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外為マーケットコラム

ドル・円は円高進行が一服か、円安への基調転換は難しそう

 8月第4週は、米国の経済指標の悪化でリスク回避の動きや欧州の金融緩和政策の長期化観測から、ドル買いの動きとなりユーロ・ドルは下げる場面もありました。ただ、24日の米中古住宅販売件数の急減で、米国の景気に対する懸念から逆にユーロが買われるなど、一進一退の動きとなっています。

 一方、ドル・円は米経済指標の悪化で円買いの動きとなり、約15年ぶりの円高水準となる1ドル=83.60円まで円高が進みました。ただ、その後は当局による介入警戒感などからドル・円は値を戻しています。

【ユーロ・ドルはもみ合いか】
 前号で「今後は米国の経済指標の悪化とユーロ圏のソブリン・リスク(国に対する信用リスク)の懸念拡大とのせめぎ合いとなりそう」としました。この状況がまだ続くこととなりそうです。米国では経済指標の悪化が相次ぎ、ユーロ圏では格付け会社S&Pによるアイルランドの格下げなど、ドル、ユーロともに悪材料が出ているためです。

 また、ドイツ連邦銀行のウェーバー総裁が金融緩和政策の長期化を示唆する発言をしたことも、ユーロには圧迫要因となっています。米国では景気の先行き不透明感や株安を背景に長期金利は一段の低下余地がありそうです。27日に米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長が講演で、FRBは必要に応じて行動する用意があると述べたことで、長期金利は上昇に転じており、市場のセンチメントは好転しました。ただ、この流れが継続するかどうかは、今後の米経済指標の結果次第となりそうです。

 米国、ユーロ圏ともに圧迫要因が多く見られることから、ユーロ・ドルは一方的な動きとはなりにくく、ユーロ=1.25〜1.29ドル前後でのレンジ相場が続く可能性が高そうです。

【円高進行は一服するも円は高止まりか】
 ドル・円は、過去10年間では8月は過去8回円高で終わっています。9月は6回が円安で終わっており、8月に比べて円安に振れやすくなっています。ただ、8月が円高で終わった場合、8月にもっとも円高が進んだのが月末だった場合は、一段と円高が進むケースもありました。

 ドル・円は目先、84〜85円を軸に83〜86円前後での推移となりそうです。24日の83.60円以上の円高が進んだ場合、政府・日銀も手をこまねいて傍観するとは思えず、介入警戒感の高まりからそれ以上の円高は長くは続かないでしょう。日銀は30日に臨時の金融政策決定会合を開催すると発表したことで円安に振れていますが、これで材料出尽くしとなり、円安一服となる可能性もあります。

 今後も米国の経済指標と米長期金利の動向が注目されます。また、アイルランドの格下げのようにユーロ圏のソブリン・リスクや銀行の信用リスクの問題が出てくるようだと、リスク回避の動きから消去法で円は買われやすくなります。そうなると、ドル・円は84〜85円前後での高止まりが続き、短期的には88〜90円へ向けて円安が進むのは難しいでしょう。

 また、9月第1週は注目度の高い統計が目白押しとなります。31日には米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録、1日には米8月ADP雇用統計、米8月ISM製造業景況指数、3日には米8月ISM非製造業景況指数、そして米雇用統計が発表されます。米経済指標の悪化は円を高止まりさせる要因となります。

【豪ドル・円は底入れの時期接近か?】
 豪ドル・円の季節的な動きを確認してみましょう。青は過去10年間の豪ドル・円の季節的な動きで、ピンクは過去20年間の動きを指数化したグラフです(いずれも左軸)。緑は今年の豪ドル・円の値動きです(右軸)。

 最近の豪ドル・円は72〜80円でのレンジ相場となっており、個人投資家には人気が高いものの、上値の重い展開となっています。過去10年(青)のグラフでは、9月に底入れして年末にかけて上昇する傾向があります。この傾向の通りとなれば、豪ドル・円は近いうちに底入れして上昇へ転じることとなるでしょう。

 過去20年(ピンク)のグラフでは、底入れの時期は10月下旬となり、過去10年の動きと比べて上昇に転じる時期が遅くなります。ただ、その場合も年末にかけて上昇基調で推移する傾向があります。



2010年8月30日

(オーバルネクスト/佐藤 昌彦)

株式会社オーバルネクスト 情報企画グループ 主任研究員 佐藤 昌彦

担当
為替、日経、商品先物市場
信条
ファンダメンタルズによる解説だけでなく、データの統計的な分析や、サヤ取りなどにより、なるべくリスクを抑えて、投資家の方が優位性を持てるような情報の提供を心がけています。
経歴
1994年にゼネックス(現オーバルネクスト)入社。現在、主任研究員。為替・金融・コモディティのアナリストとしてマーケットの分析・記事の執筆作業に従事。現在は為替や日経の分析記事の執筆が中心。データの統計的な分析を得意としており、日経平均、ドル・円、ユーロ円など為替市場の日中足を用いた分析記事の執筆も担当。

株式会社オーバルネクスト

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