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外為マーケットコラム

ドル・円は円高基調が継続か

 7月第1週は、米経済指標の悪化、中国や米国株の下落からリスク回避志向が高まり、米国の長期金利の低下もあって、ドル・円は円高に振れました。ユーロ・ドルは欧州の金融システム不安などから一時下落したものの、ドル売りの流れから上昇に転じています。

 また、米国では経済指標の悪化の影響で株価が下げに転じており、安全資産である米国債へ資金が流入して、10年物の米長期金利は3%割れの水準まで低下しています。米国の景気減速への懸念や欧州の金融システム不安などを背景に米国だけでなく、日本やドイツでも長期金利は低下しています。

【ユーロ・ドルは上昇に転じる】
 欧州では7月末に金融機関のストレステスト(健全性検査)の公表を予定している中、その結果を不安視する声や、スペインの銀行を中心とする資金調達への懸念から、ユーロ・ドルは6月29日には1ユーロ=1.21ドル台半ばまで下落しました。

 ただ、スペインが1日に実施した国債入札が順調だったことや、欧州中央銀行(ECB)が30日に実施した3カ月物オペでも資金供給額が予想を下回ったことで、ユーロ圏の流動性懸念が後退しました。

 さらに1日の米新規失業保険申請件数が予想外に増加、5月住宅販売保留指数の前月比下落率が過去最大となり、6月米ISM製造業景気指数が低下したことで、米国の景気回復への懸念が高まり、1日にユーロ・ドルは1.25ドル台半ばまで上昇しました。2日の米雇用統計が失望を誘うような内容となったことで、ドルは売られやすくなっています。米雇用統計では、非農業部門雇用者数は前月比12.5万人減となり、今年に入って初めて減少、民間部門の雇用者数も同8.3万人増と予想(同11万人増)を下回りました。

 欧州の金融システム不安が後退、米国の経済指標の悪化が続くようなら、ユーロ・ドルは1.24〜1.28ドルでの底堅い動きが続きそうです。ただ、逆に米経済指標が好転、欧州の金融不安が再び材料視されるようなら、1.20ドルへ向けて下げに転じる可能性も捨てきれません。

【米経済指標悪化ならドル・円は一段の円高も】
 欧州の金融システム不安が完全には払しょくされていない上、米国の経済指標の悪化が相次ぎ、リスク回避の動きから円買いが進んで、1日にはドル・円は1ドル=86.97円まで円高が進みました。ただ、その後は急激な円高の反動で、値を戻しています。

 2日の米雇用統計は失望を誘うような内容で、ドルは対ユーロでは下落しましたが、対円ではあまり目立った動きはありませんでした。最近の米経済指標は悪化が目立つことで、今後も米国の景気の先行き懸念が高まるようなら、ドル・円は85円へ向けて円高が進む可能性があります。逆に米経済指標の好転、米国株の上昇につながるようなら、90〜92円へ向けてドル高・円安へ傾く可能性も出てきそうです。

【米雇用統計と円相場の関係再び】
 前回(6月4日発表)の米雇用統計の発表後に「米雇用統計の発表後は円高が進みやすい」と解説しました。今回はその後の円相場がどうなったかを確認して、今後の動向を予測してみます。

 チャートは、ドル・円の日足で、緑の十字のマークは米雇用統計の発表日を示しています。6月4日の米雇用統計の発表前のドル・円はドル高・円安傾向で推移しており、円高傾向に切り返すのは難しいかと思われましたが、統計発表後に見事に切り返しています。このように統計の発表前まで円安で推移していても、統計の発表後からトレンドが転換するケースも珍しくありません。むしろ、それまで円安傾向が顕著だった場合の方が、鮮やかな逆V字を描きやすいようです。

 ただ、今回は円高基調で推移していることで、一段と円高が進行するにしても緩やかなものとなりそうです。なお、ユーロ・円、豪ドル・円、ポンド・円などのクロス円でも米雇用統計の発表後は円高に振れる傾向が強くなります。



2010年7月5日

(オーバルネクスト/佐藤 昌彦)

株式会社オーバルネクスト 情報企画グループ 主任研究員 佐藤 昌彦

担当
為替、日経、商品先物市場
信条
ファンダメンタルズによる解説だけでなく、データの統計的な分析や、サヤ取りなどにより、なるべくリスクを抑えて、投資家の方が優位性を持てるような情報の提供を心がけています。
経歴
1994年にゼネックス(現オーバルネクスト)入社。現在、主任研究員。為替・金融・コモディティのアナリストとしてマーケットの分析・記事の執筆作業に従事。現在は為替や日経の分析記事の執筆が中心。データの統計的な分析を得意としており、日経平均、ドル・円、ユーロ円など為替市場の日中足を用いた分析記事の執筆も担当。

株式会社オーバルネクスト

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