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外為マーケットコラム

経済指標が予想を上回れるかに注目

 今週の為替市場では、ISM製造業指数や雇用統計をはじめとする米国の重要な経済指標に市場の関心が集まるでしょう。今後の対円相場、株式相場の一段の上昇には市場の予想を上回る数字が必要だと思われます。また、中国株の動向にも注意が必要でしょう。

【米経済指標に左右される展開】
 前週の対円相場、株式市場はともに米経済指標の内容に左右される展開となりました。前々週の予想を上回る米企業決算や米国経済指標を受けて、米景気の早期回復期待が強まり、日経平均株価は9営業日続伸と、約21年ぶりの記録をつけ、ドル・円相場も95円台まで上昇していました。しかし、その後発表された米消費者信頼感指数や耐久財受注が市場の予想を大きく下回る結果となったことでその流れはいったん休止しました。そして木曜日に発表された米失業保険継続受給者数が予想を下回ったことで相場は上昇に転じましたが、週末に発表された米個人消費が予想以上に悪化したことから、再び下落する展開となりました。

 このように、相場は事前の予想を織り込んで価格形成がされるものであることから、予想を上回る結果がでなければ、自然に上値は限定されます。相場がさらに上昇するには、今後発表される米国の経済指標が、市場の予想を上回ることが必要となるでしょう。米住宅市場にも回復の兆しが出てきており、もう1つの景気回復の鍵である雇用情勢が改善に向かうのかに注目が集まります。

【米雇用統計に注目】
 新規失業保険申請数や失業保険受給総数も減少傾向が続いており、今回発表される雇用統計でも、非農業部門雇用者数の予想は前月比-34万人と、前回より減少幅が縮小する見通しとなっています。今回の雇用統計が予想を上回る結果となれば、市場はそれを素直に好感し、株高が期待できるでしょう。為替市場ではリスク志向の高まりから、円安が進む展開が予想されます。

 ただ前週発表された米消費者信頼感指数の雇用項目では、労働市場の厳しい状況が消費者心理を圧迫していることが示されました。「就職困難」と回答した人の割合は48.1%と、今年3月以来の高水準となり、「十分」と回答した人の割合も、83年2月以来の低水準となっています。

 このことから、いまだ米国の雇用情勢は厳しい状況に置かれているとみられるため、過度な期待には注意が必要でしょう。前週発表された米個人消費は予想を下回る結果となりましたが、個人消費の背後にあるのは雇用情勢です。今後も米国の労働市場の動向は注目されるでしょう。

【中国株の動向に注意】
 また、今後は中国株の動向にも注意が必要になります。現在の世界景気回復が中国頼みとなっていることから、中国株の動向が投資家心理に影響を与えるようになっています。直近でも中国株の急落が世界的な株安・商品安の要因となる場面がありました。中国株が下落すれば、リスクマネーが市場から流出し、世界的な株安、商品安となる可能性もあります。

【新規失業保険申請件数と雇用統計】
 ではここで、新規失業保険申請件数と非農業部門雇用者数の関係を見てみましょう。相関係数は-0.84と、両者には逆相関の関係があることがわかります。そして雇用統計を算出する際に用いられるのはその月の第2週であることから、7月2週の新規失業保険申請件数(524万件)をもとに7月の雇用者数の予想をしてみましょう。

 回帰線が位置しているのは-36.3万人で市場予想の-32.5万人と近い数字です。また、95%信頼区間(95%の確率でその範囲内に入る)は-27.7〜-44.9万件となります。ただ、直近の新規失業保険申請件数(584万件)を当てはめてみると、回帰線の位置するのは-51.2万件であることから、雇用情勢が悪化している可能性もあるため注意が必要でしょう。

 ドル・円は4月6日の高値と6月5日の高値を結ぶ下降トレンドラインとそれに平行な5月22日の安値を通るチャンネルラインに沿って下落が続いており、この下降トレンドラインを上抜けない限り、再び下値を試す可能性があります。また、8月のドル・円の月間陰線確率は過去10年で80%と、夏のボーナス期に合わせた新規投信設定による外貨需要が剥げるほか、米国債を始めとする外債の大量償還があることを背景に、ドル・円は下落しやすい傾向があるため、注意が必要でしょう。





2009年8月3日

(オーバルネクスト/二見 朱里)

株式会社オーバルネクスト 二見 朱里

担当
農産物、為替
信条
日々国際金融情勢を反映しながら動く為替相場に興味を持ち、現在は、得意な数学的なアプローチを中心に、さまざまな角度から分析を試みています。このコラムでは毎週の為替相場を予想する上で重要なポイントを分かりやすくお伝えできるように努力したいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
経歴
東京大学大学院数理科学研究科卒業後、2007年オーバルネクスト入社、情報企画グループに在籍

株式会社オーバルネクスト

 オーバルネクストは、国内外の先物取引や為替情報に関する各種のニュースやデータを配信、またこれらの情報に伴うシステム開発を行っております。スピードと正確性に富むニュースやデータの配信に加え、オーバルネクスト独自の情報分析を含む各種コンテンツを一般投資家や各種ブローカーの皆様へ幅広く提供しています。
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