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外為マーケットコラム

ドル・円は株価次第

【米景気の回復は株価次第?】
 4月初旬から発表が相次いだ米企業決算は総じて好決算となり、3月の米小売売上高は予想を上回る内容となりました。米雇用情勢の改善とともに、米企業業績や個人消費は、市場の予想よりも速く回復しつつあります。ただ、いまだ失業率が高止まりし、賃金も伸び悩む中での個人消費の回復には、株高による個人資産の増加が背景にあると思われます。

 よって今後の株価の推移が、実体経済にも影響を及ぼすでしょう。仮にこのまま株価が堅調推移を続ければ、個人消費増加→企業の好決算→雇用の改善→個人消費増加という好循環に入り、米国が継続的な景気回復に入ることが期待できます。

 現在の株高の背景には、低水準に据え置かれている米政策金利があります。この面では、3月の米消費者物価指数(CPI)で、引き続きインフレ圧力が抑制されていることが示され、14日のバーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言でも、長期間にわたる低金利の維持を改めて示唆したことからも、低金利政策が継続すると考えられ、このことが今後も株価を下支えると考えられます。

 そして為替市場では、中長期的にドル高・円安方向にバイアスがかかると思われます。米景気の回復期待から米国債利回りが上昇し、日米金利差が拡大すればドル高・円安要因となります。また、FRBが金融危機に際して導入した米国債などの買い取りを終了し、公定歩合を引き上げるなど、確実に出口戦略(金融政策の正常化)に向かうなか、日銀は断固として緩和路線を維持しています。このような日米の金融政策の方向性に開きが出てきていることもドル・円の支援要因となるでしょう。

 また、今週は米主要企業の第1四半期決算が相次いで発表される予定となっており、総じて堅調な決算を発表するとみられています。これらの発表を受けて米景気の回復期待が強まれば、株高・円安となるでしょう。米ドル・円は、5日の高値1ドル=94.79円を超えてくれば、4月6日からの下落の61.8%戻しの95.10円や、昨年8月7日の高値97.79円や昨年6月5日高値の98.89円、さらに節目の100円を目指す展開が予想されます。

【短期的には株安・円高リスク】
 一方、短期的には株安リスクがはいまだ払拭できません。前週末に、米証券取引委員会(SEC)が米金融大手ゴールドマン・サックスを証券詐欺の疑いで民事提訴したとの報道を受けて、政府による金融規制強化の動きが警戒されました。

 米国の金融規制強化は、金融機関の収益を圧迫することから金融株の下落要因となり、米株式市場全体の重しになります。今年の1月末に、それまで堅調推移を続けていたNYダウが下落に転じ、10,700ドル台から9,800ドル台まで下落した要因となったのも、米国での金融規制強化への警戒感からでした。このときにドル・円も93円台後半から88.50円近辺までドル安・円高が進んでいます。

 また、人民元切り上げへの思惑やギリシャ問題に決着が付いていないことも株安・円高リスクとなるでしょう。人民元の切り上げは今後確実にあると考えられ、焦点となるのはそのタイミングや幅となっています。また、ギリシャの財政再建は前途多難な状況が続くと思われます。

 ドル・円は目先、昨年11月27日の安値からの上昇の38.2%押し水準で、一目均衡表の雲の上限にも一致する91円近辺がサポートとなるでしょう。この水準を下回ってくれば、上述の半値押しで雲の下限とも一致する89.88円を試すと思われます。そして雲を割り込めば、下げ幅を拡大する可能性があり、上述の61.8%押し88.60円近辺や3月4日の安値88.14円、12月9日の安値87.37円がターゲットとなるでしょう。



2010年4月19日

(オーバルネクスト/二見 朱里)

株式会社オーバルネクスト 二見 朱里

担当
農産物、為替
信条
日々国際金融情勢を反映しながら動く為替相場に興味を持ち、現在は、得意な数学的なアプローチを中心に、さまざまな角度から分析を試みています。このコラムでは毎週の為替相場を予想する上で重要なポイントを分かりやすくお伝えできるように努力したいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
経歴
東京大学大学院数理科学研究科卒業後、2007年オーバルネクスト入社、情報企画グループに在籍

株式会社オーバルネクスト

 オーバルネクストは、国内外の先物取引や為替情報に関する各種のニュースやデータを配信、またこれらの情報に伴うシステム開発を行っております。スピードと正確性に富むニュースやデータの配信に加え、オーバルネクスト独自の情報分析を含む各種コンテンツを一般投資家や各種ブローカーの皆様へ幅広く提供しています。
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