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外為マーケットコラム

くりっく365の売り玉に注目

 今週は、米連邦公開市場委員会(FOMC)での今後の金融政策や、米国債の四半期定例入札、さらに7月の米小売売上高などの経済指標に注目が集まるでしょう。

【低金利や財政政策に支援され、株高・円安基調継続】
 前週は、予想を上回る住宅指標や、週末に発表された米雇用統計が予想を上回る改善を示したことで、株式市場では、NYダウが昨年11月4日以来、約9カ月ぶりの高値をつけるなど大幅反発、為替市場ではドル・円が6月5日以来の1ドル=97円台まで上昇するなど、円安が進みました。

 米住宅市場に続き、雇用面でも回復の兆しが見えてきたことで、米景気の回復期待がいっそう強まっています。そしてその背景には、世界各国の中銀による金融緩和や政府による財政政策があります。よって、今後の金融政策や財政政策の舵取りは景気動向を左右する重要なものになってくるでしょう。

 そして今週は米国の金融政策を決定するFOMCが開催されます。今回のFOMCでは、政策金利は現状維持を示唆するとみられていますが、注目されているのは9月末に期限を迎える最大3000億ドルの長期債を買い入れる計画の延長や買い入れの増額に踏み切るかどうかです。前週、英国では英中銀(BOE)による資産買い入れプログラムの拡大を受けて株高となった一方でポンド安が加速しました。今回のFOMCでも、同様な展開となるか、もしくは、延長や増額の見送りで、ドル高となるのかが注目されるでしょう。

【米小売売上高や鉱工業生産に注目、正のスパイラルに入れるか?】
 また今週は米小売売上高が発表されます。いまだ米国の個人消費の回復の鈍さが懸念されるなか、その動向に注目が集まります。さらに、景気の一致指標とされる米鉱工業生産が増加に転じれば、生産拡大による雇用の増加が期待され、それが所得や消費の改善につながるという正のスパイラルに入ることが期待できます。そうなれば、息の長い景気回復と株高が続くでしょう。

 一方、そうならなければ持続的な景気回復とはなりません。今後も財政政策のために米国債の大量発行が続けば、需給悪化から金利が上昇し、その悪影響が先に出てくるおそれもあります。金利の上昇は、回復基調にある住宅市場への悪影響を及ぼす可能性があり、それが再び金融機関の不良債権価値の悪化につながるという負のスパイラルに戻る可能性も払拭できず、株式市場は2番底を試す展開となる可能性もあるでしょう。

【くりっく365の売り玉に注目】
 ではここで、東京金融取引所による外国為替証拠金取引の取引所取引であるくりっく365のドル・円の売り玉状況を見てみましょう。最近になって急速に売り玉が増えていることがわかります。これは、市場参加者の多くが「ドル・円は下がる」と思っていたということです。しかし、実際にはドル・円は底堅く推移し、前週末に大きく上昇しました。

 為替レートの変動要因には、経済や政治的要因のほかに需給要因があります。どんなに経済指標が予想を上回ったとしても、多くの人が買い持ちのポジションをとっていれば、レートはそれ以上上がらないという状況になります。相場が最終的に変動する要因となるのは市場の需給であり、市場全体のセンチメントです。市場参加者の見方が一方向に傾くと、相場は逆の方向に行くことが多くなります。よって今後再び円高方向に行くときは、このポジションが整理されてからということになりそうです。



2009年8月10日

(オーバルネクスト/二見 朱里)

株式会社オーバルネクスト 二見 朱里

担当
農産物、為替
信条
日々国際金融情勢を反映しながら動く為替相場に興味を持ち、現在は、得意な数学的なアプローチを中心に、さまざまな角度から分析を試みています。このコラムでは毎週の為替相場を予想する上で重要なポイントを分かりやすくお伝えできるように努力したいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
経歴
東京大学大学院数理科学研究科卒業後、2007年オーバルネクスト入社、情報企画グループに在籍

株式会社オーバルネクスト

 オーバルネクストは、国内外の先物取引や為替情報に関する各種のニュースやデータを配信、またこれらの情報に伴うシステム開発を行っております。スピードと正確性に富むニュースやデータの配信に加え、オーバルネクスト独自の情報分析を含む各種コンテンツを一般投資家や各種ブローカーの皆様へ幅広く提供しています。
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