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外為マーケットコラム

ドルはいったん買い戻される?

 今週の為替市場では、過去最大となる米国債入札や、米国の第3四半期GDP速報、さらに、米住宅市場や個人消費動向の経済指標に関心が集まるでしょう。

【米金利上昇とドル安けん制でドル反発?】
 最近の株高基調を背景にリスク選好の動きが強まったことで、為替市場では低金利のドルを売る動きが続いてきました。ユーロ・ドルは1ユーロ=1.5ドル台に乗せ、2008年8月以来の高値をつける展開となっています。ただ、最近ではドル安に対する警戒感も強まっています。ユーロ圏財務相会合では「ユーロ高がユーロ圏経済に打撃を与えつつある」として強いドルへの要望と必要性を強調し、タイや韓国といったアジア諸国の中央銀行も、自国通貨高による輸出産業へのダメージを減らすためにドル買い介入を継続しています。

 また、最近の米企業の好決算や堅調な米経済指標を受けて、米2年債の利回りは上昇基調にあります。ドルを売る背景にあったものは米国の低金利であることから、今後米金利が上昇に転じれば、ドルが買い戻される可能性があるでしょう。

 ドル・円チャートは4月6日の高値と8月7日の高値を結ぶ下降トレンドラインとその昨年3月19日の安値を通るチャンネルラインの下限に下値をサポートされ、反発に転じました。このことから、今後このチャンネルラインの上限近辺まで上昇する可能性があるでしょう。そしてその後は再び下落に転じる可能性があると思います。

【来月のFOMCに注目】
 ただ、いまだ米経済への先行きが払拭されたわけではありません。米企業の好決算は、米国での売上高の減少を、新興国での売上高の伸びでカバーしている状況です。米国の持続的な景気回復を可能にするには、米企業の好決算→労働市場の回復→個人消費の回復→企業売上の増加という、好循環に入れるかが鍵になるでしょう。そのため、今後も米経済指標や米金融政策には注目が集まると思います。来月開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)で、引き続き低金利の維持が示唆されれば、再びドル売りが優勢になるでしょう。

【円高リスクは人民元か】
 日本の低金利が今後も継続されるとみられることから、円は売られやすい状況が続くと思われます。しかし、最近人民元の切り上げ圧力が強まっていることは、円高方向へのリスクとなるでしょう。米財務省が公表した為替政策報告書の中では、「中国は世界的な経済不均衡是正の進ちょくを妨げるペースで外貨準備を蓄積している」と指摘しているように、現在の人民元安は、先のG20サミットで合意した経済不均衡是正に反しています。

 また、中国国内でも人民元安によるインフレ懸念が台頭しており、中国当局のエコノミストは、「中国が出口戦略の一環として、人民元を緩やかに上昇させる政策を再び実施する可能性が高い」との見方を示しています。今後、中国人民元に切り上げ圧力が高まれば、おなじアジア通貨であり、貿易黒字国通貨である円にも上昇圧力が強まる可能性があるでしょう。





2009年10月26日

(オーバルネクスト/二見 朱里)

株式会社オーバルネクスト 二見 朱里

担当
農産物、為替
信条
日々国際金融情勢を反映しながら動く為替相場に興味を持ち、現在は、得意な数学的なアプローチを中心に、さまざまな角度から分析を試みています。このコラムでは毎週の為替相場を予想する上で重要なポイントを分かりやすくお伝えできるように努力したいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
経歴
東京大学大学院数理科学研究科卒業後、2007年オーバルネクスト入社、情報企画グループに在籍

株式会社オーバルネクスト

 オーバルネクストは、国内外の先物取引や為替情報に関する各種のニュースやデータを配信、またこれらの情報に伴うシステム開発を行っております。スピードと正確性に富むニュースやデータの配信に加え、オーバルネクスト独自の情報分析を含む各種コンテンツを一般投資家や各種ブローカーの皆様へ幅広く提供しています。
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