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外為マーケットコラム

ドルキャリー継続、ただポジション調整の動きには注意

 今週の為替市場では、米連邦公開市場委員会(FOMC)で低金利の維持を決定したことを受けてドルキャリートレードが続くとみられる中、ファンドの決算を控えたポジション調整の動きや株式市場の動き、さらに米9月の貿易収支・10月財政収支に注目です。

【ドルキャリー継続】
 米連邦準備制度理事会(FRB)による声明では、…秧綵爐了餮四用⇒淦されたインフレインフレ期待の安定、の条件を前提に、政策金利を「異例の低水準に長期間据え置く」としました。つまりこの3つの条件から逸脱しない限り、米国での利上げはないのです。そして今後の米金利やドルを見る上では、この3つの指標が重要になってくるでしょう。

 まず、低水準の資源利用とは、デフレギャップ(供給が需要を上回る)を意味します。そして、その改善には雇用・所得環境の改善が必要です。現状では、前週末に発表された米10月失業率は10.2%と、1983年4月以来26年半ぶりの高水準となり、非農業部門雇用者数も22カ月連続で減少するなど、米雇用環境の悪化は続いていることから、今後も当面はデフレギャップ状態が続くでしょう。

 また、FRBがインフレを図る指標として最も重視しているといわれる9月PCEコアデフレータは前年比プラス1.3%と、FRBが目標とする1%〜2%内に収まっていることから、インフレ圧力は抑制されています。そして10月米消費者信頼感指数で発表された1年先のインフレ期待は2.9%と、4月以降の水準を維持しており、インフレ期待も安定している状況です。

 このことから判断すると、現状では米国の利上げ条件を満たしておらず、今後も当面の間、米国の利上げはないとみられます。そして米国の低金利が続く限り、金融市場では低金利のドルを売って高金利通貨や他の資産(株や商品)に投資するドルキャリー取引が継続すると予想され、今後もドル安・株高・商品高の展開が続くと思われます。(株高局面では円も売られやすく、ドル以外の通貨に対しては円安が予想されます)

 ドル安基調を反転させる米利上げに必要な条件を満たすためには、米国の雇用の増加と失業率の減少、さらに足元のインフレ率の上昇とインフレ期待の高まりが必要でしょう。

【米貿易収支・財政収支に注目】
 世界的な不均衡是正に向けた動き(米貿易赤字の縮小)もドル安誘導に働きます。13日に発表される9月の貿易収支での米国の貿易赤字には要注目です。予想では、ドル安にもかかわらず、原油高などを背景に赤字額が前月よりも悪化する見通しです。予想以上に赤字額が増加すれば、ドル安圧力が強まる可能性があるでしょう。

 また、12日に発表される米10月の財政赤字は、前月よりも縮小する見通しとなっていますが、予想に反して財政赤字の拡大が発表されれば、米国の財政への懸念が強まり、ドルが売られる可能性があるでしょう。

【ポジション調整の動きに注意】
 ただ、12月決算期末のファンドの45日前ルールに相当する解約期限(11月半ば)が近付いており、いままでの株の買い・ドル売りのポジションの調整が続く可能性があります。米商品先物取引委員会(CFTC)が発表するIMM通貨先物の取組を見てみても、最近では投機家のドル売りポジション解消(ドルの買い戻し)が続いていることがわかります。

 今後も年度末を控えた投機家が、利益の乗ったドル売りポジションの解消を続ける可能性もあり、一方向のドル安にはならないことも考えられます。今後、ドルキャリーが本格的に再開されるかどうかを判断するためには、IMM通貨先物で、ドル売りポジションの再構築があるかどうかに注目でしょう。



2009年11月9日

(オーバルネクスト/二見 朱里)

株式会社オーバルネクスト 二見 朱里

担当
農産物、為替
信条
日々国際金融情勢を反映しながら動く為替相場に興味を持ち、現在は、得意な数学的なアプローチを中心に、さまざまな角度から分析を試みています。このコラムでは毎週の為替相場を予想する上で重要なポイントを分かりやすくお伝えできるように努力したいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
経歴
東京大学大学院数理科学研究科卒業後、2007年オーバルネクスト入社、情報企画グループに在籍

株式会社オーバルネクスト

 オーバルネクストは、国内外の先物取引や為替情報に関する各種のニュースやデータを配信、またこれらの情報に伴うシステム開発を行っております。スピードと正確性に富むニュースやデータの配信に加え、オーバルネクスト独自の情報分析を含む各種コンテンツを一般投資家や各種ブローカーの皆様へ幅広く提供しています。
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