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外為マーケットコラム

ドル・円は緩やかに上昇か

 12月第3週は、ユーロ・ドルが一時1ユーロ=1.34ドル台後半まで上昇したものの、ユーロ圏の債務問題の影響やアイルランドの格下げを受けて、1.31ドル台まで下落しました。ドル・円は米国の長期金利の上昇を受けて、一時84円台半ばまで上昇して、その後やや軟化しています。

【ユーロ圏の債務問題が引き続き圧迫要因に】
 ユーロ・ドルは、比較的良好な米経済指標や米長期金利の上昇、ユーロ圏の債務問題の影響で、上値の重い展開が継続することが見込まれます。

 米国では良好な経済指標を受けて、長期金利が上昇傾向にあり、10年物金利は16日に一時3.56%台まで上昇しました。ブッシュ減税の継続による景気好転や国債需給の悪化への懸念もあり、長期国債は売られやすくなっており、金利は上昇傾向が続いています。

 14日の米連邦公開市場委員会(FOMC)後の声明で、6,000億ドル規模の国債購入を継続する方針を表明しました。ただ、その後も米長期金利は上昇傾向を続けています。米経済指標の好転が続けば、米長期金利の上昇基調は続きそうです。

 15日にはムーディーズがスペイン国債を格下げの方向で見直すと表明するなど、ユーロ圏の財政・債務問題に対する懸念は依然として根強く残りそうです。また、17日にはムーディーズがアイルランドの格付けを5段階引き下げた上、国際通貨基金(IMF)が同国の債務返済能力に疑問を呈したこともユーロの圧迫要因となっています。

 米長期金利の上昇傾向と欧州の債務問題を背景にユーロ・ドルは戻しても一時的なものにとどまり、1ユーロ=1.30ドルへ向けての下落が続くこととなりそうです。

 17日まで開催された欧州連合(EU)首脳会議では、ユーロ圏諸国の財政危機に対応するため、欧州版の国際通貨基金(IMF)を創設することを決めたものの、現行基金の増額やユーロ圏共通債券の発行などは先送りされました。ドイツが自国の負担増を嫌って反対したためで、各国の利害対立により難題が先送りされたことで、ユーロ圏の債務問題への懸念は簡単に消えないでしょう。

【ドル・円は緩やかな上昇か】
 ドル・円は米長期金利の上昇を背景に1ドル=85円へ向けて、緩やかな上昇基調で推移することが見込まれます。米長期金利の上昇ピッチが速すぎて、調整局面を迎えるとドル・円も下落する場面もありそうですが、一時的なものにとどまりそうです。

 米長期金利が上昇して円が対ドルで売られても、欧州の債務問題の影響でユーロが売られると、対ユーロでは円高に振れるため、ドル・円も一方的な円安トレンドを描きにくくなっています。このためドル・円は上昇しても、緩やかなものとならざるを得ないでしょう。

 今週は、23日は日本が祝日で休場、24日以降は欧米など主要国ではクリスマス休暇となり、商いが細る可能性が高く、経済指標に対しての反応も鈍くなり、小幅な値動きにとどまる可能性が高いとみられます。

【米長期金利とドル・円の連動性は再び高まるか?】
 ドル・円は時系列データで見ると、米長期金利との連動性が極めて高く、注目されている方も多いと思います。ここでは両者の最近の関係についてみてみましょう。

 グラフは、青が米10年物金利(左軸、単位:%)、ピンクがドル・円(右軸、単位:円)を示しています。グラフを見ると、11月の中旬までは若干のブレはあるものの、金利とドル・円はおおむね連動して動いていました。ただ、11月下旬ころから、米長期金利は上昇しているものの、ドル・円は頭打ちとなり、連動性が低下しています。

 米国の長期金利は、米国債が追加金融緩和に先回りして買われて(金利は低下)いたものの、その後、買われすぎ感から売られ(金利は上昇)たことで上昇しました。また、ブッシュ減税の継続による国債需給の悪化を懸念しての売り(金利は上昇)や米国の経済指標が比較的良好で景気回復への期待による金利上昇など様々な要因が絡んでいます。

 ドル・円だけを見る限りは、米国の金利上昇はドル買い/円売り材料ですが、円は対ユーロでは欧州の債務問題などを背景に買われやすくなるなど、単純に円安が進みやすい環境ではありません。こうしたことが、米長期金利とドル・円の連動性の低下につながったようです。ただ、欧州の債務問題が落ち着きを見せるようなら、ドル・円は米国の長期金利の動きに素直に反応しやすくなりそうです。



2010年12月20日

(オーバルネクスト/佐藤 昌彦)

株式会社オーバルネクスト 情報企画グループ 主任研究員 佐藤 昌彦

担当
為替、日経、商品先物市場
信条
ファンダメンタルズによる解説だけでなく、データの統計的な分析や、サヤ取りなどにより、なるべくリスクを抑えて、投資家の方が優位性を持てるような情報の提供を心がけています。
経歴
1994年にゼネックス(現オーバルネクスト)入社。現在、主任研究員。為替・金融・コモディティのアナリストとしてマーケットの分析・記事の執筆作業に従事。現在は為替や日経の分析記事の執筆が中心。データの統計的な分析を得意としており、日経平均、ドル・円、ユーロ円など為替市場の日中足を用いた分析記事の執筆も担当。

株式会社オーバルネクスト

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