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外為マーケットコラム

ドル・円と米財政収支の関係

 今週の為替市場では、前週末の雇用統計や20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議を受けて、レーバーデー(労働感謝の日)明けの米株式市場・金利市場の動向が注目されます。レーバーデー明けから夏期休暇終了の外国人投資家が動き出すと言われていることからも、注意が必要でしょう。また、今週発表される米地区連銀経済報告書(ベージュブック)での米経済情勢が注目されます。

【景気は回復基調を維持】
 株式市場の上値が重い展開が続く中、世界景気は確実に回復基調をたどっています。前週の米経済指標では、8月のISM製造業景況指数が1年7カ月ぶりに製造業活動の拡大と縮小の境目を示す50を上回り、製造業部門の景気回復が明らかとなりました。また、7月の米中古住宅成約指数の予想以上の伸びや、8月の米小売既存店売上高の予想を上回る結果、さらに8月の米雇用統計でも、景気の遅行指標である失業率は悪化したものの、一致指標である非農業部門雇用者数では減少幅を縮小し、その減少幅は昨年8月以降で最小となるなど、米国の住宅・消費・労働市場の改善が続いていることが示されました。ユーロ圏や日本、中国の経済指標も総じて予想を上回る内容が続いており、世界的な景気の回復基調が続いていることが明らかになっています。

 このことから判断すると、9月2日までの株式市場の下落は、企業の業績見通しに比べて期待が先行し、急ピッチに上昇してしまった相場の調整局面であったとの見方が有効だと思われます。現在は製造部門の回復が、いまだ弱さが残る雇用や消費面に波及するかどうかを見極める期間でしょう。G20でも各国の景気刺激策を当面継続する共同声明を採択しており、今後も景気の下支えとなると思われます。そして今後、雇用や消費面でも回復基調が鮮明となれば、株式市場は一段高となるとみられ、為替市場では円安が進むと予想されます。

 ただ、米連邦準備制度理事会(FRB)でも述べているように、今後の米景気の回復は緩やかにしか進まない見通しとなっており、景気の好循環入りはまだ先となりそうです。このことから、当面は株価や対円相場の上値が重い展開が続くでしょう。

【ドル安、ポンド安懸念が強まる】
 いまだ確実な景気回復軌道に乗れずにいる中、G20で採択されたように景気刺激策を続けると、将来は財政出動に伴う財政赤字の拡大が問題となります。IMF(国際通貨基金)は、G20の財政状態についてのレポートで、米国と英国の今年の財政赤字がG20で最大になるとの見通しを示しました。財政赤字の拡大は、国の信用力にも関わるため、通貨安や長期金利の上昇を招く危険性があります。いまのところは、FRBによる米国債購入や海外投資家の需要により、国債需給の悪化は避けられていますが、今後FRBによる国債買取が終了した後は、FRBの資産膨張や米財政赤字の拡大がドル安要因となる可能性があります。

 現在は、雇用統計の好結果を受けて米債券市場の利回りが上昇していることから、ドル・円はいったん反発する可能性がありますが、FRBは当面政策金利を据え置く姿勢を示していることから、今後も日米間の金利差が縮小傾向に向かえば、ドル安・円高圧力となるでしょう。また、ポンドに対しても、8月6日に英中銀(BOE)が予想外となる資産買い入れ規模拡大(金融緩和)を発表し、その後のBOE議事録でもさらなる金融を議論していたことが明らかとなっていることから、今後の金融緩和策の継続がポンド安要因となると思われます。

【米財政収支とドル・円】
 ではここで米国の財政収支とドル・円の関係を見てみましょう。以下の図は米財政収支(3カ月平均)とドル・円の関係です。これをみるとよく似た動きをしているように見え、このことから判断すると、米財政赤字が縮小すれば、ドル・円もドル高・円安方向へ、悪化すればドル安・円高方向に向かうと予想できます。

 12日未明に発表される米財政収支の予想は1,591億ドルの赤字となっており、これから計算すると3カ月は1,279億ドル赤字と、前月の1,337億ドルの赤字より赤字幅が縮小する見通しです。米政府も先日発表した年央財政見通しで、市場環境の改善を受けて金融安定化のための財政支出が当初見込みよりも減少したことを背景に、今年度(08年10月〜09年9月)の財政赤字見通しを従来より下方修正しています。このことから、ドル・円もいったんは反発する可能性があるでしょう。

 ただ、来年度以降の財政赤字は従来予想よりも拡大する見通しとしており、今後も米財政赤字が拡大するようなら、ドル・円は下落する可能性が高まるでしょう。



2009年9月7日

(オーバルネクスト/二見 朱里)

株式会社オーバルネクスト 二見 朱里

担当
農産物、為替
信条
日々国際金融情勢を反映しながら動く為替相場に興味を持ち、現在は、得意な数学的なアプローチを中心に、さまざまな角度から分析を試みています。このコラムでは毎週の為替相場を予想する上で重要なポイントを分かりやすくお伝えできるように努力したいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
経歴
東京大学大学院数理科学研究科卒業後、2007年オーバルネクスト入社、情報企画グループに在籍

株式会社オーバルネクスト

 オーバルネクストは、国内外の先物取引や為替情報に関する各種のニュースやデータを配信、またこれらの情報に伴うシステム開発を行っております。スピードと正確性に富むニュースやデータの配信に加え、オーバルネクスト独自の情報分析を含む各種コンテンツを一般投資家や各種ブローカーの皆様へ幅広く提供しています。
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