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外為マーケットコラム

ドルが売られやすい状況か

 今週の為替相場では、引き続き米国を初めとした各国の景気指標が予想を上回れるかどうかに注目が集まるでしょう。また、物価指数の発表が相次ぐことから、各国のインフレ度合いが注目されるほか、大幅な改善が見込まれている日本の国内総生産(GDP)が改善を示し、日本の景気動向にも注目が集まるでしょう。

【ドルが売られやすい状況か】
 注目された米連邦公開市場委員会(FOMC)では、景気判断を引き上げ、事実上の景気底入れ宣言をした上で、政策金利を事実上のゼロ金利に長期間据え置く姿勢を示唆したことで、株や商品などのリスク資産が買われました。

 このように政策金利を長期にわたって低水準に維持することは、リスク資産(=高利回り資産)への需要が高まることから、株の上昇要因となります。そして為替市場では、リスク志向が強まると、金利水準の低い通貨(ドルや円)が売られ、高金利通貨(ユーロや豪ドルなど)が買われる展開となります。

 一方、金融引き締めは株安要因となります。実際、中国では最近、当局による金融引き締め懸念で軟調な展開となっています。また今回のFOMCでも、一部で国債買い取りプログラムを終了し、出口戦略(利上げ)に移行するとの見方があったため、FOMC前には株式などのリスク資産は売られ、為替市場ではドルが買われていました。

 ただ、現状では各国中銀が依然慎重な姿勢を崩しておらず、今後も低金利を維持する方針を示唆していることや、政府による景気刺激策の効果が、今後も株式市場を下支えるでしょう。そして株高局面では、為替市場でもリスク志向が高まり、低金利の円やドルが売られやすい状況は続くと思われます。

 ただ、円に関しては、独仏の第2四半期GDPがプラスに転じたことがユーロ買いにつながったように、今回発表される日本のGDPは前期比プラス0.9%と改善を示したことで、円が買われる可能性もあるため注意が必要でしょう。

【過剰な期待は禁物】
 しかし、株高に対しても過剰な期待は禁物です。米経済指標では、雇用・住宅に続き、改善が期待されていた個人消費が、米小売売上高が予想外の悪化となったことで否定されました。これは、いまだ景気が正のスパイラル(雇用増⇔資産増⇔消費増の好循環)に入っていないことを示すものであり、持続的な景気回復につながらないことを意味します。

 景気には安定の兆しが見られますが、今もなお失業率は高水準であり、住宅市場は依然過去の水準を大幅に下回っています。7月の米失業率が改善したにもかかわらず、ホワイトハウスは「失業率は年内10%に達すると依然予想している」としています。また、住宅ローン残高が住宅の現在価値を上回るネガティブ・エクイティの状態にあるローンの借り手が増加しており、これが一段の差し押さえ増加と住宅価格の著しい下振れ圧力になるといわれています。

 今後は財政赤字の拡大で今後の景気対策は限定的になるなか、景気刺激策の効果が増大するとみられる7〜9月以降の動向が注目となるでしょう。それまでに正のスパイラルに入ることができるかどうかが、今後の株や為替の方向を決定づけると思われます。

 ではここで米小売売上高とNYダウの関係を見てみましょう。米小売売上高は2000年1月を100として、指数化しています。これを見ると、今後小売売上高の減少傾向が続けば、NYダウも下落することが予想されます。今後も米国の個人消費の動向には引き続き注目が集まるでしょう。



2009年8月17日

(オーバルネクスト/二見 朱里)

株式会社オーバルネクスト 二見 朱里

担当
農産物、為替
信条
日々国際金融情勢を反映しながら動く為替相場に興味を持ち、現在は、得意な数学的なアプローチを中心に、さまざまな角度から分析を試みています。このコラムでは毎週の為替相場を予想する上で重要なポイントを分かりやすくお伝えできるように努力したいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
経歴
東京大学大学院数理科学研究科卒業後、2007年オーバルネクスト入社、情報企画グループに在籍

株式会社オーバルネクスト

 オーバルネクストは、国内外の先物取引や為替情報に関する各種のニュースやデータを配信、またこれらの情報に伴うシステム開発を行っております。スピードと正確性に富むニュースやデータの配信に加え、オーバルネクスト独自の情報分析を含む各種コンテンツを一般投資家や各種ブローカーの皆様へ幅広く提供しています。
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