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外為マーケットコラム

金価格とドルインデックスの関係

 今週の為替市場では、米第2四半期GDPをはじめとする米経済指標や、7月27日以降4日連続で実施される過去最大規模の米国債入札、さらに27-28日の米中戦略・経済対話に市場の関心が集まるでしょう。

【リスク志向が一段と強まるか】
 注目されたバーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長の金融・経済報告では、景気は足元で下げ止まりつつあるものの、雇用情勢が景気の足かせになるとの認識を示し、この先も長期間にわたってゼロ金利を維持する余地があるとしました。このことから、引き続き雇用情勢が米景気の鍵を握るとみられ、今後も雇用が回復しない限り、米金利は当面、低水準に据え置かれると思われます。

 米金利が低水準に維持されるなか、投資家の恐怖心理を反映するVIX指数はリーマンショック以前の水準まで低下し、金融市場は安定化の兆しを見せています。景気の先行き不透明感はあるものの、豊富な投資資金と流動性が確保され、金融市場が安定化する状況では、リスクマネーはより高リターンが期待される投資先を求めるでしょう。

 先週は、NYダウが大台の9000ドル台乗せ、日経平均は2005年11月以来となる8日続伸となり、27日には1万円台に乗せてきています。また、原油先物相場では期近の9月物が再び70ドル台手前まで上昇してきています。今後もこの流れが続けば、株式や商品市場への投資意欲が一段と強まり、さらに為替市場では、低金利通貨である円を売り、豪ドルなどの高金利通貨を買う動きが強まると考えられます。

【米国債入札に注目】
 また今週は、27日以降4日連続で実施される総額1,150億ドルという過去最大規模の米国債入札にも注目です。いままでの最大規模であった、6月22日の週の入札では、その需給動向が懸念されたにもかかわらず、実際には入札が好調だったことを好感し、NYダウは大幅反発し、為替市場でもリスク志向が高まったことから、円安の展開となりました。このことから、今回も同様に、入札が堅調な結果に終われば、株高・円安の展開となるでしょう。

 一方、入札が不調となれば、ドル安・株安・債券安のトリプル安となる危険性もあります。この場合は、リスク回避の動きが強まることから、円高が加速するでしょう。米景気対策の財源として大量に増発されている米国債は、米財政赤字拡大への懸念を強め、長期的な米国への先行き不安感につながります。よって米国債の需給が悪化すれば、米長期金利が上昇し、米景気回復への足かせとなるほか、ドルへの信頼は低下することになります。

 またこれに関連し、27-28日には、米中戦略・経済対話が予定されていることから、米国債の最大の買い手である中国の見解に注目が集まる可能性があります。中国では、米国債保有残高の増加傾向は続いているものの、その増加ペースは徐々に鈍化しています。さらに長期債への投資が減少し、1年以内に償還される短期債の割合を急速に高めているのも実情です。中国は外貨準備運用の多様化を探っており、運用先を米国債以外に振り向け始めています。中国の動向も、米国債入札やドル相場に影響を与える可能性があるでしょう。

【金価格とドルインデックスの関係】
 ではここで、最近再び1トロイオンス=1,000ドル台乗せに迫る動きを見せている金価格とドルインデックス(米ドルの総合的な価値を示す指標)の関係をみてみましょう。90日間の相関係数をとってみると、最近は再び金価格とドルインデックスの逆相関関係(金が上昇するとドルが下落、金が下落するとドルが上昇)が2007年9月以来の水準まで強まっていることが分かります。最近の景気やドルへの不安から、安全資産としての金投資意欲が強まっているのが背景にあるのでしょう。

 中国は準備資産として金を積み増しています。ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)が5月に発表した1〜3月期の需給統計では、中国は世界最大の需要国に躍り出ました。このことからも、金価格が1,000ドル台に乗せてくるようなら、一段とドル安が加速する可能性があるでしょう。



2009年7月27日

(オーバルネクスト/二見 朱里)

株式会社オーバルネクスト 二見 朱里

担当
農産物、為替
信条
日々国際金融情勢を反映しながら動く為替相場に興味を持ち、現在は、得意な数学的なアプローチを中心に、さまざまな角度から分析を試みています。このコラムでは毎週の為替相場を予想する上で重要なポイントを分かりやすくお伝えできるように努力したいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
経歴
東京大学大学院数理科学研究科卒業後、2007年オーバルネクスト入社、情報企画グループに在籍

株式会社オーバルネクスト

 オーバルネクストは、国内外の先物取引や為替情報に関する各種のニュースやデータを配信、またこれらの情報に伴うシステム開発を行っております。スピードと正確性に富むニュースやデータの配信に加え、オーバルネクスト独自の情報分析を含む各種コンテンツを一般投資家や各種ブローカーの皆様へ幅広く提供しています。
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