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外為マーケットコラム

ドル・円が上昇トレンドに転換するには?

【ドル・円の上昇は短期的には持続不能?】
 24日、ドル・円相場は1ドル=90円台前半から92円台半ばまで急伸し、25日には93円近辺まで上昇しました。ドル・円相場は日米金利差に影響されやすく、最近の米国の景気回復期待から米金利が上昇し、日米金利差が拡大傾向にあったことで底堅い展開が続いていました。

 ただ、今回の急上昇の背景には、米財務省が実施した5年債入札が不調な結果となり、米金利が一段高となったことがあります。そしてこれは最近話題となったギリシャの財政悪化でギリシャ国債が売られたように、大規模な財政赤字が膨らんでいる米国への警戒感が強まり、海外勢の米国債の買い需要が減少したことが一因となっている可能性があります。米国では、医療制度改革法が成立したことで、財政赤字が一段と拡大するとの警戒感が強まっています。

 たしかに米金利の上昇はドル・円の支援材料となります。ただ、今回のような財政赤字を背景とした米国債需要の低迷での金利上昇は、悪い金利上昇であり、持続的なドル高にはつながりにくいと考えられます。

【株高となるかが焦点】
 ただ、米景気が回復基調にあることは事実です。よって今後、持続的なドル高となるためには、米景気の回復を受けての良い金利上昇が必要となるでしょう。そのためには株高となるかどうかが焦点となります。米景気の回復を背景とした良い金利上昇ならば、株式市場は上昇するはずだからです(債券から株式市場に資金が流入するため)。

 しかし、現状では24日以降、米株式市場は上値の重い展開となっています。今後、ドル・円相場が上昇トレンドに転換するには、米国株の上昇と米金利の上昇が同時に起こることが必要十分条件となるでしょう。

 このことから、4月2日に発表される米雇用統計にも注目が集まると思います。予想以上の数字が出れば、米景気回復への期待がさらに強まり、株高・ドル高となるでしょう。米連邦公開市場委員会(FOMC)声明文でも、労働市場については、前回の「悪化が鈍化している」から「安定しつつある」に判断を前進させ、3月のフィラデルフィア連銀製造業業況指数では、雇用項目が2007年8月以来の高水準となりました。一方、予想を下回れば、株安とともにドル安が強まると思われます。

 以下の図は米国の雇用者数(1996年1月からの雇用者の累計)とNYダウの関係を示しています。現在米国の雇用者数の減少幅は縮小傾向にあります。今後この雇用者数が増加に向かえば、2004年からのように米国株は一段高となることが予想され、ドル・円も上昇トレンドに転換するでしょう。



2010年3月29日

(オーバルネクスト/二見 朱里)

株式会社オーバルネクスト 二見 朱里

担当
農産物、為替
信条
日々国際金融情勢を反映しながら動く為替相場に興味を持ち、現在は、得意な数学的なアプローチを中心に、さまざまな角度から分析を試みています。このコラムでは毎週の為替相場を予想する上で重要なポイントを分かりやすくお伝えできるように努力したいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
経歴
東京大学大学院数理科学研究科卒業後、2007年オーバルネクスト入社、情報企画グループに在籍

株式会社オーバルネクスト

 オーバルネクストは、国内外の先物取引や為替情報に関する各種のニュースやデータを配信、またこれらの情報に伴うシステム開発を行っております。スピードと正確性に富むニュースやデータの配信に加え、オーバルネクスト独自の情報分析を含む各種コンテンツを一般投資家や各種ブローカーの皆様へ幅広く提供しています。
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