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外為マーケットコラム

ドル安傾向は続く見通し、ただポジション調整の反発にも注意

 今週の為替市場では、米国の消費や住宅市場の動向を判断する指標に注目が集まるでしょう。15日には小売売上高、16日には鉱工業生産、17日には住宅着工件数が発表されます。

【ドル安傾向は続く見通し】
 為替市場ではドル安傾向が強まっています。そしてその要因には、ドルのマネーサプライ(通貨供給量)の増加や、各国との金利差、米財政赤字の拡大があります。

 ドルのマネーサプライ(通貨供給量)の増加の背景には、米連邦準備制度理事会(FRB)が金融市場での信用不安を和らげるために大規模な量的緩和策をとり、市場に大量のドルを供給したことがあります。そしてその効果で、信用市場は改善に向かったことから、一時は出口戦略(金融引き締め)への移行が警戒されました。しかし、20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、「各国の景気刺激策を当面継続する」という共同声明を採択し、今後も市場には潤沢な資金が供給されることが示されたのです。そして信用不安が後退する中、その潤沢な資金はリスクマネーとなり、再びリスクの高い資産に向かっている状況です。

 また金利面では、米金利は当面据え置かれるとみられ、米10年債利回りは低下が続いています。金利に左右されやすい為替市場では他国との金利差の拡大(日本に関しては金利差縮小)がドル売り要因となります。短期金融市場では、3カ月物のドルLIBOR(ロンドン銀行間取引金利)が過去最低水準を更新し、16年ぶりに円LIBORを下回るという事態が続いています。このことは現在の状況では、かつての円を調達し他の金融資産に投資する「円キャリートレード」より、さらに金利の低いドルを調達する「ドルキャリートレード」が有利な状態であることを示しています。

 さらに米国の2008年10月からの09年会計年度の財政赤字は11カ月間の累計で、1兆3,783億6,100万ドル(約125兆300億円)に拡大し、過去最悪だった08年会計年度の約3倍に達しています。景気対策への歳出が続く中、今後もこの数字は膨らむとみられ、米国の財政赤字の拡大は、今後も問題視されると思われます。

これらのことから、為替市場では、当面はドル売り圧力がかかりやい状況だといえるでしょう。

【ドル・円はどこまで下がる?ポジション調整による反発にも注意】
 ドル・円は以下の図のように4月6日の高値と8月7日の高値を結ぶ下降トレンドラインとそのチャンネルラインに沿って下落していることが分かります。そしてその下限ラインとしては、昨年3月19日の安値を通る線、5月22日の安値を通る線、7月13日の安値を通る線を引くことが出来ます。このことからここからの下落は、このどの線で止まるかが焦点となると思われます。前週のNY終値は一番上の線の水準でした。そしてここからさらに下落幅を拡大すれば、2番目の線が位置する2月11日の安値水準の89.70円や、3番目の線が位置する2月3日の安値水準の88.50円が下値目安として挙げられるでしょう。

 来週には日本の連休が控えています。また、金融市場を動かす重要イベントである米連邦公開市場委員会(FOMC)も控えていることから、売り一巡後はポジション調整による反発する可能性もあるため、注意が必要だと思います。



2009年9月14日

(オーバルネクスト/二見 朱里)

株式会社オーバルネクスト 二見 朱里

担当
農産物、為替
信条
日々国際金融情勢を反映しながら動く為替相場に興味を持ち、現在は、得意な数学的なアプローチを中心に、さまざまな角度から分析を試みています。このコラムでは毎週の為替相場を予想する上で重要なポイントを分かりやすくお伝えできるように努力したいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
経歴
東京大学大学院数理科学研究科卒業後、2007年オーバルネクスト入社、情報企画グループに在籍

株式会社オーバルネクスト

 オーバルネクストは、国内外の先物取引や為替情報に関する各種のニュースやデータを配信、またこれらの情報に伴うシステム開発を行っております。スピードと正確性に富むニュースやデータの配信に加え、オーバルネクスト独自の情報分析を含む各種コンテンツを一般投資家や各種ブローカーの皆様へ幅広く提供しています。
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