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外為マーケットコラム

ユーロ・ドルは一時的に上昇、ドル・円は横ばいか

 1月第2週は、欧州の債務問題への懸念後退からユーロ・ドルは大きく上昇して、一時1ユーロ=1.34ドル台に乗せました。一方、ドル・円は1ドル=82〜83円台でのもみ合いが続きました。

【欧州の財政問題は落ち着きを見せるか】
 ユーロ・ドルは、欧州の財政不安を背景に10日に1.29ドル割れの水準まで下落したものの、その後は反発に転じました。12日のポルトガル国債の入札が堅調だったことが好感されて、欧州の財政不安が後退して、1.31ドル台まで上昇しました。

 13日には欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁が理事会後の記者会見でユーロ圏はインフレ圧力に直面していると指摘したことや、スペインとイタリアの国債入札が順調だったことが市場に安心感を与えました。欧州の財政不安の後退が好感されて、ユーロ・ドルは、14日には一時1ユーロ=1.34ドル台まで上昇しました。

 12日のポルトガル国債の入札が懸念されていたことで、各方面では様々な動きがありました。11日には野田財務相が「アイルランド支援のため国債の買い入れ検討」と発言したことを受けて、ユーロが一時急速に買い戻されました。また、11日には欧州中央銀行(ECB)がポルトガル国債を買い入れたとの観測が財政不安の後退につながり、12日の国債入札に安心感を与えたようです。

 さらに17日のユーロ圏財務相会合で、ユーロ圏の緊急融資制度である欧州金融安定ファシリティー(EFSF)の融資規模や適用範囲の拡大を検討する可能性があると報じられたことも欧州の財政不安の後退につながりました。ECBのトリシェ総裁も、「EFSFは規模・質ともに改善されるべき」と述べています。

 ただ、欧州の財政不安は問題が根本的に解決したわけではありません。ポルトガルは12日に国債入札で12億5,000万ユーロと予定額の上限を調達しました。平均落札利回りは6.7%と高水準で、いずれ利払いが償還に支障が出るとの見方も根強く残っています。

 同国は4月には45億ユーロ、6月には50億ユーロの国債償還を控えています。償還資金をまかなうために国債発行を予定していますが、高水準の金利での調達が続くと、いずれ欧州連合(EU)や国際通貨基金(IMF)へ金融支援を要請することとなりそうです。

 目先はセンチメントの改善でユーロ・ドルは1ユーロ=1.35ドルへ向けて、上昇基調での推移が続きそうです。その後は、欧州の財政問題が蒸し返されて、ユーロ・ドルは1.30ドルを割り込む水準まで下落することとなりそうです。

【ドル・円は一進一退の動きか】
 ドル・円は82〜83円台を中心に一進一退の動きが続いています。7日に発表された米雇用統計はその後の動向にそれほど大きな影響を与えることはなく、市場の焦点は欧州の財政問題へと移りました。

 このところ、円は対ドルで売られると対ユーロで買われ、逆に対ドルで買われると対ユーロで売られる状況となっており、上下に大きく動きにくい状況となっています。このため、目先は方向感に乏しい動きが続くこととなりそうです。

 12日に米連邦準備理事会(FRB)が発表した米地区連銀経済報告(ベージュブック)では、住宅市場は引き続き弱いままながら、各地区の製造業と小売業の回復しており、米経済活動が緩やかに拡大していると指摘しました。

 最近の米経済指標では、13日の新規失業保険申請件数が予想以上の増加となり、雇用情勢の改善は依然として緩やかなものにとどまっていることが示されたものの、他の指標は景気の回復傾向を示すものが多くなっています。この傾向が続くと米株高、米長期金利の上昇につながり、中期的には緩やかな円売り要因となりそうです。

【カナダ・円と日経平均の密接な関係】
 個人投資家の方に人気の通貨というと、ドル・円のほかには豪ドル・円、ユーロ・円、ポンド・円などが挙げられると思います。カナダ・円というのはこうした銘柄と比べて注目度や人気は低いようです。

 ただ、豪ドル・円と同様に日経平均との連動性が高い通貨です。豪ドル・円は日経平均との相関係数が0.80を超えるケースもありますが、カナダ・円は時として豪ドル・円以上に日経平均との相関が高くなります。

 なお、相関係数とは、-1.0〜1.0の範囲で動き、1.0で完全に同じ動き、-1.0で全く逆の動き(逆相関)、ゼロなら相関なしと判断されます。この数字が1.0に近いほど値動きが似ており、0.7〜0.9なら相関が高く、値動きがよく似ていると判断できます。

 グラフは、青が日経平均(左軸)、ピンクはカナダ・円(右軸)を示しています。おおむね似たような動きを見せており、両者の相関係数はグラフの期間で0.76となっています(ちなみに同期間の豪ドル・円と日経の相関係数は0.83です)。

 状況に応じて、日経が先行する場合もあれば、カナダ・円が先行する場合もあります。今は日経と比べてカナダ・円の方が出遅れているようにも見えます。カナダ・円は日経平均との連動性が高く、値動きが比較的イメージしやすいと思われ、豪ドル・円に方向感がないときなどには取引対象として魅力がありそうです。



2011年01月17日

(オーバルネクスト/佐藤 昌彦)

株式会社オーバルネクスト 情報企画グループ 主任研究員 佐藤 昌彦

担当
為替、日経、商品先物市場
信条
ファンダメンタルズによる解説だけでなく、データの統計的な分析や、サヤ取りなどにより、なるべくリスクを抑えて、投資家の方が優位性を持てるような情報の提供を心がけています。
経歴
1994年にゼネックス(現オーバルネクスト)入社。現在、主任研究員。為替・金融・コモディティのアナリストとしてマーケットの分析・記事の執筆作業に従事。現在は為替や日経の分析記事の執筆が中心。データの統計的な分析を得意としており、日経平均、ドル・円、ユーロ円など為替市場の日中足を用いた分析記事の執筆も担当。

株式会社オーバルネクスト

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