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外為マーケットコラム

現時点ではドル・円は売り優勢か

 今週の為替相場では、米経済統計や企業決算を受けた米株式市場や米金利の動向が引き続き焦点となるでしょう。

【米景気は緩やかに回復の見込み、ドル・円相場は株や金利に左右される展開】
 米国では、堅調な経済指標が続いたことから、景気の回復と早期の金利引き上げ観測が高まっていましたが、12月の米雇用統計や小売売上高がともに予想外の悪化となったことから、利上げを織り込みすぎていた米金利は低下し、米金利に左右されやすいドル・円は売られる展開となりました。

 米経済は回復基調にあるものの、いまだ10%台と1983年以来の高水準にある失業率や、個人消費の伸び悩み、さらに住宅市場の低迷を背景に、その勢いは緩やかになるとみられます。今後発表される経済指標も、強弱混在のまちまちな内容となるでしょう。

 また米企業決算でも、米非鉄大手アルコアの決算が期待はずれの結果となった一方で、半導体大手インテルが予想を上回る決算を発表するなど、まちまちの内容となっています。今週から米金融機関の決算が相次いで発表される予定となっており、米金融株の動きも注目する必要があるでしょう。

 そして今後もまちまちな米経済指標や企業業績の発表で一喜一憂する可能性が高く、それに伴う米株式市場や米金利の変動が、ドル・円相場を左右する展開がしばらく続くと予想されます。

【人民元高圧力はドル・円の売り圧力に】
 米製造業指数の回復や雇用環境の改善傾向が続いていることから、米国の景気回復基調が強まっていることは事実です。しかし、現時点では米国の利上げは時期尚早であることや、短期金融市場での日米金利差逆転状況が続いていること、さらに人民元の切り上げ圧力が強まっていることなどから、ドル・円には売り圧力がかかりやすいでしょう。

 今週は中国の2009年第4四半期GDPなど、重要経済指標が発表される予定となっています。中国政府は現在、市場予想よりも早い時期に預金準備率を引き上げるなど、最近の不動産バブルや経済の過熱に対する懸念を強めており、国内でも人民元の切り上げによる投機的な資本流入の抑制策が提案されるなど、人民元の切り上げ観測が強まっています。

 中国当局による政策金利の利上げや、通貨政策の転換は時期尚早であるものの、今週発表される経済指標が好結果となれば、世界の不均衡是正の議論が強まり、人民元の切り上げ圧力が強まる可能性もあります。菅財務相が、2月のG7財務相・中央銀行総裁会合で「人民元のあり方について議論が出るかもしれない」と述べるなど、今後人民元切り上げに対する思惑的な動きが出る可能性もあると思います。人民元の切り上げ観測は、その代替通貨と見られている円の短期的な上昇要因圧力となるでしょう。



2010年1月18日

(オーバルネクスト/二見 朱里)

株式会社オーバルネクスト 二見 朱里

担当
農産物、為替
信条
日々国際金融情勢を反映しながら動く為替相場に興味を持ち、現在は、得意な数学的なアプローチを中心に、さまざまな角度から分析を試みています。このコラムでは毎週の為替相場を予想する上で重要なポイントを分かりやすくお伝えできるように努力したいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
経歴
東京大学大学院数理科学研究科卒業後、2007年オーバルネクスト入社、情報企画グループに在籍

株式会社オーバルネクスト

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