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外為マーケットコラム

実体経済は回復基調を維持、ただソブリン・リスクに注意

 今週の為替市場では、市場で注目が集まっていた米雇用統計や7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)を終え、次なる材料探しの週になるでしょう。今週の米経済指標では米貿易収支や財政収支、さらに1月小売売上高やミシガン大学消費者信頼感指数が発表されます。また、財政不安が高まっている南欧諸国PIGS(ポルトガル、イタリア、ギリシャ、スペイン)の動向には引き続き警戒が必要でしょう。

【次なる材料さがしか】
 今回の1月米雇用統計では、米非農業部門雇用者数が予想に反して減少する一方で、失業率は予想外の改善を示し、強弱まちまちの結果となりました。これを受けて為替市場では乱高下となったものの、結局は「往って来い」の展開となっています。

 また、G7では米国の金融規制案や世界経済の不均衡問題(人民元の切り上げについて)、各国の財政問題が主要議題にあがっていましたが、今回合意したのは、G7が中国やインドなど新興国の台頭で存在意義が問われていたことを受けて、今後は各国代表が率直に意見交換する非公式な会合へ移行するということでした。そして、1997年9月以来、約12年半ぶりに共同声明を採択せずに終わりました。

 その他には、世界経済が回復基調になるまで景気刺激策を続ける方針を示したものの、注目されたオバマ大統領の新金融規制案や人民元相場については、「金融危機対策で投入した公的資金に損失が発生した場合、金融機関に補てんさせる」「為替問題については従来の見解を踏襲する」という言及にとどまりました。

 雇用統計やG7で今後の相場を見る上での判断材料を得られなかったことから、今後新たな材料を探す局面となるでしょう。週明けの為替市場は落ち着いた相場展開となっています。

【実体経済は回復基調を維持】
 発表された最近の米経済指標を見てみると、全般的には改善基調を示しています。米国の製造業の景況感を反映するISM製造業景気指数は前月から上昇し、2004年8月以来の高水準となりました。また、世界各国の製造業関連指標も軒並み強い内容となっています。

 このことから、今後も世界経済の回復基調は続くと思われ、米国が経済の好循環(米企業の好決算→労働市場の回復→個人消費の回復→企業売上の増加)に入れば、株高・円安傾向がしだいに強まる展開となるでしょう。今回発表される米国の小売売上高や消費者信頼感指数では、米国の個人消費に改善が見られるかが焦点となるでしょう。予想では、どちらも前月比で上昇する見通しとなっています。これらを受けて米経済の回復期待が再び強まれば、株高・円安となるでしょう。

【ソブリン・リスク強まる】
 しかし、リスクは依然払拭できない状況です。1月の米雇用統計では失業率が予想外の改善を示しましたが、これは職探しをやめた人の数が大幅に増加したことが背景にあります。非農業部門雇用者数もいまだに増加に転じておらず、米企業は従業員を増やすことに慎重な姿勢を崩していません。

 また現在、各国の財政問題への懸念が強まっています。ギリシャの財政悪化への懸念が他の南欧諸国に飛び火し、さらには英国や日本、米国などの先進国にも波及しつつあります。今後、各国の財政悪化懸念が強まり、金融不安が再燃すれば、せっかく各国の積極的な財政出動に支えられた世界経済の回復が頓挫する可能性があるでしょう。財政不安が一層強まれば、さらなる株安と円高が予想されます。

 ではここで、各国の5年国債CDS(ソブリンCDS)市場の動向を見てみましょう。CDSとは、クレジット・デフォルト・スワップの略であり、投資先の破たんによる損失に供えた保険(債務保証)のことを言います。そしてこの保険料率(CDSスプレッド)は信用リスクが高くなると上昇します。

 ギリシャのCDSスプレッドは5日に420ベーシスポイント(保証料率4.2%)となり、過去最高を記録しています。一般的に、保証料が2%以上で警戒、4%以上で危険な状態を表します。ギリシャの財政は市場では危険とみなされているのです。今後、各国のCDSスプレットが一段と上昇すれば、リスク回避の動きが強まり、株安・円高となるでしょう。



2010年2月8日

(オーバルネクスト/二見 朱里)

株式会社オーバルネクスト 二見 朱里

担当
農産物、為替
信条
日々国際金融情勢を反映しながら動く為替相場に興味を持ち、現在は、得意な数学的なアプローチを中心に、さまざまな角度から分析を試みています。このコラムでは毎週の為替相場を予想する上で重要なポイントを分かりやすくお伝えできるように努力したいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
経歴
東京大学大学院数理科学研究科卒業後、2007年オーバルネクスト入社、情報企画グループに在籍

株式会社オーバルネクスト

 オーバルネクストは、国内外の先物取引や為替情報に関する各種のニュースやデータを配信、またこれらの情報に伴うシステム開発を行っております。スピードと正確性に富むニュースやデータの配信に加え、オーバルネクスト独自の情報分析を含む各種コンテンツを一般投資家や各種ブローカーの皆様へ幅広く提供しています。
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