関係

 今週の為替市場では、週初のISM非製造業景況感指数、週末のミシガン大消費者信頼感指数を除き目立った米経済指標に欠ける中、8日に開幕するG8・新興5カ国首脳会議(サミット)や、米企業の決算発表を受けた市場の反応に焦点があたるでしょう。サミットでの基軸通貨ドルに対する思惑や、決算を通じての実体経済に対する見方の変化に注目です。

【株の一段高はあるか】
 発表される米経済指標では引き続き期待に沿った上昇がみられるかどうか、そして米企業の決算では、先行した景況感の改善が実際の利益に結びついているかが注目されるでしょう。そして期待に沿った内容の指標や、市場の予想を上回る好決算が出れば、今後の景気回復への楽観論が台頭し、現在調整局面が続いている株式市場も反発する展開が予想されます。

 現在、ドル・円は最近の取引レンジ95-97円、NYダウも8,200-8,600ドル、日経平均も9,500-10,000円のレンジ内にとどまっており、レンジを下抜けない限り、上方向に振れる可能性は残っています。

【本格的な回復は見込めない】
 一方、米個人の貯蓄率が5月に6.9%と、15年ぶりの高水準にまで上昇するなか、米国内での消費が主導する本格的な景気回復はいまだ見込めません。現在は日本と同様、米政府の大型財政出動や中国などの国外向け輸出の持ち直しに支えられているのが実情でしょう。

 NY大学のルービニ教授によると、今後貯蓄率は10〜11%にも達するといいます。米個人の消費パターンの変化は、長期にわたって経済成長を抑制する可能性があり、今後も株価の上値抑制要因となるでしょう。米国経済の本格的な回復を確認するには、住宅価格の上昇や、雇用の増加が必要になります。

 また、ルービニ教授は、今後貯蓄率が急ピッチで上昇するような場合は、景気後退が深刻化すると指摘しています。景気の回復期待が否定されれば、株式市場はレンジを割り込む可能性があるでしょう。また、現在落ち着きを見せている金融不安が、今後の金融機関の決算発表などで再燃することがあれば、株式市場も為替市場(対円相場)も下値を拡大するリスクが高まります。投資家の不安心理の度合いを示すVIX指数は現在30以下の低位にとどまっていますが、この指数が再び30を超えて上昇に転じ、投資家の不安心理が高まると2番底を試すリスクがあるでしょう。

【レンジ相場が続く可能性も】
 ただ、市場には十分な流動性が確保されていることから、株式市場が再び大きく崩れることは現状では考えにくいと思われます。リスクは存在するものの、VIX指数が30以下の低位にとどまる限りは、上記のレンジ内でもみ合いが続くでしょう。そして、その後のトレンド転換を待つ展開が予想されます。

【米自動車販売台数とNYダウの関係は?】
 ではここで、米自動車販売台数とNYダウの関係を見てみましょう。1日に発表された6月の米自動車販売台数は前年同月比28%減の969万台(年率)と、20カ月連続で前年実績を下回りました。しかし、減少率は縮小傾向が続いており、実際の現場でも、ショールームには客足が戻り始めていることから、自動車販売動向には底入れの兆しが出てきているといわれます。また、政府による低燃費車への買い替え支援制度の導入が、7月の販売台数増加につながるとの期待もあるようです。

 そして米国の自動車販売動向とNYダウを前年比で比較すると、相関関係がみられます。過去10年間のデータから回帰分析を行うと、相関係数は0.76となりました。また、6月時点の販売台数を元にした、NYダウの水準(回帰線)は8,517ドルでした。標準誤差から判断すると、NYダウのレンジは7,797〜9,384ドルとなります。このことから、今後急速に自動車販売が落ち込まない限り、NYダウの下値も8,000ドル程度となり、下げたとしても下げ幅は限定的となりそうだということが分かります。





2009年7月6日

(オーバルネクスト/二見 朱里)

株式会社オーバルネクスト 二見 朱里

担当
農産物、為替
信条
日々国際金融情勢を反映しながら動く為替相場に興味を持ち、現在は、得意な数学的なアプローチを中心に、さまざまな角度から分析を試みています。このコラムでは毎週の為替相場を予想する上で重要なポイントを分かりやすくお伝えできるように努力したいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
経歴
東京大学大学院数理科学研究科卒業後、2007年オーバルネクスト入社、情報企画グループに在籍

株式会社オーバルネクスト

 オーバルネクストは、国内外の先物取引や為替情報に関する各種のニュースやデータを配信、またこれらの情報に伴うシステム開発を行っております。スピードと正確性に富むニュースやデータの配信に加え、オーバルネクスト独自の情報分析を含む各種コンテンツを一般投資家や各種ブローカーの皆様へ幅広く提供しています。
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