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外為マーケットコラム

新規失業保険申請数と雇用統計に注目

 今週の注目材料は米国の主要経済指標となるでしょう。ISM景況感指数や雇用統計、住宅指標に注目が集まります。また、ギリシャをはじめとする欧州圏の債務問題にも引き続き警戒が必要でしょう。

【不安要素いまだ払拭できず】
 2月最終週は、いったん落ち着きをみせていた不安要素が再び浮上しました。2月の米消費者信頼感指数や1月の新築住宅販売件数が大幅に悪化、さらに新規失業保険申請件数が予想外に増加したことで、米経済の先行き不透明感が再燃しています。

 2月の米消費者信頼感指数では、景気の先行きに対する米消費者の楽観的な見方が減少し、雇用に対する悲観的な見方が増えるなど、雇用環境が依然厳しい状況にあるなか、米経済の先行きへ不安感が強まっています。そして、このことが消費者の一段の消費手控えにつながれば、米景気回復の足取りを鈍らせる可能性があるでしょう。

 また、米連邦預金保険公社(FDIC)が、経営に問題があると判断した金融機関が、昨年12月末時点で702行にのぼるなど、住宅市場や雇用情勢の低迷でローンの焦げ付きが増加し、苦境に陥る金融機関は増え続けているといいます。ユーロ圏でも、ギリシャ国債の格下げ懸念を背景に、欧州金融機関の債務増加懸念が強まるなど、欧米金融機関への不安はいまだ払拭できていない状況です。

 そしてこの金融機関への不安が残る限り、市場はショックに対してぜい弱な状態が続くと思われ、さまざまな不安要素が今後も市場を揺さぶる可能性があるでしょう。

【危機は一過性か】
 現在は各国の流動性対策を背景に金融市場は安定感を取り戻しており、危機は一過性で終わる可能性が高いと思われます。株式市場も実需以外のCTA(商品投資顧問業者)とみられる短期筋の売買が相場を左右している面もあるようです。今後経済指標が再び好転してくれば、株式市場も持ち直すでしょう。バーナンキFRB議長は改めて長期間の低金利維持を示唆しており、株式市場にとっては好条件の環境が続いていると言えます。

 しかし、今後各国が出口戦略に向かうなか、金融システムの正常化は引き続き課題となるでしょう。また、欧州圏発の金融不安がさらに強まれば世界経済が再び減速する可能性も否定できません。アジア太平洋地域の対外債務残高のほぼ半分は欧州系金融機関が占めるとされ、欧州の金融不安や景気悪化は、アジア経済をはじめ世界経済に悪影響を及ぼしかねないといいます。

 ユーロ圏経済の中心であるドイツの2月IFO景況感指数が予想に反して悪化し、約1年ぶりの低下となったことにも注意が必要でしょう。今回は降雪や低温が建設・小売業界に影響を及ぼしたことが指数を下押ししたとみられますが、金融不安が実体経済に影響を与えた可能性もあり、今後の欧州圏の経済情勢には注意が必要だと思われます。

【米新規失業保険申請数と雇用統計に注目】
 2月米雇用統計では、非農業部門雇用者数が5万人減少と前回の2万人減少から減少幅が増加、失業率は9.8%と1月の9.7%から上昇するとみられています。これは、最近発表された失業保険申請件数の増加を反映したものでしょう。そして予想より悪い結果が出れば、株安・円高が一段と進むことになるとみられます。

 ただ、予想外の大幅増加となった2月13日までの新規失業保険申請件数は、豪雪による影響を受けた可能性があり、一時的な現象だとみられています。よって今週4日に発表される新規失業保険申請件数が減少に転じていれば、株式市場もこれを好感するでしょう。株高に転じれば、為替市場では円安傾向が強まるとみられます。

 また、以下のグラフは米新規失業保険申請数を7カ月先行させたものと失業率の関係です。これをみるとおおむね一致していることが分かります。このことから判断すると、今後米失業率は低下傾向を続けると予想されます。よって今回の雇用統計で、失業率が悪化するとの予想に反し、低下を示せば、株は一段高となり、為替も円安が進むと考えられます。



2010年3月1日

(オーバルネクスト/二見 朱里)

株式会社オーバルネクスト 二見 朱里

担当
農産物、為替
信条
日々国際金融情勢を反映しながら動く為替相場に興味を持ち、現在は、得意な数学的なアプローチを中心に、さまざまな角度から分析を試みています。このコラムでは毎週の為替相場を予想する上で重要なポイントを分かりやすくお伝えできるように努力したいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
経歴
東京大学大学院数理科学研究科卒業後、2007年オーバルネクスト入社、情報企画グループに在籍

株式会社オーバルネクスト

 オーバルネクストは、国内外の先物取引や為替情報に関する各種のニュースやデータを配信、またこれらの情報に伴うシステム開発を行っております。スピードと正確性に富むニュースやデータの配信に加え、オーバルネクスト独自の情報分析を含む各種コンテンツを一般投資家や各種ブローカーの皆様へ幅広く提供しています。
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