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外為マーケットコラム

米10年債利回りに注目。株安や人民元切り上げが短期的な円高リスク

 今週の為替相場では、米雇用統計の結果を受けて3.95%近辺まで上昇した米10年債利回りが、6日の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録(3月16日開催分)や7日のバーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演を受けてどのように変化するかに注目です。また、最近になって人民元切り上げ観測が強まっていることから、円相場に影響を与えるとみられる人民元の動向にも注意が必要でしょう。

【米10年債利回りとドル・円の関係に注目】
 最近では米10年債利回りとドル・円の関係が注目されています。米10年債利回りは米国の経済成長率や将来のインフレ率を反映することから、ドル相場に影響を与えます。米10年債利回りは、3月24日に最近のレンジ上限にあたる3.85%まで上昇し、4月2日に発表された雇用統計を受けて3.95%と、昨年6月11日以来の高水準まで上昇しました。そしてそれにあわせてドル・円も3月24日に1ドル=90円台から92円台に急伸し、雇用統計を受けて94円台と昨年8月24日以来の水準まで上昇し、2007年6月22日の高値を起点とする長期の下降トレンドラインを突破しました。

 このように、ここ数年では米10年債利回りとドル・円の相関性は強くなっており、2005年以降の相関係数は0.85と非常に高くなっています。そしてこのことを利用して回帰分析を試みると、回帰直線はy=13.27x+53.11となります(x:米10年債利回り、y:ドル・円)。そしてここに、現在の米10年債の金利3.95%を当てはめると105.51円となることから、ドル・円は105円台まで上昇してもおかしくはないといえるでしょう。

 今後も米国の雇用環境の改善が続き、株高基調が維持されれば、米10年債利回りは良い金利上昇を続けるでしょう。そしてこの環境では、FRBも政策金利の引き上げに動くとみられることから、ドル・円の上昇基調は継続すると見られます。

【円高リスクは株安・人民元切り上げ】
 ただ、円高へのリスクがなくなったわけではありません。3月の米雇用統計では雇用者数は増加したものの、失業率は横ばいとなり、いまだ高水準を維持しています。また賃金も伸び悩んでおり、米国の住宅価格は今でも下落も続いていることから、米個人資産は減少していると思われます。今後株価が再び下落に転じ、現在の株高による利益収入がなくなれば、消費動向も再び悪化するリスクがあるでしょう。高値警戒感が強まっている株式市場が調整局面となれば、為替市場では、短期的にせよ、急速な円高へのリスクが強まる可能性があると思います。

 また、現在の米10年債利回りの上昇は、米財政赤字の拡大や、米政府系住宅金融機関(GSE)の債券を米政府の債務とするべきとの主張が出てきたことを背景とした悪い米金利上昇である可能性もあります。この場合、今後株式市場も下落に転じる可能性があり、注意が必要でしょう。さらに今週のFRB要人による金融政策に関する発言も米金利を動かす可能性があり、低金利の維持を示唆すれば、米10年債利回りも低下すると考えられ、ドル・円にも下落圧力がかかるでしょう。

 さらに、中国人民元の切り上げ観測も短期的な円高リスクとなると思われます。中国一部紙は、人民元の為替制度改革を4月に実施する案が中国政府内で話し合われていると報じ、中国人民銀行通貨政策委員会の李稻葵氏は、「人民元レートの引き上げは不可避」とし、中国が自主的に人民元レートを調整する必要があるとの認識を示しました。

 このように、中国本土からの人民元切り上げへの意識が高まってきたことからも、切り上げが迫っている可能性があり、注意が必要だといえるでしょう。



2010年4月5日

(オーバルネクスト/二見 朱里)

株式会社オーバルネクスト 二見 朱里

担当
農産物、為替
信条
日々国際金融情勢を反映しながら動く為替相場に興味を持ち、現在は、得意な数学的なアプローチを中心に、さまざまな角度から分析を試みています。このコラムでは毎週の為替相場を予想する上で重要なポイントを分かりやすくお伝えできるように努力したいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
経歴
東京大学大学院数理科学研究科卒業後、2007年オーバルネクスト入社、情報企画グループに在籍

株式会社オーバルネクスト

 オーバルネクストは、国内外の先物取引や為替情報に関する各種のニュースやデータを配信、またこれらの情報に伴うシステム開発を行っております。スピードと正確性に富むニュースやデータの配信に加え、オーバルネクスト独自の情報分析を含む各種コンテンツを一般投資家や各種ブローカーの皆様へ幅広く提供しています。
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