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外為マーケットコラム

ドル・円は円高基調で推移か

 8月第1週は、一連のさえない米経済指標の影響などから、ユーロが対ドルで上昇して、ユーロ・ドルは3日に1ユーロ=1.32ドル台後半まで上昇しました。その後は上げ一服となって高値圏でもみ合いとなり、6日の弱い米雇用統計を受けて再び上昇に転じて、一時1.33ドル台前半まで上値を伸ばしました。

 一方、ドル・円は米国の弱い経済指標や米連邦準備理事会(FRB)の追加緩和策の可能性から、一時1ドル=85円台前半まで円高が進みました。その後は一進一退を繰り返した後に、米雇用統計を受けて一時85円近くまで円高に振れました。

【ユーロは1.35ドルまで上昇、その後反落か】
 7月23日に発表された欧州の銀行のストレステスト(健全性審査)の結果は過去のものとなり、米国の経済指標に弱い結果となるものが多かったことで、ユーロ・ドルは上昇基調で推移してきました。

 ユーロの堅調な流れは依然として継続しそうです。ユーロ圏の経済指標は米国に比べて堅調なものが多く、スペインやギリシャでの財政赤字削減への取り組みが進んでいる兆しがみられ、スペインの国債入札が順調に進んだことなど、ユーロには支援材料も多いためです。

 今後、米国の経済指標に良好なものが続けば、ユーロの上昇も一服となりそうですが、米雇用統計の弱さに見られるように最近の流れからすると、ユーロ・ドルは1.35ドル前後へ向けて上昇基調で推移しそうです。

 ただ、ユーロ・ドルは上昇基調が長く続いてきたこともあり、テクニカル面での高値警戒感も台頭して、1.35ドルの節目を超えると上値重くなり、この水準まで上げた後は反落に転じる可能性が高まりそうです。

【ドル・円は一段の円高の可能性が高い】
 ドル・円は、緩やかな円高基調で推移して、6日の米雇用統計の発表後は一時85円に接近しました。8月は月足で過去10年のうち8回が円高となっており、統計上は円高に振れやすい季節となります。

 4日の米ADP雇用統計や米ISM非製造業景況指数は予想以上の結果となり、ドルは一時的に持ち直したものの、米経済統計は弱いものが多く、ドル売り・円買いの動きにつながりやすい状況が続いています。

 6日には米雇用統計が発表されました。大方の事前予想では、失業率は9.6%(前回9.5%)、非農業部門雇用者数は前月比6万5,000人減(前回12万5,000人減)、民間部門雇用者数は前月比9万人増(前回8万3,000人増)となっていました。

 実際は失業率は9.5%で横ばいながら、非農業部門雇用者数が13万1,000人の減少と事前予想の2倍となり、民間部門の雇用は7万1,000人増と事前予想を下回り、これがドル売りの動きにつながりました。

 米雇用統計が期待外れに終わったことで、10日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では追加緩和策を検討されることとなり、米金利は一段の低下が見込まれます。そうなると、ドル・円は85円を割り込んで一段と円高に傾きそうです。昨年11月27日の安値84.83円を突破して、82〜83円前後まで円高が進む場面もありそうです。なお、過去の例では米雇用統計の発表後はドル・円は円高に傾きやすいので注意しておきましょう。

【過去の季節性ではユーロ・ドルは8月には上げ一服か】
 ユーロ・ドルの季節的な動きを確認してみましょう。1年間の安値をゼロ、高値を100として、その値の2000〜2009年(過去10年分)の平均したのが青いグラフです(左軸)。これでおおよその過去の季節的な値動きを把握することができます。ちなみに赤のグラフは今年の値動き、緑はのグラフは昨年の動きです(右軸)。

 今年の価格(赤)は過去のパターン(青)と1〜3月は似たような動きでしたが、4〜5月は異なる動きとなりました。ただ、6月中旬以降は再び過去の動きと似たような動きを見せています。8月も過去の季節性に従うとなると、これまでの上昇が一服して、軟調な推移を見せやすくなります。大きく崩れないにしても、上値が重くなる時期のようです。

 あくまでも過去のパターンで、今年もその動きを踏襲するとは限りませんが、先行きを予測する判断材料のひとつとなりそうです。なお、年の終盤ですが、9月は上昇するものの、10月に下落して、11月から年末までは上昇基調で推移するのが過去のパターンです。



2010年8月9日

(オーバルネクスト/佐藤 昌彦)

株式会社オーバルネクスト 情報企画グループ 主任研究員 佐藤 昌彦

担当
為替、日経、商品先物市場
信条
ファンダメンタルズによる解説だけでなく、データの統計的な分析や、サヤ取りなどにより、なるべくリスクを抑えて、投資家の方が優位性を持てるような情報の提供を心がけています。
経歴
1994年にゼネックス(現オーバルネクスト)入社。現在、主任研究員。為替・金融・コモディティのアナリストとしてマーケットの分析・記事の執筆作業に従事。現在は為替や日経の分析記事の執筆が中心。データの統計的な分析を得意としており、日経平均、ドル・円、ユーロ円など為替市場の日中足を用いた分析記事の執筆も担当。

株式会社オーバルネクスト

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