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外為マーケットコラム

ドル・円は緩やかに上昇、ユーロ・ドルは堅調な推移か

【中東での緊張でドル売り】
 イスラエル外相が16日にイランの軍艦がスエズ運河経由でシリアに向かうことを明らかにして、イランを非難しました。中東情勢の緊迫化が懸念され原油価格が上昇、米国の景気回復が鈍化するとの思惑からドルが売られて、安全資産とされるスイスフランが買われました。ユーロ・ドルは14日に1ユーロ=1.35ドルを割り込んだものの、上昇に転じています。

 リスク回避の動きから米国債が買われて、米長期金利が下落していることもドルには圧迫要因となり、通常の「有事のドル買い」とは逆の動きとなっています。

 中東情勢の緊張が長引けば、原油価格の一段の上昇による米国の景気回復の鈍化懸念やリスク回避での米国債買いによる米長期金利の低下から、ドルは売られやすい状況となりそうです。その場合、ユーロ・ドルは欧州中央銀行(ECB)による利上げ期待が再び台頭しており、一段と上昇することとなるでしょう。

 ポルトガルの財政問題や欧州金融安定ファシリティー(EFSF)の融資能力の強化・機能拡大についても注目しておきたいところです。ポルトガルの長期金利は高止まりしており、10年債利回りは7.4%台に乗せており、ユーロ導入以降の最高水準付近にあり、ドイツ債との利回り格差は拡大傾向にあります。

 ポルトガル政府は、4月と6月に合計95億ユーロの国債償還を迎える予定で、返済能力へ懸念が広がっています。同国は金融支援の要請を余儀なくされるとの見方も出ており、この問題がクローズアップされると、ユーロの戻り歩調に冷や水を浴びせることとなるでしょう。

 14日のユーロ圏財務相会合では、EFSFの機能強化などの変更については具体策が出ずに3月の欧州連合(EU)首脳会議に持ち越されました。ユーロが堅調な間は問題視されないものの、ユーロが崩れ始めると問題の先送りがユーロ売りにつながりそうです。

 18日にECBのビニスマギ理事が利上げの可能性を示唆したしたことで、ユーロ・ドルは、1.37ドル台に乗せました。やや強材料に反応しやすくなっており、今後は中東情勢とポルトガルの財政問題などに左右されつつも緩やかに上昇しそうです。ただ、欧州の財政問題再燃への懸念もあり、1.40ドルまで上昇するのは難しいでしょう。

【豪ドルは緩やかに上昇か】
 豪ドル・円は高値圏でのもみ合いからじり高となり、昨年5月以来となる1豪ドル=84円乗せとなりました。豪ドル・米ドルは一時パリティ(1.0000ドル)を割り込んだものの、すかさず買いが入り、戻り歩調にあります。

 ポンド・円やユーロ・円などのクロス円や上海株の上昇などが支援材料となっています。ただ、銅やアルミなど非鉄金属、コモディティの代表的な指数であるCRB指数は高値圏で上昇一服となっています。これらが下げに転じると、豪ドルにも圧迫要因となりそうですが、調整一巡後は再び上昇に転じて、豪ドルには支援材料となりそうです。

 15日のオーストラリア準備銀行(RBA)の理事会の議事録では、「洪水の影響で2010年第4四半期と2011年第1四半期のGDPは低下」「2011年第2四半期は非常に力強い見通し」「若干引き締め的なスタンスは引き続き適切」としており、長期的に経済成長と金利上昇が期待できる内容となりました。

 豪ドルは上海株の上昇や商品市場の一段高への期待、今年第2四半期以降の経済成長と利上げ期待などを背景に緩やかに上昇することとなりそうです。

【ドル・円は緩やかな上昇か】
 ドル・円は米長期金利の上昇などを背景にじり高で推移して、一時1ドル=84円近くまで上昇しました。ただ、中東情勢の緊迫化で米長期債への資金流入で米長期金利が低下したことや、スイスフランなど安全通貨への資金退避の動きで円も買われて、円安傾向は一服しています。ただ、中東で世界の景気に打撃を与えるような動きがなければ、80円へ接近するような大幅な円高にはならないでしょう。

 米国の経済指標はおおむね良好で、順調な景気回復を感じさせる動きとなっており、中東情勢が落ち着きを見せると、ドル・円は緩やかな上昇に転じそうです。

 84円を固めることができれば、85円を視野に一段と上昇が見込めそうです。ただ、84円付近では売りに押されやすく、84円に乗せても維持できないようだと、しばらく82〜83円台でのもみ合いが続きそうです。

【ユーロ・ドルは上海総合指数の先行指標か】
 世界の株価は密接に関係しているものの、最近は国によって異なる動きが目立っています。ここ3カ月から半年程度の株価の動向を見ると、米国は景気回復が続くとの見通しから上昇トレンドを描いており、欧州や日本も堅調な推移を見せています。

 新興国では、ロシア株は上昇トレンドですが、ブラジルのボベスパ指数は調整局面です。アジアでは高値圏から修正安を迎えている市場が多くみられます。韓国やシンガポールは上昇一服。上海株は中国当局による金融引き締め懸念が圧迫要因となり、調整していましたが徐々に出直りつつあります。香港株(ハンセン)、タイ、インドネシア、マレーシア、フィリピンなどは調整局面にあります。

 中国株の代表的な株価指数である上海株は、ユーロ・ドルと似たような動きを見せていす。グラフは青がユーロ・ドル(左軸)、ピンクが上海株(右軸)を示しています。このユーロ・ドルと上海株ですが、昨年の6月ころから、ユーロ・ドルが2週間から1カ月程度、先行する動きを見せています。

 今年1月に入り、ユーロ・ドルは欧州の財政問題への懸念が後退したことや欧州中央銀行(ECB)による利上げ観測などから上昇に転じました。2月に入るとECBによる利上げ観測の後退やポルトガルなどの長期金利の上昇などから欧州の財政懸念が再び蒸し返されて軟調な動きとなり、2月の中盤以降は再び上昇に転じています。

 一方、上海株は1月14日の中国の預金準備率の引き下げを背景に1月17日に急落するなど調整局面を経た後に、1月下旬から戻り歩調にあります。上海株の動きがユーロ・ドルに数週間遅れているとすると、そろそろ戻り一服となるかもしれません。



2011年02月21日

(オーバルネクスト/佐藤 昌彦)

株式会社オーバルネクスト 情報企画グループ 主任研究員 佐藤 昌彦

担当
為替、日経、商品先物市場
信条
ファンダメンタルズによる解説だけでなく、データの統計的な分析や、サヤ取りなどにより、なるべくリスクを抑えて、投資家の方が優位性を持てるような情報の提供を心がけています。
経歴
1994年にゼネックス(現オーバルネクスト)入社。現在、主任研究員。為替・金融・コモディティのアナリストとしてマーケットの分析・記事の執筆作業に従事。現在は為替や日経の分析記事の執筆が中心。データの統計的な分析を得意としており、日経平均、ドル・円、ユーロ円など為替市場の日中足を用いた分析記事の執筆も担当。

株式会社オーバルネクスト

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