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外為マーケットコラム

円相場は高止まりの可能性高い

 9月第1週は、各国の経済指標や株価動向に一喜一憂する展開となりました。1日に中国、豪州、米国の経済指標が良好な結果となったことで、米国株が大幅高となり、リスク志向の高まりでドルは対主要通貨で下落しました。また、2日に欧州中央銀行(ECB)がユーロ圏の経済見通しを上方修正したことや、3日の米雇用統計が予想を上回ったことで、ユーロ・ドルは1ユーロ=1.28ドル後半まで上昇するなど堅調な動きを見せています。

 一方、ドル・円は1日発表の米ADP雇用統計の悪化で1ドル=84円を割り込む場面も見られました。また、米雇用統計の発表後に一時85円台に乗せたものの、その後は84円台に戻すなど一進一退の動きを見せています。

【ユーロ・ドルは堅調に推移か】
 1日の各国の経済指標の好転により、景気の先行き不透明感が後退しました。中国の8月の購買担当者指数(PMI)が51.7となり、事前予想の51.5を上回りました。また、2010年第2四半期の豪GDP伸び率は、前期比+1.2%、前年比+3.3%となり、事前予想の前期比+0.9%、前年比+2.8%を上回りました。

 さらに8月の米ISM製造業景況指数は56.3となり、前月の55.5から上昇しました。低下するとの事前予想に反して上昇したことで、米国株が大幅高となるなど景気への懸念が後退しました。これによりリスク志向が高まりドル売りの動きからユーロ・ドルは上昇しました。また、2日にECBが経済成長見通しを上方修正したこと、3日の米雇用統計が予想以上となったこともユーロには支援材料となりました。

 このため、一方的なユーロ売りの動きとはなりにくくなり、各国の経済指標の改善が進めば、ユーロ・ドルは1ユーロ=1.29〜1.33ドルへ向けて上昇することとなりそうです。

【円は高止まりか】
 ドル・円は各国の経済指標や株価動向に左右されそうです。ただ、リスク志向が高まって円売りの動きとなっても、同時にドルも売られやすくなるため、ドル・円は一気に円安が進みにくく、84〜85円前後での高止まりが続きそうです。

 3日に米雇用統計が発表されました。非農業部門雇用者数が前月比5万4,000人減となり、事前予想(同10万人減)を大幅に下回りました。民間部門の雇用者数は6万7,000人増となり、こちらは事前予想の4万2,000人増を上回りました。

 米雇用統計が予想以上の底堅い数字となったことで、発表後直後はドル買いの動きから、ドル・円は85円台に乗せました。ただ、8月の米ISM非製造業景況指数が51.5と、前月の54.3から低下したことで、ドル売りの動きとなり、再び84円台に押し戻されました。経済指標に一喜一憂しつつ、円安の流れは続きにくいという状況となっています。

【米雇用統計後の円高、再来なるか?】
 過去に2回ほど「米雇用統計の発表後は円高が進みやすい」と解説しました。昨年以降、米雇用統計の発表後は一時的であるにせよ、しばらく続くにせよ円高となりやすい傾向があります。

 チャートは、ドル・円の日足で、緑の十字のマークは米雇用統計の発表日を示しています。過去の例では米雇用統計の直前まで円安に振れていた時の方が、その後は明確に円高が進む傾向があります。現在はかなり円高が進んだ局面であり、これ以上の円高は当局による円売りの介入警戒感も高まることで、ドル・円は円高が進んでも値幅は限られそうです。

 ユーロ・円、豪ドル・円、ポンド・円などのクロス円でも米雇用統計の発表後は円高に振れる傾向が強くなります。ただ、ドル・円で最も顕著にその傾向が現れます。



2010年9月6日

(オーバルネクスト/佐藤 昌彦)

株式会社オーバルネクスト 情報企画グループ 主任研究員 佐藤 昌彦

担当
為替、日経、商品先物市場
信条
ファンダメンタルズによる解説だけでなく、データの統計的な分析や、サヤ取りなどにより、なるべくリスクを抑えて、投資家の方が優位性を持てるような情報の提供を心がけています。
経歴
1994年にゼネックス(現オーバルネクスト)入社。現在、主任研究員。為替・金融・コモディティのアナリストとしてマーケットの分析・記事の執筆作業に従事。現在は為替や日経の分析記事の執筆が中心。データの統計的な分析を得意としており、日経平均、ドル・円、ユーロ円など為替市場の日中足を用いた分析記事の執筆も担当。

株式会社オーバルネクスト

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