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外為マーケットコラム

円安一服後に再び緩やかな円高か

 5月第4週は、欧州の債務危機の影響で株式・為替市場ともに荒れた動きを見せました。25日にはスペインの中央銀行が貯蓄銀行のカハスールを管理下に置いたことで、債務危機の拡大が懸念され、市場に動揺が広がりました。

 また、26日には英フィナンシャルタイムズ紙が「中国がユーロ圏の国債保有を見直す」と報じたこともユーロ売りに拍車をかけることとなりました。その後、中国政府がこれを否定するとユーロは急反発、各国の株価も大幅高になるなど、一気にセンチメントが好転しましたが、28日に格付け会社フィッチ・レーティングスがスペインの格下げを発表したことで、再びユーロは売られています。

 ユーロ・ドルは、26日には19日の安値1.2144ドルに迫る水準まで下落しました。翌27日には1.24ドル近くまで上げており、さらに28日には1.23ドルを割り込むなど、荒れた展開を見せています。ドル・円は、リスク回避のドル買いと円買いが交錯して、90円前後でのもみ合いとなっていましたが、やや円安方向に傾いています。

【材料次第で乱高下が続きそう】
 為替市場では、引き続き欧州の債務問題が注目されて、市場を動かす要因となりそうです。一時的に落ち着いたかに見えても、今後も新たな問題が顕在化してくる可能性も否定できません。

 ユーロ・ドルは目先の悪材料が出尽くせば、短期的には1.25〜1.30ドルへ向けて上昇する展開となりそうです。ただ、上昇しても一時的なものとなりそうです。欧州の債務問題への懸念は根強く、ユーロ・ドルは上昇一服後に再び下げに転じて1.20ドルへ向けて下落する展開となりそうです。この水準を割り込むと一段安となる可能性も出てきます。

【ドル・円は円安一服後に円高方向へ】
 6月の第1週は注目度の高い経済統計が数多く発表されます。1日は豪準備銀行(RBA)の政策金利、カナダ銀行政策金利、米ISM製造業景況指数、2日は豪国内総生産(GDP)、3日は米ADP雇用統計、米ISM非製造業景況指数、4日は米雇用統計などの発表があります。

 各国の景気回復の足取りの確実さが確認され、ユーロ圏の混乱も落ち着き、各国の株式市場が上昇に転じれば、リスク許容度が高まり、ドル・円は94〜95円へ向けて円安方向へ向かうこととなりそうです。

 ただ、その動きは一時的なものとなりそうです。円安が一服した後は欧州の債務問題に関する懸念が蒸し返されて、リスク回避のドル買い、円買いが交錯する中、ドル・円は緩やかな円高基調で推移しそうです。円高が進むと、5月6日の87.95円を試す展開が予想されます。

【6月のドル・円の季節性】
 ドル・円の6月の季節的な傾向を見てみましょう。グラフのピンクと青の線は過去のデータを指数化したものです。1年間の安値をゼロ、高値を100として、それを1990年〜2009年(過去20年分)を平均したのがピンクの線、2000〜2009年(過去10年分)を平均したのが青の線です。これでおおよその過去の季節的な値動きを把握することができます。ちなみに赤の線は今年の値動きで価格そのものです(これだけ右軸)。

 5月は過去のグラフでは下落トレンド(ドル安・円高)となっていますが、今年もそれに近い動きとなりました。6月は月初からドル・円は上昇しますが、中旬以降は伸び悩む傾向にあります。この例に当てはめると、今年は6月の上旬は円安傾向で推移するものの、その後は6月下旬にかけて、ドル安・円高に振れやすいと言えそうです。

 あくまでも過去データの平均であり、必ずしも今年も同様の値動きをするとは限りませんが、先行きの参考指標となりそうです。



2010年5月31日

(オーバルネクスト/佐藤 昌彦)

株式会社オーバルネクスト 情報企画グループ 主任研究員 佐藤 昌彦

担当
為替、日経、商品先物市場
信条
ファンダメンタルズによる解説だけでなく、データの統計的な分析や、サヤ取りなどにより、なるべくリスクを抑えて、投資家の方が優位性を持てるような情報の提供を心がけています。
経歴
1994年にゼネックス(現オーバルネクスト)入社。現在、主任研究員。為替・金融・コモディティのアナリストとしてマーケットの分析・記事の執筆作業に従事。現在は為替や日経の分析記事の執筆が中心。データの統計的な分析を得意としており、日経平均、ドル・円、ユーロ円など為替市場の日中足を用いた分析記事の執筆も担当。

株式会社オーバルネクスト

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