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外為マーケットコラム

ドル・円は緩やかな円高基調で推移か

 5月第2週は、ギリシャをはじめとするユーロ圏の債務問題とその対応策に一喜一憂する展開となりました。いったんはユーロ圏の財政懸念は後退したかに見えましたが、依然として先行き不透明感は根強く、ユーロ・ドルだけでなく、各国の株式市場も混乱が続いています。

 欧州の財務問題への懸念を背景にユーロ・ドルは1ユーロ=1.23ドル台前半までドル高・ユーロ安に振れています。ドルは堅調なものの、リスク回避の動きから円も買われて、ドル・円は1ドル=91円台後半〜93円半ばでこう着した状況が続いています。

【欧州の債務危機はくすぶり続ける】
 6日にはギリシャの債務危機が欧州の周辺国へ波及するとの観測から、世界各国の株式が急落しました。通貨ではドルや円以外、特にユーロやポンドが急落するなど大きく混乱しました。その後、10日に欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)が最大7,500億ユーロの緊急支援策を発表したことで、一時的に落ち着きを取り戻しました。

 ただ、市場では短期的に落ち着きを取り戻しても、依然として欧州の債務危機への懸念は払しょくされていません。上記の緊急支援策を受けて、ユーロ・ドルは10日に1ユーロ=1.3094ドルまで戻したものの、その後は再び下げに転じており、ギリシャや他国の財政状況、ユーロ圏の景気動向への懸念が圧迫要因となっています。

 12日にはスペインが歳出削減計画を発表、ポルトガルが10年国債を発行して資金調達を乗り切りました。また、19日の90億ユーロのギリシャ国債償還に対してEUとIMFによる融資が実行される見通しです。こうした状況にもかかわらず、ユーロ圏の債務危機への懸念が根強く残っています。また、ギリシャ、スペイン、ポルトガルなどから緊縮財政措置が発表されたことで、ユーロ圏の景気回復が遅れるとの見方も圧迫要因となっています。

 欧州の債務危機がくすぶり続けるとみられることから、節目と見られていたユーロ・ドルは1.25ドルを割り込んでおり、さらにユーロ高・ドル高に振れる可能性が高いとみられます。17日には1.22ドル台前半まで下落しており、目先は1.22ドル、1.21ドルなどがターゲットとなります。さらにユーロ売りが続くと1.20ドルまで下落する可能性も出てきそうです。

 なお、ドルは堅調な動きが見込まれるものの、円はリスク回避の動きから買われて、ドル・円は最近のもみ合いレンジを抜けて緩やかに円高方向へ傾きそうです。目先は91円の節目、そして90円割れを視野に入れた動きとなりそうです。ただ、6日の安値87.95円まで円高に振れることはなさそうです。

【NYダウが上昇なら円安の可能性も】
 もし欧州の債務危機の影響が一時的なものとなれば、米国の経済指標は良好なものが多いため、景気回復の足取りが確かなものと確認され、NYダウは4月26日に記録した年初来高値11,258.01ドルへ向けて上昇することになりそうです。そうなれば、米国金利には上昇圧力がかかることで、ドル・円はドル高・円安に振れそうです。4月以降、二度にわたって跳ね返された1ドル=95円の壁を突破する可能性も出てくるでしょう。

【ドル・円と米長期金利は連動】
 米国10年債の利回りに注目しておきたいと思います。米国と日本の金利差でドル・円は影響を受けるというのが教科書通りの理屈ですが、日本の金利の動きは小さめで、この点を差し引いて米国の長期金利(10年)とドル・円相場を比較してもかなり連動性が高いと言えます。

 米国の株高なら金利高へ、逆に米株安なら金利安といった構図を描きやすくなっています。米国株が堅調な動きとなれば、米国の金利上昇につながり、ドル高・円安に振れやすく、逆に米株安ならドル安・円高に傾きやすいことで、米国の長期金利の動向にも注意を払っておきましょう。



2010年5月17日

(オーバルネクスト/佐藤 昌彦)

株式会社オーバルネクスト 情報企画グループ 主任研究員 佐藤 昌彦

担当
為替、日経、商品先物市場
信条
ファンダメンタルズによる解説だけでなく、データの統計的な分析や、サヤ取りなどにより、なるべくリスクを抑えて、投資家の方が優位性を持てるような情報の提供を心がけています。
経歴
1994年にゼネックス(現オーバルネクスト)入社。現在、主任研究員。為替・金融・コモディティのアナリストとしてマーケットの分析・記事の執筆作業に従事。現在は為替や日経の分析記事の執筆が中心。データの統計的な分析を得意としており、日経平均、ドル・円、ユーロ円など為替市場の日中足を用いた分析記事の執筆も担当。

株式会社オーバルネクスト

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