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外為マーケットコラム

今月のドル・円の下値は88.50円程度?

 今週の為替市場では、予想を下回る内容となった米雇用統計を受けて、これまでのドル高基調が転換し、ドル安が再開するのかどうかに注目です。今週発表される米国の個人消費や物価動向を反映する経済指標、さらに企業決算の発表で、米株式市場や米金利がどう反応するかが焦点となるでしょう。

【米利上げは時期尚早、ドル高調整局面】
 8日に発表された米雇用統計では、非農業部門雇用者数が予想外の減少となったことを受けて、米国の早期利上げ観測が後退し、米金利の低下とともにドルが売られる展開となりました。一部では前月比で増加に転じるとの見方もあったため、市場には失望感が広がっています。ドル・円は1ドル=93円台から11日には一時91円台までドル安/円高が進みました。

 先週まで続いたドル高は、米国経済の回復を背景とした米国の早期利上げ観測が背景にありました。しかし、米国の失業率は10%と、いまだ1980年代前半以来の高水準にとどまっており、今後も雇用情勢は低水準の状況が続くと思われます。ローゼングレン・ボストン連銀総裁も失業率の高止まりを予想しており、「景気回復が持続可能になるまで連邦準備理事会(FRB)は利上げを急ぐべきでない」としました。

 今後発表される米経済指標も予想ほど改善を示さなければ、早期に織り込まれすぎた金利上昇の調整局面となり、それに伴って、いままでのドル高に対する調整局面となることが予想されます。また、いまのところは利上げ観測の後退で株式市場は底堅く推移していますが、米景気回復期待の後退で株式市場も下落に転じれば、円高が一段と進む可能性もあるでしょう。

【米経済は緩やかな回復基調をたどる】
 ただ、一方で米経済が回復基調にあることは事実です。12月の米ISM製造業景気指数が、好不況の分かれ目となる50を5カ月連続で上回るなど、米企業の生産活動は拡大基調を続けており、新規失業保険申請件数の減少傾向や11月の非農業部門雇用者数が減少から増加に修正されていることからも、米雇用環境は着実に回復基調にあることが分かります。

 今後発表される米小売売上高や消費者信頼感指数、さらに企業業績が好調な結果となれば、ドル安も限定的となるでしょう。米国際ショッピングセンター協会(ICSC)が発表した米主要小売りチェーン各社の12月の売上高は、2.8%増と08年4月以来の高い伸びとなりました。米国の年末商戦が期待以上に堅調だったことから、12月の小売売上高も予想以上の数字が出る可能性もあります。最近の米経済指標は、米景気の正のスパイラル入り(企業の好決算⇔雇用増⇔消費増の好循環)への一歩を踏み出しつつあります。

【ドル・円は80円台後半〜90円台前半でのもみ合いが続く?】
 ではここで、過去10年間のドル・円の月間値幅を見てみましょう。これをみると、1月は平均で5.2円の値幅となっていることが分かります。よって今回、8日につけたドル・円の高値1ドル=93.77円が今月の高値となれば、今月の安値は88.50円程度となることが推定されます。

 ドル・円は米国の早期利上げ観測の後退から上値が重い一方で、日本の低金利の長期化観測から底堅く推移すると思われることからも、しばらくは80円台後半〜90円台前半でのもみ合いとなることが予想されます。



2010年1月12日

(オーバルネクスト/二見 朱里)

株式会社オーバルネクスト 二見 朱里

担当
農産物、為替
信条
日々国際金融情勢を反映しながら動く為替相場に興味を持ち、現在は、得意な数学的なアプローチを中心に、さまざまな角度から分析を試みています。このコラムでは毎週の為替相場を予想する上で重要なポイントを分かりやすくお伝えできるように努力したいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
経歴
東京大学大学院数理科学研究科卒業後、2007年オーバルネクスト入社、情報企画グループに在籍

株式会社オーバルネクスト

 オーバルネクストは、国内外の先物取引や為替情報に関する各種のニュースやデータを配信、またこれらの情報に伴うシステム開発を行っております。スピードと正確性に富むニュースやデータの配信に加え、オーバルネクスト独自の情報分析を含む各種コンテンツを一般投資家や各種ブローカーの皆様へ幅広く提供しています。
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