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外為マーケットコラム

ドル・円のこう着状態脱出は難しそう

【ドル・円は引き続きレンジ相場か】
 22日での米連邦公開市場委員会(FOMC)では、政策金利(フェデラルファンド・レートの誘導目標)は0〜0.25%で据え置かれ、長期にわたり低水準で維持する方針としました。6,000億ドルの国債買い入れを6月で終了する方針も示し、保有証券の元本償還分については再投資する意向を表明しています。

 ただ、FOMC後の記者会見で米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長による追加金融緩和策への言及はなく、米長期金利の低下が一服するとの見方から、ドルは強含みました。

 米長期金利が上昇するとドル買いにつながり、ドル・円には上昇要因となるものの、最近の米経済指標の低調な結果を踏まえると、米長期金利がすぐに大きく上昇に転じるような状況ではありません。また、ギリシャの債務危機の影響で米国債は安全資産として買われやすくなっており、こうした側面からも米長期金利は上昇しにくいと言えます。

 米10年債利回りは3%を下回った水準での推移が見込まれることから、ドル・円は1ドル=80〜81円台を軸とする水準でのレンジ相場が継続しそうです。下落して80円を割り込む場面があっても一時的なものとなるでしょう。逆に上昇しても、81円超では上値は重く、82円を突破するような円安には振れにくいとみられます。

【ギリシャ新内閣信任も前途多難】
 ギリシャは22日の新内閣の信任投票で信任されました。これで同国の債務危機への懸念は一時的に後退したものの、これからの対応が重要となります。ギリシャでは内閣が緊縮財政法案の草案を承認して、23日には緊縮財政5カ年計画でギリシャが欧州連合(EU)・国際通貨基金(IMF)と合意に達したと報じられています。ただ、緊縮財政法案がギリシャの議会で承認されないことには先に進みません。

 ユーロ圏財務相会合では、EUとIMFによる次回融資120億ユーロを実行するために、7月3日までに緊縮財政計画をギリシャの議会で承認することを求めています。ギリシャは今月末までに緊縮財政計画の議会での承認を目指していますが、同国内での反発は激しく、綱渡りの厳しい状況が続きそうです。

 ギリシャでは7月15日に国債償還を控えており、EUとIMFからの融資を受けられないとデフォルト(債務不履行)に陥りかねません。その場合、欧州発の金融危機につながる可能性が出てきます。そうした事態を回避するためにギリシャやユーロ圏の金融当局者による対応が注目されます。

 ユーロ・ドルは、ギリシャの債務危機の動向に一喜一憂しつつ、1ユーロ=1.40〜1.45ドルでの推移となりそうです。ただ、ギリシャの債務危機の解決の見通しが立たない間は、上昇しても1.45ドルで頭打ちとなるでしょう。ギリシャのデフォルト回避に向けてギリギリの努力が続けられるとみられますが、明るい見通しが立つまでは戻しても長続きはしないでしょう。

 緊縮財政法案がギリシャ議会で可決できなければ、欧州や米国の株価が急落してリスク回避の動きから、ユーロ・ドルは1.40ドルを割り込む水準まで下落する可能性が高まりそうです。

【ドル建て金現物価格が下落、豪ドル・ドルにも圧迫要因か】
 豪ドル・ドルとドル建て金現物価格は極めて相関が高く、連動して動く傾向があります。6月24日時点では両者の相関係数は0.94(1.00で完全に一致)となり、連動性が高いと数字の上からも理解できます。

 グラフは豪ドル・ドルとドル建て金現物の価格を示したものです。青は豪ドル・ドル(左軸)、ピンクがドル建て金現物(右軸)です。5月の中旬以降、ギリシャの債務危機の影響などから、金は資金の逃避先(セーフヘイブン)として買われやすかったものの、資源国通貨はリスク回避の動きから買われにくくなっており、両者のかい離がやや目立っていました。

 ただ、対ユーロでのドル高や原油価格の急落などから金価格が下落しており、再び連動性が高まりつつあります。このまま金価格が調整を続けるようなら、豪ドル・ドルには売り圧力となりかねません。逆に最近の下げの反動で金が再び上昇に転じれば、豪ドル・ドルにも支援材料となりそうです。



2011年6月27日

(オーバルネクスト/佐藤 昌彦)

株式会社オーバルネクスト 情報企画グループ 主任研究員 佐藤 昌彦

担当
為替、日経、商品先物市場
信条
ファンダメンタルズによる解説だけでなく、データの統計的な分析や、サヤ取りなどにより、なるべくリスクを抑えて、投資家の方が優位性を持てるような情報の提供を心がけています。
経歴
1994年にゼネックス(現オーバルネクスト)入社。現在、主任研究員。為替・金融・コモディティのアナリストとしてマーケットの分析・記事の執筆作業に従事。現在は為替や日経の分析記事の執筆が中心。データの統計的な分析を得意としており、日経平均、ドル・円、ユーロ円など為替市場の日中足を用いた分析記事の執筆も担当。

株式会社オーバルネクスト

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