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外為マーケットコラム

ドル・円は緩やかな戻り歩調か

 11月第2週は、ユーロ・ドルは5日の米雇用統計の内容が良かったことや米長期金利の上昇から、ドルの買い戻しが進んで、一時1ユーロ=1.35ドル台後半まで下落しました。ドル・円はドル買いの動きが優勢となり、一時1ドル=82円台後半まで円安が進みました。

【ユーロ圏の債務問題再燃】
 3日の米連邦公開市場委員会(FOMC)後の声明で米国債の買い入れによる追加金融緩和措置が示されたことで、ユーロ・ドルは上昇トレンドが継続するかと思われました。

 ところが、5日に発表された米雇用統計では、非農業部門雇用者数、民間部門雇用者数がいずれも予想を大きく上回ったことで、それまでドル売り一辺倒に傾いていた市場のセンチメントが一変してドルの買い戻しが進みました。

 アイルランドの財政問題への懸念から、10年物のアイルランド国債とドイツ国債の利回り格差が11日には685ベーシスポイント(bp)まで拡大、ポルトガル国債とドイツ国債の利回り格差も501bpまで拡大しました。いずれもユーロ導入以来の最高水準をつけるなど、ユーロ圏の債務問題が再燃しつつあり、ユーロ・ドルには圧迫要因となっています。

 米国では国債買い入れによる長期金利の低下、それに伴う再度のドル安進行の可能性は依然として残されています。ただ、30年物を中心とする米国債の需給悪化により、長期金利が下げ渋り、あるいは上昇する可能性が出てきました。

 米連邦準備理事会(FRB)が購入する債券の残存期間は5年から7年が中心と見込まれているため、購入対象から外れた30年国債は下落(金利は上昇)しており、これに追随して10年物国債も下落(金利は上昇)しています。

 米国債の需給悪化懸念から国債が売られて、長期金利が一段と上昇するようだと、ユーロ圏の債務懸念と合わせて、ユーロ・ドルには重しとなりそうです。このため、目先はさらに下落する可能性が高いです。1.35ドルを割り込むようなら、1.30ドルへ向けて下落する展開となるでしょう。

【ドル・円は戻りのメドは83円台前半か】
 ドル・円は、米国の長期金利の上昇を背景に一時1ドル=82円台後半まで上昇しました。本邦輸出筋のドル売りをこなして82円台を維持しており、米長期金利がじりじりと上昇するようなら、ドル・円は一段と上昇する可能性が高まります。

 ユーロ圏の債務問題、米国長期金利の上昇が続くと、ドル買い要因となり、ドル・円は円安に傾きやすくなります。ただ、ドル・円の上昇局面では輸出筋の売りに押されやすくなり、上昇ペースが緩やかなものとなりそうです。

 ドル・円は5月以降の下落局面で、安値からの戻りが3円前後に達すると下げに転じるケースが多く見られます。11月1日の安値80.22円から3円前後上昇した83円台前半が戻りのメドとなりそうです。また、この付近は一目均衡表の雲の下限となるため、この付近では戻り一服となることが見込まれます。

【ユーロ圏の債務問題の影響は?】
 ユーロ・ドルは3日のFOMCでの追加金融緩和の発表後まで上昇を続けていましたが、30年物国債を中心とする米国債の需給悪化による米国超金利の上昇やユーロ圏の債務問題の影響で、修正安局面となっています。

 グラフは、アイルランド、ポルトガルの10年債の利回りとドイツの利回りとの差を示したものです。利回り格差が大きいということはその国の信用力の低下につながっていると判断できます。10月の下旬以降、アイルランドやポルトガルの10年債の利回りとドイツの利回りの差が拡大傾向にあります。

 なお、グラフの緑の線(右軸)はユーロ・ドルの価格を示しています。これによると、今年の4〜5月にかけて利回りの差が急拡大したときは、ユーロ・ドルも大きく崩れました。その後は、利回りの拡大がユーロ・ドルの圧迫要因となるケースはあるものの、今年の6月、9月のように利回り格差の拡大局面でユーロ・ドルが上昇しているケースも散見されます。

 最近はアイルランドの財政問題を中心にユーロ圏の債務問題がクローズアップされているため、大きな影響を受けそうです。特に利回り格差の拡大が急激な局面ではユーロ・ドルに対する売り圧力はしばらく続きそうです。



2010年11月15日

(オーバルネクスト/佐藤 昌彦)

株式会社オーバルネクスト 情報企画グループ 主任研究員 佐藤 昌彦

担当
為替、日経、商品先物市場
信条
ファンダメンタルズによる解説だけでなく、データの統計的な分析や、サヤ取りなどにより、なるべくリスクを抑えて、投資家の方が優位性を持てるような情報の提供を心がけています。
経歴
1994年にゼネックス(現オーバルネクスト)入社。現在、主任研究員。為替・金融・コモディティのアナリストとしてマーケットの分析・記事の執筆作業に従事。現在は為替や日経の分析記事の執筆が中心。データの統計的な分析を得意としており、日経平均、ドル・円、ユーロ円など為替市場の日中足を用いた分析記事の執筆も担当。

株式会社オーバルネクスト

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