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外為マーケットコラム

日米金利差に注目

 今週の為替相場では、米雇用統計の好結果を受けた株高・米金利の上昇が続くかが焦点となるでしょう。

【米金利の上昇の継続性が焦点】
 ドバイショックで一時1ドル=84.83円まで急落したドル・円は、急速に値を戻す展開となりました。そのなかでも、30日の87円までの反発は、日本政府によるドル買い/円売り介入観測や、政府与党が円高対策としての追加経済対策を決定したことが一因だったと思われますが、1日以降の上昇は、日本の金利の低下・米金利の上昇で、短期金融市場での日米金利差が縮小したことが背景にあると思います。

 日本の金利は、日銀による広義の量的緩和の決定で低下する一方、米国では経済指標の好転で出口戦略(金融緩和策から金融引き締め策に移行すること)への思惑から、金利が上昇しています。ドル・円相場は日米金利差に影響されやすく、この日米金利差の行方が今後のドル・円相場を左右するでしょう。

 そして米金利に影響を与えるイベントとしては、バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長をはじめ、FRBの要人による講演や、11日発表の11月小売売上高、消費者信頼感などの米経済指標、さらに8日からの米国債入札があります。FRB要人による、現在のドル安や低金利に対する見解や、クリスマス・年末商戦が始まるなかでの米国の個人消費の動向、米国債入札での入札状況や金利動向に市場注目が集まるでしょう。

 そして今後も短期金融市場での日米金利差縮小が続けば、ドル・円はさらに上値を伸ばすと予想されます。現在は日銀と日本政府が協調して円高阻止の姿勢を示していることから、ドル・円の下値を売り込む動きも抑えられるでしょう。また、年末を控えたポジション調整のドルの買戻しもドルを支援する可能性があります。週末に発表された12月1日までの週のIMM通貨先物の取組状況では、大口投機家の円買い/ドル売りポジションが5万6,907枚と、昨年3月以来の高水準となっています。大きく膨らんだドル売りポジションの巻き戻しが続けば、ドル・円は底堅い展開が維持されると思われます。

 ドル・円は今後、一目均衡表の基準線88円〜90.50円(雲の下限で4月6日の高値を起点とする下降トレンドラインが位置)でのもみ合いが予想されます。ただ、90.50円を超えてくれば、11月4日の高値91.32円や雲の上限91.54円、さらに10月27日の高値92.32円を目指すでしょう。そして92円台前半を超えてくれば、一目均衡表が三役好転することから、94円や95円まで上値余地を拡大する可能性があります。

【緩やかなドル安は続く】
 しかし一方で、米債券市場での短期的な金利上昇はあっても、失業率の高止まりが続くと見られる中、米政策金利の引き上げはまだ先になるとみられます。ブラード米セントルイス連銀総裁も、「FRBの金利を低位安定させる決意は非常に固い」と述べています。

 また、今回の雇用統計を受けて、次の雇用統計では非農業部門雇用者数が増加に転じるとの期待が出てきていますが、雇用統計は上下に振れやすい指標でもあり、この期待を裏切る可能性もあるでしょう。ドル・円は、米景気への不安が払拭され、米政策金利が引き上げられない限り、米債券市場での米金利が再び低下するタイミングで売られる可能性が高いと思われます。

 ドバイショックのときのような短期的な値動きに対しては介入観測が強まり、急反発する可能性もありますが、米金利の低下にともなった緩やかなドル安に関しては、当局も為す術がないと思われます。藤井財務相はドバイショック時に、「異常な動きには適切な措置をとらなければならない」と発言をした一方で、9月の会見では「緩やかな動きであれば、介入はあり得ない」と強調しています。また、物価を反映した実質実効為替レートをみると、現在の時点では過度の円高状況ともいえません。ドル・円は今後、11月27日の安値を割り込めば、8月7日の高値、10月7日の安値、10月27日の高値を結んだ波動のV計算値の83.80円やN計算値の82.54円まで下落する可能性があるでしょう。





2009年12月7日

(オーバルネクスト/二見 朱里)

株式会社オーバルネクスト 二見 朱里

担当
農産物、為替
信条
日々国際金融情勢を反映しながら動く為替相場に興味を持ち、現在は、得意な数学的なアプローチを中心に、さまざまな角度から分析を試みています。このコラムでは毎週の為替相場を予想する上で重要なポイントを分かりやすくお伝えできるように努力したいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
経歴
東京大学大学院数理科学研究科卒業後、2007年オーバルネクスト入社、情報企画グループに在籍

株式会社オーバルネクスト

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