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外為マーケットコラム

ドル・円はじり安で推移か

【ドル・円は78〜82円台での推移か】
 米国では最近の経済指標がさえないこともあり、米国金利が低水準にとどまるとの見方が広がって、米10年債利回りは3.10%台まで下落しました。米長期金利の低下と歩調を合わせて、ドル・円も軟調な動きを見せ、5日には1ドル=79円台半ばまで円高が進みました。これは日米欧で3月18日に協調介入に踏み切る直前以来の水準で、1カ月半ぶりの円高水準となります。

 80円割れでは円売り介入が警戒されていたものの、円高の進行が緩やかなもので、3月11日〜17日にかけての東日本大震災や原発問題を受けての円相場の急騰とは事情が異なっており、通貨当局がどう動くかが注目されます。野田財務相が「3月18日の時とは状況が違う」と述べたと伝わっており、通貨当局による円売り介入への警戒感は後退したとの見方も出ています。

 6日に発表された米雇用統計が予想以上だったことでドル買いの動きとなり、ドル・円は安値からは値を戻しています。ただ、米長期金利は低下傾向にある上、原油をはじめ商品価格が下落しており、リスク資産からの資金逃避の動きから、円は買われやすい流れが続きそうです。円売り介入への警戒感は残るものの、ドル・円は78〜82円前後でのジリ安での推移が見込まれます。3月17日の安値76.25円に迫るような場面があれば、円売り介入が実施される可能性が高まるでしょう。

【ECBは6月の追加利上げ観測後退】
 ユーロ・ドルは欧州中央銀行(ECB)による追加利上げ観測や米金利が低水準にとどまるとの見通しから堅調な流れを続けてきて、一時1ユーロ=1.49ドル台半ばまで上昇しました。

 5日のECB理事会では政策金利を1.25%に据え置きました。その後のトリシェ総裁の記者会見では、通常1カ月後の利上げを示唆する「強い警戒」という文言を使わず、6月の利上げ観測が後退しました。これを受けて、ユーロ・ドルは1.45ドル台まで急落しました。なお、トリシェ総裁の会見では、インフレ圧力について「非常に注意深く監視」としており、7月の追加利上げの可能性は残されています。

 5日はドル高や米新規失業保険申請件数の増加を背景にニューヨーク原油が100ドル割れまで急落、金や銀、穀物などコモディティ全般に大幅な下げとなりました。原油価格の下げが続くようなら、各国でのインフレ懸念も後退することが予想されます。今後の原油やコモディティの価格動向が注目されます。

 6日には米雇用統計で非農業部門雇用者数が前月比24.4万人の増加となり、予想を大きく上回ったことや、ギリシャがユーロ圏を離脱するとの報からユーロ売り/ドル買いの動きとなり、ユーロ・ドルは1.43ドル台まで下落しました。

 今後、ユーロ売りが売り一巡すると、ECBによる7月以降の追加利上げへの期待で再び上昇に転じることが見込まれます。ただ、原油など商品価格が一段と下落して、インフレ懸念が後退、さらにギリシャのユーロ圏離脱への懸念やポルトガルの財政問題がクローズアップされると1.40ドルへ向けて下落するというシナリオも想定できます。

【ギリシャ、ポルトガルの国債利回りは高水準】
 ユーロ・ドルは早期の追加利上げ観測後退、予想以上の米雇用統計などから、高値から値を崩しました。それまでのユーロ・ドルの上昇局面では、ユーロ圏の債務問題は話題にはなるものの、相場の圧迫要因として意識されることはあまりありませんでした。

 ギリシャは債務再編が避けられず、ポルトガルは欧州連合(EU)や国際通貨基金(IMF)に支援を要請したものの、財政再建には困難が伴うとの見方が広がっています。このため、10年債利回りはギリシャは15%超、ポルトガルは9.5%超と高水準にあります。関係当局者は否定しているものの、6日にはギリシャがユーロ圏を離脱するとの報道もありました。

 グラフはギリシャ、アイルランド、ポルトガル、スペイン、イタリアの10年債の利回りとドイツ債の利回りの差を表示したものです。利回りの差はリスク・プレミアムと見ることができ、利回り格差が大きいほど、その国への財政状況への懸念が高いと言えます。ギリシャ、ポルトガル、アイルランドの利回り格差の拡大は一服したものの、高い水準にあります。このグラフを見る限りは、ギリシャやポルトガルへの懸念は改善に向かっているとは到底判断できません。

 ユーロ・ドルは高値からは値を崩したものの、今後の利上げ期待から再び上昇に転じる可能性も高いとみられます。ただ、為替市場でのユーロに関する主要なテーマがインフレ懸念とそれに伴う追加利上げ期待から、ギリシャやポルトガルの財政・債務問題へと移ると、ユーロ高を阻む要因となりそうです。



2011年5月9日

(オーバルネクスト/佐藤 昌彦)

株式会社オーバルネクスト 情報企画グループ 主任研究員 佐藤 昌彦

担当
為替、日経、商品先物市場
信条
ファンダメンタルズによる解説だけでなく、データの統計的な分析や、サヤ取りなどにより、なるべくリスクを抑えて、投資家の方が優位性を持てるような情報の提供を心がけています。
経歴
1994年にゼネックス(現オーバルネクスト)入社。現在、主任研究員。為替・金融・コモディティのアナリストとしてマーケットの分析・記事の執筆作業に従事。現在は為替や日経の分析記事の執筆が中心。データの統計的な分析を得意としており、日経平均、ドル・円、ユーロ円など為替市場の日中足を用いた分析記事の執筆も担当。

株式会社オーバルネクスト

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