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外為マーケットコラム

ドル・円は82〜85円前後でのレンジ相場か

 12月第2週は、ユーロ・ドルは3日の米雇用統計の悪化で1.34ドル台まで上昇した後、上値重く推移しました。ドル・円は米雇用統計の悪化によるドル売りで、一時1ドル=82円台前半まで下落した後に値を戻しています。

【欧州債務危機が引き続きユーロの圧迫要因】
 ユーロ・ドルは、3日の米雇用統計が予想外に悪かったことでドル売りの動きから1.34ドル台まで上昇したものの、その後は米長期金利の上昇やユーロ圏の債務問題への根強い懸念から上値重く推移しています。

 7日にオバマ米大統領が共和党に譲歩して、減税延長で合意したことを受け、米国のインフレや財政赤字拡大への懸念が高まりました。また、10日には米貿易赤字の縮小など経済指標の好転から、10年物の米長期金利は3.31%前後まで上昇しています。

 米国の減税延長は米国の個人消費に好影響を与えて、株価にも支援材料となりますが、財政赤字の拡大や信用格付けへの悪影響も懸念され、米長期金利の上昇(米国債の価格の下落)につながりました。9日には国債の売られ過ぎ感から押し目買いが入ったことや、30年国債の入札が好調だったことで、長期金利の上昇は一服しましたが、10日には再び上昇しました。

 11月以降の米国の長期金利の上昇はやや行き過ぎており、金利上昇一服となれば金利面からのユーロ売りは落ち着くこととなりそうです。ただ、9日には格付け会社のフィッチ・レーティングスがアイルランドの格付けを3段階引き下げたうえ、ポルトガルやスペインなどユーロ圏の他国の債務問題も引き続きユーロには圧迫要因となります。

 さらに9日に欧州中央銀行(ECB)が発表した金融安定報告書では、ソブリン債危機がユーロ圏の金融システムに対する最大の脅威との認識を示しました。また、ECBはユーロ圏の債務危機が当面は終息しない可能性に言及しているため、米国の金利上昇が一服しても、ユーロ・ドルは上値の重い展開を強いられそうです。このため、ユーロ・ドルは1ユーロ=1.30ドルへ向けて下落して、その後も一段安となる可能性が高いとみられます。

【ドル・円はレンジ相場か】
 ドル・円は米雇用統計を受けてのドル売りから、一時82円台前半まで下落したものの、米長期金利の上昇を背景に84円付近まで値を戻しました。その後は83〜84円を中心とするもみ合いとなっています。

 12月に入り、米国の10年物金利とドル・円の相関はやや薄れています。円は対ドルでは米国の金利上昇で売られても、対ユーロではユーロ圏の債務問題の影響で円は買われやすくなっており、素直に円安が進みにくい状況となっています。

 このため、目先は82〜85円前後でのレンジ相場が続く可能性が高いとみられます。また、11月29日の高値84.40円前後が壁となっており、ここを上抜いて来ることができれば85円に乗せそうです。ただ、この水準で頭打ちとなるようなら82〜84円前後でのレンジ相場が続くこととなるでしょう。

【ユーロ圏の債務懸念は根強く残りそう】
 ユーロ圏の債務問題は引き続き、ユーロ・ドルの圧迫要因として意識されそうです。格付け会社のフィッチ・レーティングスによるアイルランドの格下げやポルトガルやスペインへの財政・債務問題の波及が懸念されます。このため、米国の長期金利の上昇が一服しても(米国の金利上昇はユーロ売り/ドル買いの要因となります)、ユーロの上値は重そうです。

 ここでは、債務問題が懸念される諸国とドイツの10年債利回りの差を確認してみましょう。グラフは、アイルランド、ポルトガル、スペインの10年債の利回りとドイツの利回りとの差を示したものです。利回り格差が大きいということはその国の信用力の低下につながっていると判断できます。10月の下旬以降、アイルランド、ポルトガル、スペインの10年債の利回りとドイツの利回りの差が拡大傾向にありましたが、12月に入り落ち着きを見せています。

 「利回りの差=信用力の低下」となり、ユーロ・ドルには圧迫要因となりましたが、10年債利回りの差が縮小に転じたこともあり、ユーロ・ドルの下落も一服しています。ただ、利回りの差は依然として高水準であり、引き続きユーロ圏の債務問題がユーロ・ドルには圧迫要因となりそうです。



2010年12月13日

(オーバルネクスト/佐藤 昌彦)

株式会社オーバルネクスト 情報企画グループ 主任研究員 佐藤 昌彦

担当
為替、日経、商品先物市場
信条
ファンダメンタルズによる解説だけでなく、データの統計的な分析や、サヤ取りなどにより、なるべくリスクを抑えて、投資家の方が優位性を持てるような情報の提供を心がけています。
経歴
1994年にゼネックス(現オーバルネクスト)入社。現在、主任研究員。為替・金融・コモディティのアナリストとしてマーケットの分析・記事の執筆作業に従事。現在は為替や日経の分析記事の執筆が中心。データの統計的な分析を得意としており、日経平均、ドル・円、ユーロ円など為替市場の日中足を用いた分析記事の執筆も担当。

株式会社オーバルネクスト

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