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外為マーケットコラム

ドル・円は81〜83円台でもみ合いか

【欧州の財政懸念は一時後退】
 ユーロ・ドルは、欧州の財政懸念の後退や欧州中央銀行(ECB)の利上げに対する思惑などから、一時1ユーロ=1.37ドル台まで上昇しました。ただ、エジプト各地でのデモの影響でユーロは利益確定の売りに押されて上昇一服となりました。

 欧州金融安定ファシリティー(EFSF)が発行した50億ユーロの5年債は、430億ユーロもの旺盛な需要を集めたことで、欧州の財政不安を後退させました。この資金は主にアイルランドの支援に向けられる予定となっています。また、ECBの当局者によるユーロ圏のインフレを警戒するコメントが将来の利上げ観測につながっており、これもユーロ上昇の一因となりました。

 31日には1月ユーロ圏消費者物価指数(CPI)が発表され、3日にはECBの理事会が開催されます。ECBがインフレ警戒感を示すようならユーロには支援材料となりそうです。

 ユーロ・ドルは、目先はやや上値が重そうなものの、エジプト情勢が落ち着きを見せ、ECBによる利上げ観測が高まると再び上昇に転じて、1ユーロ=1.40ドルへ向けて上昇する展開となりそうです。ただ、欧州の財政不安が再び問題視されたり、インフレ懸念が後退したり、エジプト情勢の緊迫化が長引くと、修正安局面となる可能性も出てきそうです。

【豪ドルは引く続き上値重く推移か】
 豪ドルは上値重く推移しています、同国での洪水の影響やエジプト情勢の緊迫化が圧迫要因となっています。豪州は今年洪水の被害に見舞われており、27日にギラード首相が洪水被害復興のために一時的な課税策を導入する方針を発表したことが圧迫要因となりました。洪水の影響で豪州の2010〜2011年の国内総生産(GDP)を0.5ポイント押し下げる見通しとされています。

 なお、2月1日にはオーストラリア準備銀行(RBA)が政策金利を発表します。現時点では4.75%に据え置きが濃厚です。前回(12月7日)の議事録では利上げを急がないと示唆しており、先日発表された消費者物価指数(CPI)と生産者物価指数(PPI)が予想以下だったことや洪水による成長率鈍化の懸念もあり、しばらくは利上げを見送ることとなりそうです。

 政策金利発表後の声明が注目されますが、近いうちの利上げを示唆する可能性は低く、豪ドルには支援材料となりにくいでしょう。このため、洪水被害の影響やエジプト情勢を見極めつつ、豪ドル・円、豪ドル・米ドルともに上値の重い展開が続いて、豪ドル・円は80円、豪ドル・米ドルは0.9800ドルを試す展開となりそうです。

【ドル・円はもみ合い継続か】
 ドル・円は81〜83円台でのレンジ相場が続いています。27日に格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズが日本国債の格付けを「AA」から「AA−」に1段階引き下げました。格下げ直後にドル・円は82円台前半から83円台前半まで上昇したものの、83円台前半では上値を抑えられました。

 最近の米経済指標は堅調なものが多く見られますが、26日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では景気の見通しがやや慎重であり、6,000億ドルの追加国債買い入れは継続する方針としました。景気回復による金利上昇を国債買い入れが相殺する格好で、米10年物の長期金利は3.2〜3.4%台での横ばいの推移となっています。こうした状況からすると、ドル・円は81〜83円前後でのもみ合いが続くこととなりそうです。

 なお、今週はISM製造業景況指数(1日)、米ADP雇用統計(2日)、米雇用統計(4日)など注目度の高い経済指標の発表が相次ぎます。これらの経済指標が良好なものとなり、米国の景気回復が確かなものであるとの見方が広がれば、米長期金利の上昇につながり、ドル・円の上昇(円安)に結びつく可能性も出てきそうです。

【NYダウは1月が陽線なら年足も陽線になりやすい】
 米国株は「1月が高いと年間でも株価は上昇する傾向がある」という1月効果というものが指摘されています。ここでは、通貨や株価の1月の月足が陽線だった場合、年足も陽線になりやすいかどうかについて見てみます。

 まず、グラフをご覧下さい。グラフは1990〜2010年の21年間で、1月が陽線だった場合、年足でも陽線になる確率と、1月が陰線だった場合、年足でも陰線となる確率を示したものです。

 NYダウは1990〜2010年の21年間で、1月が陽線だったケースが12回あり、そのうちの実に11回が年足でも陽線となっています。1月が陽線だった場合の年足の陽線確率は91.7%となります。また、S&P500では83.3%となっています。NYダウとS&P500は1月が陽線で引ける可能性が高そうで、過去の統計で見る限り、年足でも陽線で引ける可能性が高いと言えそうです。

 国内市場は米国とは異なり、これほど極端なバイアスはありません。日経は1月が陽線だった場合、年足の陽線確率は50.0%、1月が陰線だった場合、年足が陰線になる確率は61.5%となります。

 さて、ドル・円ですが、1月が陽線だった場合、年足が陽線になる確率は45.5%となります。ここでは陽線とは円安に振れるという意味です。1月が陰線(すなわち円高)の場合は、年足で陰線(円高)になる確率は70.0%と高くなります。ドル・円の1月の始値は1ドル=81.34円前後なので、1月は陽線となるか、陰線となるか非常に微妙な値位置です。



2011年01月31日

(オーバルネクスト/佐藤 昌彦)

株式会社オーバルネクスト 情報企画グループ 主任研究員 佐藤 昌彦

担当
為替、日経、商品先物市場
信条
ファンダメンタルズによる解説だけでなく、データの統計的な分析や、サヤ取りなどにより、なるべくリスクを抑えて、投資家の方が優位性を持てるような情報の提供を心がけています。
経歴
1994年にゼネックス(現オーバルネクスト)入社。現在、主任研究員。為替・金融・コモディティのアナリストとしてマーケットの分析・記事の執筆作業に従事。現在は為替や日経の分析記事の執筆が中心。データの統計的な分析を得意としており、日経平均、ドル・円、ユーロ円など為替市場の日中足を用いた分析記事の執筆も担当。

株式会社オーバルネクスト

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