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外為マーケットコラム

ドル・円は緩やかな円高基調で推移か

 7月第3週は、米国株が上昇を続けるなど、世界的な株高の影響でリスク許容度が増したことや、欧州の金融システム懸念の後退で、ユーロ・ドルが上昇基調で推移しました。

 ドル・円はリスク志向の高まりで円売りの動きから円安に振れる場面もありましたが、米経済指標の悪化などからドル売りの動きとなり、1ドル=86円台まで円高に傾いています。

【ユーロ・ドルは上昇傾向が続きそう】
 欧州の91の銀行を対象としたストレステスト(健全性審査)の結果が23日に公表されます。英国のオズボーン財務相はストレステストについて、英国の銀行は資本強化のための政府による支援を必要としないとの見解を示したことなどもあり、ストレステストへの警戒感は後退しつつあります。

 欧州各国政府が財政健全化に向けた緊縮財政などソブリンリスクへの対応策を打ち出し始めたこと、ギリシャやポルトガルの国債入札が問題なく終わったこと、格付け会社フィッチ・レーティングスがスペインの格付け見通しを「安定的」であるとしたことなどから、ユーロのセンチメントは好転しています。

 一方で、14日の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録で米国の景気見通しが下方修正されました。米国ではアルコアやインテルなどの一部の企業決算は好調が伝えられるものの、14日の6月米小売売上高、15日のニューヨーク連銀製造業景気指数、フィラデルフィア連銀製造業景況指数がいずれも予想を下回るなど、経済指標は依然として冴えないものが多く、ドルは売り圧力に押されやすくなっています。

 このため、ユーロ・ドルは依然として上昇基調が継続して、1.30ドルを固めて、1.35ドルへ向けて上昇を続ける展開となりそうです。ただ、それにはストレステストを無事に通過することが条件となります。なお、ストレステストを通過できない銀行は公的支援や資本増強が必要となりますが、その場合も当局により適切な対応がなされるとみられ、ユーロが急落するようなことはないでしょう。

【ドル・円は円高に振れやすい展開か】
 ドル・円は、仮に世界の株価が回復傾向を続けると、リスク志向の高まりから、円売り、ドル売りに挟まれて、動きにくい展開となりやすくなっています。ただ、最近は米国の経済指標が悪化していることで、ドル売り/円買いの動きから、円高に振れやすい流れが続きそうです。

 米国の経済指標は、20日に6月の住宅着工件数、22日に新規失業保険申請件数、6月の中古住宅販売件数、6月の景気先行指数(コンファレンス・ボード)などの発表が予定されています。

 米経済指標の悪化が続くようだと、ドル売りの動きが優勢となり、ドル・円は85円に向けて緩やかな円高基調で推移することとなりそうです。ただ、それ以上の円高は当局による介入警戒感なども台頭することから、80円へ向けて円高が進むようなことはないとみられます。

【豪ドル・円と日経平均の密接な関係】
 日経平均株価と豪ドル・円の間には高い相関関係があります。グラフのピンクは豪ドル・円、ブルーは日経平均を表しています。両方のグラフを比べてみると、ほぼ同じような動きをしていることが見て取れます。

 両者の相関係数を見てみましょう。相関係数とは、-1.0〜1.0の範囲で動き、1.0で完全に同じ動き、-1.0で全く逆の動き(逆相関)、ゼロなら相関なしと判断されます。この数字が1.0に近いほど値動きが似ていると言え、0.8〜0.9なら極めて相関が高いと判断できます。

 過去30日間では0.87、過去60日では0.93、過去100日では0.95と極めて高い相関を示しています。ただ、200日間になると0.79と若干低下します。ここ半年くらいは相関関係の高い状況が続いているので、豪ドル・円の相場を見る上では日経平均の動向にも注意を払っておくとよいでしょう。



2010年7月20日

(オーバルネクスト/佐藤 昌彦)

株式会社オーバルネクスト 情報企画グループ 主任研究員 佐藤 昌彦

担当
為替、日経、商品先物市場
信条
ファンダメンタルズによる解説だけでなく、データの統計的な分析や、サヤ取りなどにより、なるべくリスクを抑えて、投資家の方が優位性を持てるような情報の提供を心がけています。
経歴
1994年にゼネックス(現オーバルネクスト)入社。現在、主任研究員。為替・金融・コモディティのアナリストとしてマーケットの分析・記事の執筆作業に従事。現在は為替や日経の分析記事の執筆が中心。データの統計的な分析を得意としており、日経平均、ドル・円、ユーロ円など為替市場の日中足を用いた分析記事の執筆も担当。

株式会社オーバルネクスト

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