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外為マーケットコラム

ドル高の持続性見極め

 今週の為替市場では、年末・クリスマス休暇に向けて商いが薄くなるなか、現在のドルの買戻しが続くのかが焦点となるでしょう。そのなかで、米経済指標が引き続き好調さを維持するかどうかや、原油価格の動向、欧州圏での経済情勢に注目です。

【米国の早期利上げ観測でドルキャリーの巻き戻し】
 米国の第3四半期企業利益は前期比で13.4%増加し、米雇用統計は大幅に改善、さらに11月の米小売売上高は市場予想の2倍以上の伸びとなりました。これは米経済が正のスパイラル(企業の好決算⇔雇用増⇔消費増の好循環)に入りつつあることを示しています。

 また、FOMC声明文では、政策金利を0〜0.25%に据え置き、「長期にわたり」異例な低水準に維持する方針を改めて示した一方で、2010年3月の量的緩和終了や、一連の資金供給政策を終了することを示唆したことから、市場では出口戦略(金融緩和策の終了)への意識が高まり、米国の低金利政策の転換時期が予想より早まるとの見方が強まっています。

 そしてこれらを受けて現在、ドルが主要通貨に対して買われています。いままでのドル安の背景となっていたのはドルキャリートレード、つまり低金利のドルで資金を借り入れ(ドル売り)、利回りの高い資産に投資する取引が活発化していたからです。しかし、米国の低金利という前提が崩れれば、この取引は不可能になります。現在は米金利が上昇するとの思惑が強まっていることから、ドルキャリートレードの巻き戻し(ドルの買戻し)が起こっているのです。

 そして、今後の為替市場では、このドルの買戻しがいつまで続くのか、また今後はドル高基調に転換するのかどうかが焦点となるでしょう。そしてそれを判断するには米国の経済指標の好転が続くかどうかに注目です。また、欧州圏での経済情勢や、イラン・イラク問題での地政学リスクも重要となるでしょう。リスク回避の動きはドル高につながります。

【短期的にはドル・円は上振れ余地あり】
 今週発表される米経済指標は総じて前月から上昇する予想となっています。このことから、米景気への回復期待がさらに強まり、インフレ観測を背景に、米金利の上昇基調が一段と強まる可能性があるでしょう。一方、日本の金利は、日銀が「ゼロ%以下のマイナスの値は許容していない」と、金融緩和の継続を強く表明したことを受けて、低下傾向にあります。

 ドル・円は日米金利差の影響を受けやすい傾向があります。このことから、現在はドル・円には上昇圧力がかかりやすい状況といえるでしょう。さらに、最近の急速なドル高は年末に向けた投資家のポジション調整期に重なったことも一因となっています。そして、この動きはクリスマス休暇前後まで続くと思われ、商いが薄い中で、大口のドルの買戻しが入れば、ドル・円は一段高となることが予想されます。

【ドル売りが再開される可能性も】
 しかし、米経済は正のスパイラルに入りつつあるものの、いまだ雇用は増加に転じておらず、失業率も高止まりしています。直近の米新規失業保険申請数がやや増加し、NY連銀景況感指数が大幅悪化するなど、米経済指標はいまだ上下に振れる可能性が残っています。

 本格的な米経済の回復や、利上げの必要性が強まるためには、継続的な雇用者数の増加と失業率の低下が必要でしょう。1月5日に発表される12月の米雇用統計が期待はずれの結果となれば、米金利の低下とともに、ドルは再び売られる可能性があります。ドルが継続的な上昇局面に入るのは時期尚早でしょう。

【NYダウは堅調推移が続くか】
 以下の図は米主要10経済指標が前月比で上昇した数とNYダウ(月は2ヶ月先行)の関係です。これをみるとよく似た動きとなっていることが分かります。そして11月の経済指標は10個中7個の数字が改善と、経済指標の改善傾向が強まっていることが分かります。このことから考えると、今後もNYダウは堅調さを維持することが予想され、為替市場では、株高を受けたリスク志向のドル売りが再開する可能性もあると思われます。



2009年12月21日

(オーバルネクスト/二見 朱里)

株式会社オーバルネクスト 二見 朱里

担当
農産物、為替
信条
日々国際金融情勢を反映しながら動く為替相場に興味を持ち、現在は、得意な数学的なアプローチを中心に、さまざまな角度から分析を試みています。このコラムでは毎週の為替相場を予想する上で重要なポイントを分かりやすくお伝えできるように努力したいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
経歴
東京大学大学院数理科学研究科卒業後、2007年オーバルネクスト入社、情報企画グループに在籍

株式会社オーバルネクスト

 オーバルネクストは、国内外の先物取引や為替情報に関する各種のニュースやデータを配信、またこれらの情報に伴うシステム開発を行っております。スピードと正確性に富むニュースやデータの配信に加え、オーバルネクスト独自の情報分析を含む各種コンテンツを一般投資家や各種ブローカーの皆様へ幅広く提供しています。
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