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外為マーケットコラム

ドル・円は1月中旬以降に円安へ

【ユーロ・ドルは1月に下げやすい】
 ユーロ・ドルは欧州での債務懸念が依然として根強く残っているため、一時的に戻してもこの問題が蒸し返されて、下げに転じやすいとみられます。過去10年間の1月の月足は陽線(すなわちユーロ高・ドル安)になったのが3回のみで、残りの7回は陰線(ユーロ安・ドル高)で終わっています。

 また、日足データを元にした過去の季節的なパターンでは、1月は月初から月末にかけて下げやすいという特徴があります。欧州の債務問題に具体的な改善策が出てこない限りは戻しても売られやすい流れが続きそうです。

 また、米国の経済指標や長期金利の動向も注目されます。米国経済はおおむね回復基調にあると言えそうですが、雇用や住宅関連の指標の改善が遅れるようだと、株価やドルの圧迫要因となりそうです。3日の米ISM製造業景況指数は57.0となり、前月を上回り、1年5カ月連続で景気判断の分岐点となる50を上回り、株高、金利高につながりました。今後は、5日に米ADP雇用統計、ISM非製造業景況指数、6日に新規失業保険申請件数、そして7日に米雇用統計が発表されるため、その動向が注目されます。

 今後の米長期金利は、米国の経済指標や株価動向、米連邦準備理事会(FRB)による国債の買い入れ、国債入札、米国の財政悪化への懸念による国債の需給悪化などに左右されることとなりそうです。こうした要因に左右されて、10年物の米長期金利は3.00〜4.00%のレンジで推移しそうですが、徐々に上昇する可能性が高いとみられます。

 ユーロ・ドルは1ユーロ=1.30〜1.35ドルのレンジ相場が続いており、目先はこの傾向が続きそうです。ただ、欧州の債務問題への懸念もあり、1.35ドル接近では上値は抑えられそうです。米国の長期金利が上昇して、さらに欧州の債務問題が蒸し返されるようなことになれば、1.30ドルを割り込んで下落する可能性が高まるでしょう。

【豪ドル・円は堅調な推移か】
 豪ドル・円は1月の月足は過去10年間で7回が陽線(すなわち豪ドル高・円安)で引けており、上昇しやすい月となります。ただ、1月は一本調子で上昇するようなケースは少なく、押しと戻りを繰り返しつつ、月末には月初に比べて上昇しているというパターンとなりそうです。

 なお、豪州の経済指標は比較的良好なものが多く、この流れが続くようなら早期の利上げ期待から豪ドルには買いが入りやすくなるでしょう。なお、豪ドルは中国との関連が強く、特に上海株の動向には左右されやすい傾向があります。もし、中国で一段の金融引き締め懸念などから上海株の調整が続くようなら、豪ドルには圧迫要因となりそうです。逆に上海株が底入れから上昇に転じると、豪ドルには支援材料となります。

【ドル・円は一時円高に振れても月末にかけて円安か】
 ドル・円は1月には過去10年間で6回陽線(すなわちドル高・円安)になっており、やや円安に傾きやすいと言えます。ただ、それほど顕著な動きを示しているわけではなく、月初から中旬にかけてドル・円は下落して、中旬から月末にかけて上昇するというパターンを描きやすくなっています。

 米長期金利が上昇すれば対ドルでは円売りにつながりやすいものの、欧州の債務問題は対ユーロでの円買いにつながるため、ドル・円はあまり極端な値動きとなりにくいとみられます。なお、逆に米長期金利が低下すればドル売り/円買いにつながりやすく、円高に振れやすくなります。

 1月の半ばにかけてドル売り/円買いが加速すると一時的に1ドル=80円付近まで円高が進む可能性も出てきます。ただ、月末にかけて円安に振れて、85円前後(あるいはそれ以上)まで円安が進むこととなりそうです。

【1月のドル・円の値幅は5円弱、86円付近まで円安進行も】
 1月の主要通貨の値幅についてみてみましょう。表は各通貨の2001〜2010年の10年間の月ごとの値幅の平均を示したものです。値幅はティック数で表示してあり、1ティックはドル・円とクロス円は0.01円、ユーロ・ドルのみ0.001ドルとなっています。ドル・円およびクロス円とユーロ・ドルは単位が異なるため、ティック数にして比較しています。

 ドル・円の1月は値幅は487ティックとなっており、過去10年間の値幅の平均が4.87円という意味です。2010年の年末は81.12円付近で終えており、4.87円の値幅を当てはめると、1月のレンジは76.25円〜85.99円となります。過去の値幅からすると、円安方向に動いた場合、1ドル=86円付近まで円安に振れる可能性が出てきます。

 個人投資家に人気の高い豪ドル・円は1月の値幅は5.49円となり、ドル・円よりもやや値動きが大きくなる傾向があります。デイトレーダーに人気のポンド・円は1月の値幅は実に10.96円とドル・円の2倍以上となっています。ただ、ポンド・円は過去数カ月、ボラティリティ(変動率)が低下しており、今年は過去のような大きな値動きを見せるとは限りません。この表の5通貨に関しては、1月に比べて2月は値幅が縮小しますが、3月になるとまた拡大する傾向にあります。



2011年1月4日

(オーバルネクスト/佐藤 昌彦)

株式会社オーバルネクスト 情報企画グループ 主任研究員 佐藤 昌彦

担当
為替、日経、商品先物市場
信条
ファンダメンタルズによる解説だけでなく、データの統計的な分析や、サヤ取りなどにより、なるべくリスクを抑えて、投資家の方が優位性を持てるような情報の提供を心がけています。
経歴
1994年にゼネックス(現オーバルネクスト)入社。現在、主任研究員。為替・金融・コモディティのアナリストとしてマーケットの分析・記事の執筆作業に従事。現在は為替や日経の分析記事の執筆が中心。データの統計的な分析を得意としており、日経平均、ドル・円、ユーロ円など為替市場の日中足を用いた分析記事の執筆も担当。

株式会社オーバルネクスト

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