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外為マーケットコラム

ドル・円は小動きか、米長期金利低下が重石

【日本の格下げ報道の影響は一時的】
 31日に格付け会社ムーディーズが、日本国債を格下げ方向で見直すと発表したことで円売りの動きから、ドル・円は1ドル=81円台後半まで上昇しました。ただ、その後は米長期金利の低下を背景にドル売り/円買いの動きとなり、その後は80円台を中心に推移しました。

 国内では、2日に菅内閣の不信任案の採決が行われ、否決はされたものの、政局の混迷は続きそうです。日本の景気の先行き不透明感もあり、円はもっと売られても良さそうです。ただ、ここ数週間は米経済指標が悪化して、米長期金利が低下しており、ドルが売られやすく、一段の円安にはつながりにくくなっています。

 米国の経済統計では、1日には米ADP雇用統計が3.8万人増と事前予想(17.5万人増)を大きく下回り、さらにISM製造業景況指数も予想以下だったことで、米国の景気回復ペース鈍化への懸念から、10年債利回りは半年ぶりの低水準まで低下して、3.0%を割り込みました。このところ、米国ではさえない経済指標が続いており、米10年債利回りは引き続き3.0%付近で上値の重い動きが続きそうです。

 日本の国債格下げ報道や政局の混迷といった円売り材料があっても、米長期金利が低水準で大きく円安に傾きにくい状況です。逆に積極的に円を買う理由もなく、大きく円高にも振れにくいという状況が続きそうです。

 このため、ドル・円は1ドル=80〜82円台での推移が続くこととなりそうです。3日の米雇用統計が予想以上を大きく下回ったことで、ドル売りが進んで一時1ドル=80円に迫る場面も見られました。今後、ドル売りが進んで一時的に80円を割り込む可能性もありますが、80円割れがあっても定着はしないでしょう。

【ユーロ・ドルはギリシャ問題への懸念後退】
 ユーロ・ドルは、ギリシャ情勢と悪化傾向にある米国の景気動向に左右される状況が続いています。市場では、ギリシャ問題が中心的なテーマとなっていますが、解決への道筋が見えてきたことで、ユーロ・ドルは徐々に上値を追う動きとなっています。

 30日に欧州連合(EU)は国際通貨基金(IMF)による対ギリシャ融資を確保するため、同国に対する追加支援策を検討していると報じられました。また、ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)のユンケル議長はパリでフランスのサルコジ仏大統領と会談して、追加支援がまとまる可能性について楽観視していると述べています。

 さらに31日には、米ウォールストリート・ジャーナルが、ドイツが新たな対ギリシャ融資を実現のために、ギリシャ国債の早期の返済繰り延べに向けた働きかけを停止することを検討と報じたことで、ギリシャへの支援が進展するとの見方が広がりました。

 これでギリシャの債務問題は小康状態となり、やや落ち着きを見せるかと思われました。ところが、1日には格付け会社ムーディーズがギリシャの格付けを3段階引き下げ、ユーロの圧迫要因となりましたた。

 2日にはギリシャがEU、IMFと64億ユーロの新たな財政措置を講じることで合意したと報じられ、債務問題への懸念がさらに後退しました。また、格付け会社ムーディーズが米連邦債務の上限が数週間以内に引き上げられない場合、現在の米国のトリプルA格付けを引き下げの方向で見直すと警告したこともユーロ買い/ドル売りにつながりました。3日にはEUとIMFがギリシャ向けの次回融資を実行することで合意したと報じられて、ギリシャへの懸念が後退して、ユーロ・ドルは1ユーロ=1.46ドル台まで上昇しました。

 ユーロ圏では5月の消費者物価指数(CPI)は前年比2.7%上昇となり、事前予想の2.8%を若干下回りました。ただ、インフレを警戒しての7月以降の追加利上げ観測は根強く、ユーロ買いにつながりやすい状況です。一方で、米国の経済指標は予想を下回るものが多く、ドルは売られやすく、ユーロ・ドルは堅調な推移となる可能性が高そうです。このため、ユーロ・ドルは1ユーロ=1.48〜1.50ドルへ向けて緩やかに上昇を続ける展開となりそうです。

【ドル・円、クロス円は6月に上昇する傾向が強い】
 ドル・円、クロス円は6月は上昇しやすい(すなわち円安になりやすい)月です。グラフは主要通貨と原油やドル建て金などについて、6月が陽線になりやすいかどうか2001年〜2010年の10年間について月足の統計を取ったものです。

 これによると、ポンド・円は過去10年間で8回、ドル・円、豪ドル・円、ユーロ・円は過去10年間で7回陽線で引けています(陽線とは始値よりも終値の方が高いことを言います)。ドル・円やクロス円はそれだけ上昇しやすく、円安に振れやすいということが統計上示されています。

 豪ドル・ドル、ポンド・ドルは過去10年間で6回陽線になっており、ややドル安になりやすい傾向があります。ただ、ドル・円やクロス円ほど偏った傾向ではありません。ユーロ・ドルは5回なので50%となり、偏ったバイアスはありません。

 参考までに、ニューヨーク原油(WTI原油)は過去10年で8回と上昇しやすく、ドル建て金現物は4回とやや下落しやすくなっています。NYダウは2回とかなり下げやすい月となっています。あくまでも月足の統計ですが、6月中に通貨で買いを仕掛けるなら、ユーロ・ドルやポンド・ドルよりもポンド・円やドル・円、ユーロ・円の方が上がる確率が高く、有利となりそうです。



2011年6月6日

(オーバルネクスト/佐藤 昌彦)

株式会社オーバルネクスト 情報企画グループ 主任研究員 佐藤 昌彦

担当
為替、日経、商品先物市場
信条
ファンダメンタルズによる解説だけでなく、データの統計的な分析や、サヤ取りなどにより、なるべくリスクを抑えて、投資家の方が優位性を持てるような情報の提供を心がけています。
経歴
1994年にゼネックス(現オーバルネクスト)入社。現在、主任研究員。為替・金融・コモディティのアナリストとしてマーケットの分析・記事の執筆作業に従事。現在は為替や日経の分析記事の執筆が中心。データの統計的な分析を得意としており、日経平均、ドル・円、ユーロ円など為替市場の日中足を用いた分析記事の執筆も担当。

株式会社オーバルネクスト

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