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外為マーケットコラム

ドル・円は緩やかな円安基調で推移か

 12月第1週は、ユーロ・ドルはユーロ圏の債務危機拡大への懸念から、一時1ユーロ=1.30ドルまで下落したものの、その後は持ち直しました。3日には米雇用統計が予想よりも悪かったことで、ドルの失望売りとなり、ユーロ・ドルは1.34ドル台まで上昇しました。ドル・円は84円前後でのもみ合いから、雇用統計発表後に82円台へ下落しました。

【ユーロ圏の債務問題は根深く残る】
 ユーロ・ドルは、ユーロ圏の債務問題への懸念から、一時1ユーロ=1.30ドルを割り込んだものの、その後は反発に転じています。11月の米ADP雇用統計が予想を上回る結果となり、1日には1.30ドル割れから値を戻しました。

 その後も戻り歩調で推移して、3日には米雇用統計に対する失望売りからドルが売られて、ユーロ・ドルは1.34ドル台まで上昇しました。米雇用統計では、失業率は9.8%と、前月の9.6%から上昇。非農業部門雇用者数は3.9万人の増加(事前予想では15万人増加)、民間雇用者数は5万人の増加(事前予想は15万人の増加)となりました。

 11月28日には欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)は、財政問題が懸念されるアイルランドに850億ユーロ(1,150億ドル)の緊急支援を行うことで合意しました。ただ、市場の関心はアイルランドからポルトガルやスペインに移りました。

 2日のECBの理事会で予想通り、政策金利の据え置きと期間3カ月の資金供給策の延長を決めました。理事会後の記者会見でトリシェ総裁はユーロ圏の国債購入を進める意向を示さなかったことで、一時ユーロの失望売りにつながりましたが、ECBがポルトガルとアイルランドの国債を買い入れたとの観測から、ユーロ圏の債務問題への懸念は若干薄らいでいます。

 ただ、小手先の対応では欧州各国の債務問題への懸念は払しょくされず、再びユーロ・ドルには圧迫要因となる可能性が高いとみられます。このため、一時的に値を戻しても1ユーロ=1.30ドルを再び割り込み、1.25ドルへ向けて下落する可能性が高まりそうです。

【ドル・円は緩やかな円安か】
 ドル・円は、米雇用統計の発表前は84円台を中心に取引されていました。米雇用統計の発表後には83円を割り込んでいます。米雇用統計の悪化による米長期金利の低下も見込まれ、目先はドル・円は上値の重い推移が続きそうです。

 12月は年末に向けて季節的に円安に振れやすい時期であり、円高が5月以降、半年程度の長期にわたって続いたことや、米国の長期金利には上昇余地があるとみられることから、米雇用統計の影響が一巡すると再び円安に振れやすい状況となりそうです。

 ユーロ・ドルは一時的に値を戻しても、債務問題が蒸し返されて再びユーロは売られやすくなり、ドルは買われやすい状況に転じそうです。そうなれば、ドル・円はドル買いの動きから円安に振れやすく、年末にかけて85〜88円前後まで緩やかな円安が進むこととなるでしょう。

【密接度増す豪ドル・米ドルと上海総合指数】
 資源国通貨というとカナダドルや豪ドルが代表的なものですが、豪州では中国への資源輸出も多く、経済的には非常に密接な関係にあります。豪州は中国の好調な経済の影響を受けて、景気も良好です。経済的な結びつきが強いため、豪ドル・米ドルは中国株との相関も高くなっています。ここでは豪ドルと中国株の関係をグラフで確認してみましょう。

 ピンクのグラフは中国の代表的な株価指数である上海総合指数(右軸)、青は豪ドル・米ドル(左軸)となっています。このグラフでは今年7月以降は、両者はほぼ同一歩調で推移しており、密接度が増していると言えます。豪ドル・米ドルの動向を見る上では、豪州の景気動向を確認するとともに、中国の景気動向や株価指数にも注意を払っておくことが重要なポイントとなりそうです。

 上海総合指数は、当局による一段の金融引き締めへの警戒感などから直近の高値から下落して上値の重い展開となっています。豪ドル・米ドルも同様の値動きを見せて、連動して動いています。豪州が景気拡大から将来的に利上げ予想が高まっても、上海株の上値の重さが続くようだと、豪ドル・米ドルの上値も重いものとなりそうです。



2010年12月6日

(オーバルネクスト/佐藤 昌彦)

株式会社オーバルネクスト 情報企画グループ 主任研究員 佐藤 昌彦

担当
為替、日経、商品先物市場
信条
ファンダメンタルズによる解説だけでなく、データの統計的な分析や、サヤ取りなどにより、なるべくリスクを抑えて、投資家の方が優位性を持てるような情報の提供を心がけています。
経歴
1994年にゼネックス(現オーバルネクスト)入社。現在、主任研究員。為替・金融・コモディティのアナリストとしてマーケットの分析・記事の執筆作業に従事。現在は為替や日経の分析記事の執筆が中心。データの統計的な分析を得意としており、日経平均、ドル・円、ユーロ円など為替市場の日中足を用いた分析記事の執筆も担当。

株式会社オーバルネクスト

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