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外為マーケットコラム

円安基調で推移の見通し

 7月第2週は、世界的な株高の影響でリスク許容度が増したことや米国の長期金利が上昇に転じたこと、11日の参議院選挙で民主党の敗北による政局の不透明感から、ドル・円は円安に転じています。欧州の銀行のストレステスト(健全性検査)に対する懸念後退から、ユーロ・ドルは堅調な流れが続いています。

 8日の豪雇用統計が良好だったことや、米新規失業保険申請件数が予想以下となり、6月の米小売り大手の売上高が予想以上となったことが、リスク志向の高まりにつながっています。なお、国際通貨基金(IMF)が2010年の世界の経済成長率見通しを前回の4.2%から、4.6%に上方修正していますが、欧州の債務危機には警鐘を鳴らしています。

【ユーロ・ドルは堅調な推移が続きそう】
 欧州の金融不安の後退などから、ユーロ買い/ドル売りの動きとなりユーロ・ドルは堅調な推移が続いています。なお、市場の注目材料やその解釈は変わりやすいので注意が必要です。

 米国の景気動向の解釈では、米経済指標の悪化がリスク志向の低下によるドル買いにつながるケースもあれば、米国の景気回復懸念からドル売りにつながるケースもあるなど、市場の見方も変化しやすくなっています。各国の株価が回復基調にあることで、現在は欧州の金融機関のストレステストに焦点が移っています。

 欧州では7月23日に金融機関のストレステストの結果の公表を予定しており、その動向にも注目が集まっています。欧州での金融不安の後退に世界的な株高が重なれば、ユーロ・ドルは1.28〜1.30ドルへ向けて上昇することとなりそうです。

 逆に欧州の金融不安の再燃、米国の企業決算が良好となれば、ドル買いの動きから、ユーロ・ドルは1.20〜1.23ドルへ向けて下落する可能性も出てきます。欧州の債務問題や金融不安は根本的に解決したわけではなく、これらの問題が蒸し返されるようだとユーロには戻り売りの口実を与えることとなるでしょう。

【目先は円安基調で推移か】
 ドル・円は米国を中心に各国の経済指標や株価動向に左右されやすい展開が続きそうで、世界的に株価の回復傾向が続くとリスク許容度が増して円は売られやすくなりそうです。また、米株高は米国の金利上昇につながり、金利差の面からも円には圧迫要因となります。さらに参院選での民主党の敗北が政局の不透明感につながり、円売りの材料となりそうです。

 また、世界的な株高が続くと一段とリスク志向が高まり、豪ドル・円やカナダ・円などのクロス円が上昇しやすくなり、その面からも円は売られやすくなります。

 さらに7月は季節的にドル高・円安で推移しやすくなります。また、ドル・円は過去1カ月以上も円高傾向が続いていることもあり、その反動から目先は1ドル=90円へ向けて円安基調で推移しそうです。90円の節目を突破すれば、91〜92円前後まで円安が進む可能性も出てきます。

【豪ドル・円と日豪の金利差】
 個人投資家に人気の豪ドル・円について、日本と豪州の金利差との関係を見てみます。グラフは豪ドル・円と豪州と日本の10年物の長期金利の差を表示したものです。右軸が豪ドル・円(ピンク)で、左軸は金利差(青)を示しています。

 これを見る限り、両国の長期金利の金利差と豪ドル・円はほぼ同じ動きを見せています。残念ながら、どちらか一方が先行するといった関係は見出せませんが、密接な関係があるのは理解しておきたいところです。

 オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)は2009年10月から金融引き締めに転じて、今年5月までに6回の利上げで、政策金利を3.00%から4.50%まで引き上げました。豪州の景気は回復が続いていたものの、金利の先高観が後退したことから豪ドルは高値から下落が続いてきました。

 8日の豪雇用統計では失業率は5.1%と事前予想(5.2%)を下回り、雇用者数は前月比4万5,900人増と事前予想の約3倍となったことで、この日は豪ドルが上昇しており、さらに8月の利上げ観測まで台頭しています。豪ドル・円の先行きを予測するには、金利の動向やその元となる景気動向や経済指標に注意を払っておきたいところです。今後も豪州の景気は堅調な回復振りを見せる可能性が高く、利上げ再開の見通しが高まると、豪ドル・円は再び息の長い上昇トレンドを描くこととなりそうです。



2010年7月12日

(オーバルネクスト/佐藤 昌彦)

株式会社オーバルネクスト 情報企画グループ 主任研究員 佐藤 昌彦

担当
為替、日経、商品先物市場
信条
ファンダメンタルズによる解説だけでなく、データの統計的な分析や、サヤ取りなどにより、なるべくリスクを抑えて、投資家の方が優位性を持てるような情報の提供を心がけています。
経歴
1994年にゼネックス(現オーバルネクスト)入社。現在、主任研究員。為替・金融・コモディティのアナリストとしてマーケットの分析・記事の執筆作業に従事。現在は為替や日経の分析記事の執筆が中心。データの統計的な分析を得意としており、日経平均、ドル・円、ユーロ円など為替市場の日中足を用いた分析記事の執筆も担当。

株式会社オーバルネクスト

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