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外為マーケットコラム

ドル・円は方向性に欠ける展開か

 12月第4週は、格付け会社による欧州各国の格下げ、格下げ検討の表明から、ユーロ・ドルは1.31ドル割れの水準まで下落しました。ドル・円は軟調で、83円割れに沈みました。

【欧州各国の格下げ続出】
 ユーロ・ドルは、欧州の債務危機の影響で軟調な展開を強いられています。また、格下げ会社による各国の格付けの見直しや格下げなどが圧迫要因となっています。

 そうした中、21日に中国の王副首相が「欧州連合(EU)債務問題で支援を約束」と発言したことが報じられると、ユーロ・ドルは一時的に上昇したものの、下向きのトレンドを反転させるには至りませんでした。

 ムーディーズはアイルランドの格下げの影響で、20日にはアイルランドの銀行の格付けを5段階引き下げました。また、同社はスペインの格付けを格下げの方向で見直す方針を表明しています。さらに、フィッチ・レーティングスはギリシャの外貨建てソブリン債の格付けをジャンク級(投資不適格)へ引き下げる方向で見直し、ポルトガルについては23日に格付けを引き下げています。

 格付けの引き下げという悪材料が断続的に出てきたことで、ユーロ・ドルのセンチメントは悪化しており、一時的に戻しても1.30ドル割れの水準まで下落する展開となりそうです。

【ドル・円は目先的には方向性に欠ける展開か】
 ドル・円は、軟調な展開となっています。クリスマス休暇を控えて商いは薄くなったものの、欧州債務問題への懸念からリスク回避の思惑で円が買われ、23日には14日の安値1ドル=82.84円まであと一歩に迫る水準まで一時下落しました。

 欧州の債務危機の影響で、対ユーロで円買いの動きとなりやすいことで、米長期金利が上昇してもドル・円は上昇しにくい状況となっています。このため、11月下旬ころからドル・円と米10年物金利の連動性が低下しています。

 米10年物金利は、一時3.57%前後まで上昇した後に3.30%前後まで低下しました。上記のようにドル・円と米長期金利の連動性が低下していることで、米長期金利が低下しても目立った円高には振れにくくなっています。

 目先的には、月末、四半期末、年末が重なるなか、82〜85円台でのレンジ相場となり、ドル・円は方向性に欠ける展開となりそうです。

【主要通貨の1月の陽線確率】
 年の瀬が近づいてきており、年始以降のマーケットの動きが気になるところです。ここでは、1月の主要通貨の過去の陽線確率について見てみましょう。

 グラフは2001〜2010年の過去10年間の各通貨の上半期の月ごとの陽線確率を示しています。陽線確率が高いとは、ドル・円とクロス円は円安になりやすく、ユーロ・ドルはドル安になりやすいという意味です。

 1月の陽線確率は、ユーロ・円は50.0%と中立ですが、ドル・円は60.0%、豪ドル・円は70.0%と陽線になりやすく(すなわち円安になりやすい)、ポンド・円は40.0%、ユーロ・ドルは30.0%と陰線になりやすくなっています。すなわちポンド・円はややポンド安/円高になりやすく、ユーロ・ドルはユーロ安/ドル高になりやすいということを示しています。

 豪ドル・円とユーロ・ドルはこの5通貨の中で最も偏ったバイアスがあり、過去の統計の上では豪ドル・円は1月は買いが有利、ユーロ・ドルは売りが有利となりそうです。



2010年12月27日

(オーバルネクスト/佐藤 昌彦)

株式会社オーバルネクスト 情報企画グループ 主任研究員 佐藤 昌彦

担当
為替、日経、商品先物市場
信条
ファンダメンタルズによる解説だけでなく、データの統計的な分析や、サヤ取りなどにより、なるべくリスクを抑えて、投資家の方が優位性を持てるような情報の提供を心がけています。
経歴
1994年にゼネックス(現オーバルネクスト)入社。現在、主任研究員。為替・金融・コモディティのアナリストとしてマーケットの分析・記事の執筆作業に従事。現在は為替や日経の分析記事の執筆が中心。データの統計的な分析を得意としており、日経平均、ドル・円、ユーロ円など為替市場の日中足を用いた分析記事の執筆も担当。

株式会社オーバルネクスト

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